人材育成社内のAI格差はなぜ生まれるのか?「使う人・使わない人」の二極化を解消する方法

2026/06/09
社内のAI格差はなぜ生まれるのか?「使う人・使わない人」の二極化を解消する方法

生成AIを全社に導入したのに「一部の社員はどんどん使いこなす一方で、大多数はまったく触っていない」という状況に頭を悩ませている企業は少なくありません。

実際、生成AIの利用実態を見ると、利用者と非利用者の差は明確に広がっています。ある大手メーカーでは、社内向け生成AIサービスを導入して2年が経過した時点でも、ほぼ毎日使う層と週1〜2回使う層が合わせて約3割、まったく使ったことがない層が4割、数回試して諦めた層が2.5割という結果になりました。つまり、ツールを配っただけでは利用は二極化していくのが実情です。

ダイヤモンド・オンラインの記事では、社内で「AI格差」が生まれる原因と、二極化を解消して組織全体でAIを活用するための具体的な方法を、実際に当社へご相談いただいた企業の事例も交えて整理します。

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「AI格差(二極化)」とは何か

AI格差とは、生成AIを使いこなす社員と、まったく使わない社員との間に生まれるスキル・生産性の差を指します。近年は社会全体の課題としても注目されており、研究の世界でも、AI技術へのアクセスや利用能力、活用によって得られる利益に生じる格差は「AI divide(AI格差)」と定義されています。

企業内で起きるAI格差は、放置すると次のような問題に発展します。

参考:千葉大学

AI格差(二極化)による問題
業務負荷の偏り

AIを使える一部の社員に仕事が集中し、使えない社員との間で生産性の差が開きます。同じ業務を一方は数分で終わらせ、もう一方は数時間かけるという状況が生まれます。

組織全体の生産性が伸びない

一部の社員が効率化しても、大多数が従来通りの働き方であれば、組織全体としての成果は限定的になります。導入コストに見合うリターンが得られません。

ツールが使われない

全社にライセンスを配布しても利用率が上がらなければ、「コストだけかかって使われないツール」という評価になり、AI活用そのものへの社内の信頼が低下します。

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なぜ社内でAI格差が生まれるのか

二極化を解消するには、まず原因を理解する必要があります。社内でAI格差が生まれる主な要因は、次の4つです。

要因1使い方がわからない・自分の業務での活用イメージが湧かない

なぜ社内でAI格差が生まれるのか

最も多い原因がこれです。ツールは目の前にあっても、「何に使えるのか」「自分の仕事にどう役立つのか」がイメージできないため、使い始めるきっかけがつかめません。

実際、インターネット・アカデミーにご相談いただいた電気・機械系の卸売業(従業員70名規模)では、社長からAI活用の指示が出ているにもかかわらず、全社員の7〜8割が「何に使えるかわからない」「なんとなく怖い」という認識のまま、まったく触れていない状態でした。一方で、若手やデジタルに関心のある一部の社員だけが個人で使いこなしており、典型的な二極化が起きていました。汎用的な使い方の説明だけでは「便利そうだけど、自分の業務とは関係ない」と感じられてしまうのです。

要因2「怖い」「難しそう」という心理的なハードル

「間違った使い方をして情報漏洩を起こすのが怖い」「新しいツールを覚えるのが面倒」という心理的な抵抗も、大きな要因です。

たとえば、Geminiを全社導入した教育サービス企業(従業員100名規模)では、社員が「何に使えるか分からない層」と「セキュリティが怖くて触れない層」に二極化していました。ツールだけ導入しても、現場では業務が楽になるイメージが湧かず、むしろ新しいツールへの警戒感が先に立っていました。デジタルツールに苦手意識を持つ層は、こうして最初の一歩を踏み出せないまま「使わない側」に固定化されてしまいます。

要因3個人の興味・スキルに依存している

会社として体系的な教育を提供せず、活用を個人の判断に任せている場合、もともとAIに興味がある一部の社員だけが先行し、それ以外は手つかずのまま、という構図になります。

建設会社(従業員100名規模)の建築設計部門のケースでは、現場の担当者たちがChatGPTやGemini、画像生成AI、議事録作成デバイスなどを、それぞれ個人の判断で使い始めていました。建物デザインの提案資料作成やパースの修正など、専門業務での活用も進んでいましたが、経営層から示されたのは「AIを活用せよ」という方針だけで、具体的な予算やガイドラインは用意されず、判断は個人に委ねられていました。これは個人の能力差ではなく、「会社として学ぶ機会や活用の土台が用意されていない」という環境の問題です。

要因4組織としての活用ルールや成功事例がない

「どう使えば良いか」の社内ルールや、「この業務でこう使うと効率化できた」という成功事例が共有されていないと、使い方が属人化します。

小売業(従業員1,000名)のバックオフィス部門では、個人単位でのAI活用は進んでいたものの、組織の作業プロセスにAIを組み込む仕組みがなく、使える社員のノウハウが個人の中に閉じてしまっていました。「使う人と使わない人の二極化」が課題として明確に認識されていましたが、ノウハウを横に広げる仕掛けがないために、組織全体の活用にはつながっていなかったのです。

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AI格差(二極化)を解消する5つの方法

原因を踏まえ、二極化を解消するための具体的な方法を5つ紹介します。

方法1自分の業務に直結した活用方法を示す

「AIで何ができるか」という一般論ではなく、「あなたの業務のこの作業がこう変わる」という具体的なイメージを示すことが、利用開始の最大のきっかけになります。営業なら提案資料の作成、経理なら数値データの整理、人事なら募集要項の作成など、職種・部署別の活用シーンを提示することが重要です。

方法2心理的ハードルを下げる「最初の成功体験」を作る

「使ってみたら意外と簡単だった」「思ったより便利だった」という小さな成功体験が、苦手意識を解消します。最初は誰でも成果を出せる簡単な業務から始め、AIへの抵抗感を取り除くことが、使わない層を動かす近道です。

方法3安心して使うためのセキュリティルールを整備する

「何を入力してよくて、何を入力してはいけないのか」という基準が明確になれば、漏洩リスクへの不安から使えなかった層も安心して使い始められます。セキュリティリテラシーの教育は、リスク対策であると同時に、利用促進の施策でもあります。

方法4全社員が同じ土台に立つ教育機会を提供する

個人任せにせず、会社として体系的な教育の場を設けることが、格差解消の本質的な対策です。全社員が最低限の活用スキルとリテラシーを身につける機会を用意することで、「学ぶ機会の不平等」による格差を解消できます。

方法5成功事例とノウハウを組織で共有する仕組みを作る

使える社員のノウハウを個人に閉じ込めず、組織で共有する仕組みを作ります。社内勉強会、活用事例の共有会、プロンプトの共有など、ノウハウが横に広がる仕掛けがあることで、組織全体の底上げが進みます。

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AI格差の解消には「研修」と「定着の仕組み」が必要

ここまで挙げた方法を実行するうえで、効果的な手段の一つが社員向けのAI研修です。ただし、研修を「一度実施して終わり」にしてしまうと、せっかく学んだ内容も時間とともに風化し、再び二極化が進んでしまいます。

重要なのは、次の2点を両立させることです。

1.全社員のレベルを底上げする研修

職種・部署に合わせた実務直結の内容で、「自分の業務でどう使うか」をその場で体験できる研修を、全社員が受けられる形で提供する。

2.研修後に活用を定着させる仕組み

研修後も疑問を解消できるフォローアップ体制や、成功事例を共有する場を用意し、学んだスキルが現場で使われ続ける状態を作る。

この両輪が揃って初めて、AI格差は解消に向かいます。

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まとめ

社内のAI格差(二極化)について、要点を整理します。

  • 生成AIはツールを配布しただけでは利用が二極化していく
  • 格差が生まれる主な原因は、活用イメージの欠如・心理的ハードル・個人依存・組織的な仕組みの不在
  • 解消には、実務直結の活用方法の提示、成功体験の創出、セキュリティルールの整備、体系的な教育機会の提供、ノウハウ共有の仕組みづくりが有効
  • 「研修」と「研修後の定着の仕組み」を両輪で回すことが、根本的な解決につながる

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