人材育成デジタルスキル標準「データサイエンティスト」の人材育成
2023/06/28日本のDX人材不足をうけて、企業におけるDX人材育成の指針となる「デジタルスキル標準」では、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つの人材類型が策定されています。
前回の記事デジタルスキル標準「デザイナー」の人材育成では、デザイナーの人材類型で定義されているロールや、求められるスキルについて触れてきました。今回は、人材類型「データサイエンティスト」について触れていきます。
目次
人材類型「データサイエンティスト」
デジタルスキル標準の「データサイエンティスト」では、「DX推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスを実現するために、データ収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材」という定義がされています。
データサイエンティストに求められる役割としては、自社の競争力向上につながるデータ活用を実現すること、DXにおけるデータ活用の業務を遂行し、他のDX人材と連携することが求められます。データサイエンティストのロールには、次の3つがあります。
データビジネスストラテジスト
事業戦略に基づいたデータ活用の戦略策定と実現を主導する役割を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 自社の事業戦略におけるデータ活用の是非の判断や、データ活用戦略を策定する
- データ活用戦略を実現するための計画を主導し、他のDX人材との連携してプロジェクトのマネジメントを行う
- 現場を巻き込みながらデータ活用方法の見直しを行い、事業や現場業務の変革を実現する
- 取り組みの成果・課題を把握し、次の取り組みにつなげる
このロールにおいては、ビジネス戦略策定や分析に関するスキルや顧客理解、データ活用やAI活用についてのスキルにおいては高い水準が求められます。一方で、具体的なテクノロジーにおいては役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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DXビジネス戦略研修
自社がDX推進をするための戦略立案にフォーカスしています。DXの基礎知識や成功事例を学ぶだけでなく、市場における自社の立ち位置を把握したうえでDX戦略を立案するための思考力を身につけることができます。 -
データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。 -
UX実践研修
プロジェクトの上流工程で行うUXデザインのワークフローに沿って実践的なスキルを身につけます。UXの概念はもちろん、ユーザーのニーズ分析や、その結果をもとにした設計への落とし込みなど演習を通じて学習します。
データサイエンスプロフェッショナル
データ分析を通じて業務変革やビジネスの創出につながる知見を導出する役割を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- AI・データサイエンスの専門知識を活用したデータ解析を行い、評価・分析を行う
- データ分析の結果から、業務改革・ビジネス創出につながる知見を導き出し、可視化を行う
- 現場でデータ活用するための仕組みづくりや、エンドユーザーへの教育・サポートを行う
- データ活用の運用状況やニーズを踏まえ、分析モデルの改善を行う
- AI・データサイエンスの新技術を把握し、活用の可能性の検証をする
このロールでは、顧客ニーズの検証や、データ分析、AI技術などのスキルに高い専門性が求められます。一方で、ビジネス戦略やAI以外の分野の開発系テクノロジーについては、説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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AI(数理知識)研修
AIの基本的な概要から、機械学習やディープラーニングなどを実装するうえで必要な微分、行列、確率統計などの数理知識を学びます。 -
AI(機械学習)研修
AIにおける機械学習の仕組みやアルゴリズムの種類などの基礎知識や、機械学習ライブラリのScikit-learnを活用した機能の実装や、重回帰分析やロジスティクス回帰、クラスタリングなどの機械学習で用いられる様々な手法など、具体的な技術について学習をします。 -
AI(ディープラーニング)研修
AIにおける機械学習とディープラーニングの違いや、開発・運用に必要な環境、パーセプトロンやニューラルネットの仕組み、ディープラーニングを支える各種技術について学習します。 -
データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。
データエンジニア
効率的なデータ分析をするための環境の設計や実装、運用を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 業務データなどを効率的に収集・解析を行うためのシステムを設計し、その実装を主導し、最適な稼働をさせる
- 状況の変化に応じて、リアルタイムかつ自動的にデータ分析ができる環境を構築する
- データ処理・解析に必要となるデータの加工やデータマートを作成する
- 他のDX人材が適切にモニタリングできるよう環境を整備する
このロールにおいては、データ活用への理解やシステム開発に関するテクノロジー、セキュリティに関する高いスキルが求められます。一方でAIの専門知識やビジネス戦略・ビジネスモデルなどに関するスキルは説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。 -
ITエンジニア総合研修
システム開発のワークフローを把握したうえで、開発言語やAWSなどの関連技術のスキルを習得。新人エンジニアを戦力化します。要望に応じて使用する言語や、開発演習の内容を含めることもできます。 -
プロジェクトマネジメント応用研修
要件定義や品質管理、スケジュールの管理やリスクマネジメントなど、さまざまなワークショップを通じてプロジェクトマネージャーの仕事への理解を深めることができます。また、AI開発にも対応できるよう、AIシステム開発において押さえておくべき基本知識や、マネジメントでチェックをすべきポイントなどを学習します。
インターネット・アカデミーでは、さまざまなテーマの研修や、貴社のご要望に合わせたカスタマイズもできます。デジタルスキル標準に沿って人材育成を行いたい方は、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者
インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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