人材育成DX研修とは?失敗しないDX人材育成のポイント

2025/11/04
DX研修とは?失敗しないDX人材育成のポイント

DX研修とは、企業が自社のDXを推進するためにテクノロジーをはじめとした様々な知識やスキル、マインドスタンスなどを身につける研修です。

IPA「DX動向2025」では、DXを推進する人材が不足していると回答した企業が85.1%に上っており、多くの企業でDX人材が不足しています。DX人材の採用が困難なこともあり、社内人材を育成するためにDX研修を積極的に実施する企業も増えています。

しかし、「DX研修」の定義は広く、この中には基本的なリテラシー向上研修から専門的な技術研修まで含まれており、育成したいDX人材の種類によっても適した研修が異なってきます。

この記事では、DX研修の種類や、よくある失敗例、人材育成を成功させるためのポイントなどを解説していきます。

DX人材の種類と適した研修

一口に「DX人材」と言っても、そこに内包される職種・役割は多岐に渡っており、求められるスキルレベルも異なっています。そのため、まずはDX人材にどのような役割があるのかを把握し、そのうえで適切なトレーニングを設計する必要があります。

DX人材の種類やスキルについては、IPAが策定している「デジタルスキル標準」が参考になります。

DX人材の種類とスキルを定義「デジタルスキル標準」

DX人材の種類とスキルを定義「デジタルスキル標準」

デジタルスキル標準とは、経済産業省・IPAが共同で策定したDX人材の役割や種類、求められるスキルセットを定義したもので、企業が自社に必要なDX人材像や人材育成計画を描く上で参考になります。

デジタルスキル標準は、すべてのビジネスパーソンに必要となるスキルを策定した「DXリテラシー標準」と、DX専門人材の役割とスキルを定義した「DX推進スキル標準」の2つに分かれています。

「DXリテラシー標準」には、デジタルに関する基礎知識(データリテラシー、クラウドの基礎知識など)、生成AI活用、マインドセットなど、職種を問わずすべてのビジネスパーソンが身につけるべきスキルが策定されています。これからDX人材育成に取り組む企業は、まずは全社員を対象にDXリテラシー標準で定義されたスキルを学習するDX研修を行うと良いでしょう。

関連記事:【DSS特集2】DXリテラシー標準を活用した人材育成のメリット

DX専門人材の役割とスキル

DXの専門人材は大きく5つのタイプに分かれており、その中でさらに2~4つの役割が定義されています。それぞれ求められるスキルも異なっているため、育成したいDX人材に合わせた研修を行うことが大切です。

なお、「DX推進スキル標準」では計11の役割が策定されていますが、必ずしもすべての人材が必要になるわけではありません。ビジネス形態や企業の立ち位置などによって兼任でカバーできたり不要になるケースもあれば、外部のパートナーに委託することで対応できるケースもあります。

タイプ 役割 概要 有効なカリキュラム
ビジネスアーキテクト 新規事業開発 新規事業や新サービスの立ち上げのプロジェクト推進を担う 新規事業計画、DX組織改革、マーケティング、データ活用、プロジェクトマネジメント等
既存事業の高度化 既存事業や既存サービスを再定義する際のプロジェクト推進を担う DX戦略、DX組織改革、マーケティング、データ活用、プロジェクトマネジメント等
社内業務の高度化・効率化 社内業務の課題を解決し業務改革する際のプロジェクト推進を担う 業務プロセス改革(BPR)、DX組織改革、業務効率化・自動化、プロジェクトマネジメント等
デザイナー サービスデザイナー 製品・サービスのコンセプト作成や運用するための仕組みの設計を担う UX、マーケティング、DX戦略、プロモーション戦略等
UX/UIデザイナー 製品・サービスのUX設計、情報設計、デザインなどを担う UX、マーケティング、ディレクションなど
グラフィックデザイナー ブランドイメージの具現化、マーケティングにおけるデザインなどを担う グラフィックデザイン、マーケティング、UX等
データサイエンティスト データビジネスストラテジスト データ活用戦略の立案から具体化の実現までを担う データ分析、データ活用、DX戦略、UX等
データサイエンスプロフェッショナル データ分析を通じてビジネス変革・価値創造につながる知見を生み出す役割を担う データ分析、AI、データ活用等
データエンジニア データ分析環境の設計から実装、運用を担う データ分析、サーバー、データベース、ソフトウェア開発等
ソフトウェアエンジニア フロントエンドエンジニア ソフトウェアのインターフェース部分の実装を担う プログラミング(フロントエンド)、システム設計、ソフトウェア開発等
バックエンドエンジニア ソフトウェアのサーバーサイドのプログラム実装を担う プログラミング(サーバーサイド)、サーバー、データベース、プロジェクトマネジメント等
クラウドエンジニア/SRE クラウドを活用したソフトウェアにおける開発・運用環境の最適化を担う クラウド、仮想化、AWS、セキュリティ対策等
フィジカルコンピューティングエンジニア 物理領域のデジタル化、デバイスを含めたソフトウェア機能の実現を担う ソフトウェア設計、セキュリティ、コンピュータサイエンス等
サイバーセキュリティ サイバーセキュリティマネージャー サイバーセキュリティリスクの評価や組織体制の整備などの対策を担う セキュリティマネジメント、セキュリティ体制構築・運営、データ活用、プロジェクトマネジメント等
サイバーセキュリティエンジニア サイバーセキュリティ対策の実装、保守、運用などを担う セキュア設計・開発・構築、クラウド、サーバー、セキュリティ対策等

関連記事:デジタルスキル標準に則したDX人材を育成する

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DX人材育成のよくある失敗例

DX人材育成のよくある失敗

DX人材育成のための研修に取り組んでいる企業が多い一方で、活躍するDX人材を育成できず、DX推進プロジェクト自体も頓挫してしまうというケースも枚挙にいとまがありません

インターネット・アカデミーには、多くの企業様からDX人材育成のお問い合わせが寄せられており「DX人材育成に取り組んだがうまくいかなかった」というご相談もいただいています。

DX推進を成功に導く人材育成をするためには、避けるべき落とし穴を把握しておくことが大切です。ここでは、よくあるDX人材育成の失敗例を紹介します。

失敗例1:経営戦略に紐づいておらずDXを現場に丸投げしている

DXを成功させるためには、経営戦略にDXが組み込まれており、組織的なDX推進の支援体制も必要となります。しかし、「経営陣にデジタルに精通している人材がおらず現場に丸投げになっている」「DX部門が立ち上げられたが裁量がない」といったケースも多く、こうした状況ではDXが進まないか、現場での個別最適にとどまってしまうことになります。

失敗例2:人材育成計画がないままeラーニング導入などをしている

先述のとおりDX人材には様々なタイプがあり必要なスキルも異なるため、誰がどのようなスキルを身につけるかという計画や方針が大切です。しかし、こうした計画がないままeラーニング導入をしてしまうと、ほとんど効果が得られません。

特に、システムだけ導入して学習を社員に丸投げしてしまうと以下のような状態になりやすいため注意が必要です。

  • 視聴しないか、別の作業をしながらの視聴記録だけ残しており学習効果がない
  • 自分の興味がある動画だけを観てしまう
  • 視聴はするものの業務活用できるレベルに至らない

失敗例3:DX研修を受ける社員がDXに否定的

DX研修を受ける社員がDXに否定的

会社としてはDXを推進したいが現場の社員が反発しているというケースも多くあり、「現場の業務が多忙で研修参加に否定的」「今までのやり方で通用していると感じている」「DX推進するメリットがわからない」などが代表的です。

この場合、DX研修に参加する社員の学習意欲が低いため、学習効果や研修後の行動変化もほぼ出ません。受講者のモチベーション形成をしたり、DXへの貢献や理解度などを人事評価に組み込むなどの対応も必要となります。

関連記事:「とりあえずDX」はリスク大!失敗しないDX人材育成とは?

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DX人材育成を成功させるためのポイント

DX人材育成を成功させるためには、先に触れた失敗例を避ける対策を行うと良いでしょう。インターネット・アカデミーにDX研修をご依頼いただいた企業様でも、以下の要件が満たされている場合、特に高い学習効果や、DX推進に大きな進展が見られます。

DX推進を成功に導く人材育成をするためには、避けるべき落とし穴を把握しておくことが大切です。ここでは、よくあるDX人材育成の失敗例を紹介します。

1.企業の経営戦略にDX推進が組み込まれている

会社の方針や人事評価にDXが明確に組み込まれている場合、全社的にDX推進、DX人材育成に取り組みやすくなります。こうした企業には、以下のような特徴が見られます。

  • 経営陣がDXをトップダウンで強く推進してる
  • 経営会議にデジタルに強い人材が参加しており発言権もある
  • DX部門に十分な裁量や権限が与えられている

経営戦略とDXが連動していない場合、経営陣や管理力を中心にDXリテラシーの向上や、DX戦略に関する知識を学ぶ研修などを行うと良いでしょう。

2.DX人材育成計画を立てる

DX人材育成計画を立てる

自社に必要となるDX人材の役割や身につけるべきスキルが整理されており、学習計画に落とし込まれている企業はDX人材育成がスムーズに進みます。企業によっては、DXスキルが人事評価に組み込まれているケースもあり、この場合、社員の学習意欲の向上にもつながります。

経済産業省の「デジタルスキル標準」はDX人材育成計画を立てる上で有用ですが、実際には自社の環境に合わせたカスタマイズが必要になることが多いです。そのため、DX人材育成計画を立てる際に、一定のデジタルリテラシーやDX戦略への理解が求められます。

こうした場合は、DX戦略を立てる前に全社的なDXリテラシーを引き上げることから始めるのも良いでしょう。「DXリテラシー標準」では、すべてのビジネスパーソンに求められる基本的なDXスキルが定義されていますので学習した内容が無駄になることはありません。また、基本的なDXリテラシーを身につけることでDX戦略への解像度が上がり、適切な戦略立案や人材育成計画が立てやすくなります。

3.現場社員の学習意欲を高める

現場の社員がDX推進に否定的な状態で行うDX研修はほとんど効果が得られません。研修前にモチベーション形成を行ったり、評価指標に組み込むなどの対応をするのが良いでしょう。

インターネット・アカデミーでは、受講する現場社員の方のモチベーション形成も行っています。研修前に学習をすることで実際に自分の業務が効率化できるイメージをお伝えするなど学習意欲を高めた状態で研修を行ったり、研修中のファシリテーションにより受講者のモチベーションを向上するなどを行っています。

関連記事:「学んだ内容が実務で使えない」から脱却 実践型DX人材の育成事例

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DX研修の発注先の選び方

DX研修サービスを提供している企業は数多くあり、自社に適した発注先を選定する必要があります。ここでは、発注先を選定するうえでのポイントについて触れていきます。

カリキュラム内容と実績

「DX研修」という言葉には幅広い学習テーマが内包されているため、育成したいDX人材に適したテーマのカリキュラムを選定する必要があります。

また、研修内でどのような演習が行われるのか、アウトプットが期待できるのかも確認すると良いでしょう。リテラシー向上などの基礎知識習得が目的であればインプット重視のカリキュラムでも良いかもしれませんが、「業務効率化」「データ分析」など実務活用がゴールになる場合、研修内での演習の質や、研修の成果物としてのアウトプットのレベルが重要になります。

業者選定をする際に、実際のカリキュラム内容や演習事例、アウトプットの事例、実際にその研修を行った企業の事例などを確認すると良いでしょう。

研修費用

「自社の予算内で研修を行うことができるのか」という点はもちろん重要ですが、期待できる効果と照らし合わせて判断すると良いでしょう。ここでは、eラーニング、パッケージ型の単発DX研修、カスタマイズ研修や伴走支援サービスに分類して紹介します。

研修のタイプ 価格 説明
eラーニング 安価に導入できるためハードルが低い。一方で、受講環境や学習コンテンツ選定などを怠ると学習効果がほぼ得られないため注意が必要。
パッケージ型の研修 低~中 学習テーマによって金額は変動する。価格は抑えやすく基礎学習にオススメ。一方で、自社業務に必要なスキルが含まれない・不要なスキルがカリキュラムに含まれるケースがあるなどのデメリットもある。
カスタマイズ研修
伴走支援サービス
中~高 自社の業務にあわせてカリキュラムや伴走支援サービスが提供されるため、最も高い効果が期待できる。一方で費用が高額になりやすい。

また、DX研修では厚生労働省「人材開発支援助成金」を利用することができます。この制度を利用することで研修費用の負担を大幅に削減できるため、費用に不安がある場合は助成金の活用をお勧めします。

インターネット・アカデミーでは上記のいずれのサービスも提供しており、ご要望に適したサービスの提案や助成金の活用相談についても承っていますので、お気軽にご相談ください。

関連記事:育成の流れから学ぶべきスキルまで紹介 DX人材育成事例10選 DX人材育成のお役立ち資料をダウンロードする

DX研修で活用できる助成金

DX研修では、厚生労働省の「人材開発支援助成金」を活用することができます。基本的には研修費用に対する「経費助成」と、受講中の賃金に対する「賃金助成」が支給される制度となっており、人材育成の目的やテーマに応じていくつかのコースが用意されています。

助成金の支給額

経費助成は研修費用に対して支給され、DX研修の場合は30~75%の支給率になります。この支給率は企業規模や利用する助成金コースによって異なります。

賃金助成は研修を受講時間中の賃金に対して支給され、DX研修の場合は1人1時間あたり400~1000円となります。これも賃金助成と同様に、企業規模・助成金コースによって異なります。

助成金を活用する場合、研修開始の1か月前までに労働局に申請を行う必要があります。この申請には、具体的な研修の内容や実施期間などを記載した「訓練実施計画届」などが含まれます。申請に必要な書類を作成するにも時間を要するため、研修を依頼する発注先には3か月前には相談をしておくのが理想です。

社内での稟議に時間がかかる企業の場合は、さらにゆとりを持って発注先検討を進めるのがおすすめです。

DX研修で使える代表的な助成金コースと支給額
助成金コース 概要 経費助成 賃金助成(1人1時間あたり)
事業展開等リスキリング支援コース DX人材育成の場合に利用できる。令和8年までの期間限定。 75%
(60%)
1000円
(500円)
人への投資促進コース
(高度デジタル人材訓練)
経済産業省「Reスキル講座」※や、DX認定を受けている企業が対象。 75%
(60%)
1000円
(500円)
人材育成支援コース 研修テーマの制限はなく、新人IT研修や、DX以外を目的としたテーマの研修にも対応している。 45%
(30%)
800円
(400円)

※( )の数字は大企業が利用した場合に適用されます。
※Reスキル講座は、経済産業省が認定している高度IT人材やDX人材を育成するための講座です。インターネット・アカデミーでは、AIやIoT、DX人材を育成するための講座の認定を受けています。

ここでは概要をまとめていますが、支給要件など細かな規定もありますので、助成金を活用したDX研修を検討していている企業様はお気軽にご相談ください。

関連記事:デジタル人材育成の費用負担を軽減できる助成金制度 DX人材育成のお役立ち資料をダウンロードする

DX研修のカリキュラム例

インターネット・アカデミーではDXリテラシーなどの基礎から、データ活用や業務プロセス改革といった実践、システム開発などの専門技術まで、多彩なカリキュラムを用意しています。

目的 主な研修
社員のDXリテラシーを高める DXリテラシー研修、生成AI活用研修、情報セキュリティ研修
DXを推進する人材を育成する DX戦略研修、新規事業計画研修、業務プロセス改革(BPR)研修、プロジェクトマネジメント研修、データ分析研修
現場の業務を効率化する 業務効率化ツール活用研修(Power Automate等)、データ利活用研修、業務プロセス改革(BPR)研修
システム導入を成功させる ベンダーマネジメント研修、システム設計研修、システム開発基礎研修
内製化を進める エンジニア育成研修、システム設計研修、デジタルマーケティング研修、Web制作研修
基礎から実践まで、完全オーダーメイドも可能なDX研修

インターネット・アカデミーは1995年より、約30年にわたり受講者が着実にステップアップできる体系的なIT・DX研修のカリキュラムを開発、改良し続けています。また、完全オーダーメイドにも対応しており、実務に合わせた演習、業務データを用いたデータ分析なども対応しています。

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インターネット・アカデミーのDX研修事例

インターネット・アカデミーでは、大企業から中小企業まで1200社を超える企業のDX・IT人材育成を行っています。ここでは、その導入事例の一部を紹介します。

住商グローバル・ロジスティクス株式会社 研修終了後2ヵ月には業務自動化が実現

研修が終了してから約2ヵ月後、受講者を少人数で数回に分けてPowerPlatformの座談会を実施し、研修後の変化や現在の使用状況、疑問点などを共有し合いました。その結果、BIを活用した統計情報のグラフ化、FormsとAutomateを活用し回答内容をメール本文に埋め込み送信までの自動化など、当チームが想像していた以上のアイデアや既に業務に活用されている事例があり、大きな効果が出ていることを実感しました。
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セガサミーホールディングス株式会社 実際の業務データを用いたデータ活用研修

今回の研修を通じてデータ利活用に関する種をまき、芽が出るところまではいけたのではないかと思います。その理由は最初からリアルな形での課題設定ができたことが大きいと思います。研修の内容が業務に近かったからこそ、受講された方たちも最速で次のステップへ向かうことができたと思います。研修後も自走している人が多く生まれている感触があります。
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