育成の流れから学ぶべきスキルまで紹介DX人材育成事例
10選
多くの企業がDX人材育成に取り組んだものの、なかなか思うような成果が出ずに悩んでいる企業が多いのが現状です。特に、DX人材育成に取り組んだ際に、以下のような失敗が起きやすくなっています。
ここでは、DX人材育成の進め方や、必要となるスキルと効果的なDX研修プログラムについて、成功事例を交えて紹介します。
- eラーニングを導入しただけで終わっている
- 自社の業務に適したスキルを学んでいない
- DX研修を受講する社員が納得しておらず現場で反発が起きる
DX人材育成の進め方と必要なスキル
DX人材育成を成功させるためのアプローチ方法の一例として、以下をオススメします。

1. DX人材育成計画の策定

一口に「DX人材」と言っても実際には様々な役割があり、役割に応じて求められるスキルセットも異なります。そのため、漠然とDX人材を育成しようとしても「何をしたら良いかわからない」という状態になりやすいです。
そこで役に立つのが、経済産業省が策定している「デジタルスキル標準」です。
デジタルスキル標準では、DX専門人材は大きく5種類に分けられており、それぞれの職務に求められるスキルセットが定義されており、自社のDX人材育成計画を立てる上で大いに参考になります。
また、ここで定義されているDX人材は必ずしもすべて必要ではなく、自社のビジネス形態や事業規模などによって求められるスキルも変わってきますし、外部パートナーが担える役割もあります。
なお、「これからDXに取り組みたいが何をすればよいかわからない」というフェーズでは、自社に必要なDX人材やスキルセットを定義すること自体が困難です。その場合は、次に解説する2~3を先に取り組むのもオススメです。
2. DXマインドの醸成

DX人材育成に取り組むうえで忘れてはいけないのが、受講する社員のモチベーションです。学習へのモチベーションが低い状態で研修を導入しても、ほとんど効果を生みません。
社内でDXへの抵抗勢力があるというお悩みをよく伺いますが、社員の方は「DXと言われても自分の業務にメリットがないし、業務改善されるイメージもわかない」「業務で忙しいので研修を受けたくない」など後ろ向きな意見を持っています。
この不満の解消を行わない状態でDX研修をしても、ほとんど効果は出ないでしょう。そのため、研修を受ける前にマインド醸成をすることが大切です。
なお、インターネット・アカデミーでは、このマインド醸成もセットで研修を承っていますので、お困りの場合はお気軽にご相談ください。
3. DXリテラシー向上
デジタルスキル標準では、DX時代にすべてのビジネスパーソンが身につけるべき「DXリテラシー標準」と、DX専門人材とそれぞれに求められる「DX推進スキル」が定義されています。
まずは全社員共通で必要となる「DXリテラシー標準」の習得から始めることで、組織全体のDX推進がしやすくなります。また、経済産業省「DX動向2024」においても、DXリテラシー向上に取り組む組織ほどDXで成果が生まれているという調査結果がでています。
DX人材育成計画の策定でお困りの場合は、まずは全社的にDXリテラシーを向上することで、自社に必要な人材やスキルの解像度が上がりますので、2~3を先に取り組むのもオススメです。
- DXへのマインドスタンス
- デジタル技術のリテラシー
- 生成AI活用
- データ活用
- デジタルツール活用
- 情報セキュリティ
4. DX専門スキルの習得と現場活用
DX専門人材の育成フェーズとなります。このフェーズにおいても実践を伴うスキル習得が重要となります。

また、実際にDXの現場で新たな疑問点が生まれたり、あるいは研修で学んだ内容を忘れてしまい十分な成果が出せないというケースが頻発しやすいです。そのため、学習した内容を振り返りやすいようにeラーニングと併用するなども効果的です。
インターネット・アカデミーでは、実務に紐づけたカスタマイズ型のDX実践ワークショップや現場で生じた疑問点を講師に質問できる「オフィスアワー」などにより実務活用を担保しています。
DX研修の事例10選
最後に、インターネット・アカデミーでDX人材育成を行った企業様の実例を紹介します。より詳しい事例、業種別の事例紹介については個別相談で承っていますので、お気軽にご相談ください。
「業務自動化ツール研修」で研修2か月後には業務自動化が浸透住商グローバル・ロジスティクス株式会社

- 研修テーマ
- 業務効率化研修
(Power Platform、Power BI、Power Automate、Power Apps) - 受講者
- 一般社員
- 研修前の課題
- Power Platformを社内で使える環境にありながら調査や検討が足りず、会社全体での利用や推進ができていなかった
- 研修後の成果
- 研修2か月後には、それぞれの部署でPower Platformを活用した業務効率化が実現した
BIを活用した統計情報のグラフ化、Automateを活用した緊急連絡の一元管理の仕組み、FormsとAutomateを活用し、回答内容をメール本文に埋め込み送信までの自動化など、当チームが想像していた以上のアイデアや既に業務に活用されている事例があり、大きな効果が出ていることを実感しました。
「データ利活用研修」で業務データを用いて業務課題を解決する研修を実施セガサミーホールディングス株式会社

- 研修テーマ
- データ利活用研修
(Excel、Power BI、Power Automate、課題設定ワーク、データ利活用実践) - 受講者
- グループ社員35人
- 研修前の課題
- 単発の研修では学んだ知識やスキルを業務に反映することが難しかった
- 研修後の成果
- 実際の業務の課題を解決するというストーリーを持った研修を実施し、知識やスキルのインプットに終わらず研修後に自走できる社員が増えた
今回の研修を通じてデータ利活用に関する種をまき、芽が出るところまではいけたのではないかと思います。その理由は最初からリアルな形での課題設定ができたことが大きいと思います。研修の内容が業務に近かったからこそ、受講された方たちも最速で次のステップへ向かうことができたと思います。研修後も自走している人が多く生まれている感触があります。
「Power Automate Desktop研修」で各部署で業務効率化が実現アイシン高丘株式会社

- 研修テーマ
- 非エンジニア向けPower Automate Desktop研修
- 受講者
- 事務系部門社員20名
- 研修前の課題
- 社内のシステムを開発する際、システム部門と利用する部署やユーザーとで内容のすり合わせなどに時間がかかっていた
- 研修後の成果
- Power Automate Desktopを活用し業務効率化が進み、非IT人材自らノーコードツールによる開発に取り組むようになった
ある事務職の方は、様々な部署やグループ会社に散らばっていたエクセルデータをPADを使ってひとつに集約し、再計算して新たなアウトプットを作り業務効率化に役立てていました。私たちの部署でも請求書の入力でPADを活用しています。ひとつの単票画面を開いて入力して、また別の単票画面を開いて入力して、という作業を自動化しました。
「マーケティング・データ分析研修」で金融×デジタルを推進野村グループ

- 研修テーマ
- データ分析実践研修、デジタルマーケティング研修
- 受講者
- 入社4年目以上の非デジタル職種の社員
- 研修前の課題
- 入社4年目以上の非管理職までを対象とした研修が不足していた
- 研修後の成果
- ビジネス全般に精通するスキルや知識、体系的なデータ分析を学ぶことができた
DXの波は、金融業界でも非常に大きくなっていると感じています。90年代にインターネット証券が参入して以降、デジタルは更に進化を遂げていますので、当社もDXを推進する必要があります。社員一人ひとりのデジタルに対する理解を深めていくことが重要になっていると考えています。
AI技術を共通言語化し、スタンダードレベルまで知識を底上げコニカミノルタ株式会社

- 研修テーマ
- AI基礎研修、AI開発マネジメント研修
- 受講者
- 管理職、中堅社員 約170名
- 研修前の課題
- AIについての理解を深め、提案力やマネジメント力を高める必要があった
- 研修後の成果
- AI技術理解が進みデータサイエンスに対する知識をスタンダードレベルまで底上げできた
今回は基礎クラスでは170名ほど、アドバンスドクラスではおよそ30名が受講しました。「知識の再確認ができた」「基礎から教えてもらえて良かった」といった講義内容に関する感想だけでなく、「管理職として業務全体のイメージができて良かった」「現状の整理とあるべき姿について考えられた」といった意見もありました。受講者全員のAI技術に対する認識のすり合わせや共通言語化、データサイエンスに対する知識をスタンダードレベルまで底上げしたいと考えていたので、その点において目的は達成できたのではと考えています。
SharePoint操作に加えてDXにつながる使い方も習得できたドコモ・サポート株式会社

- 研修テーマ
- SharePoint研修
- 受講者
- 各事業所の社員32人
- 研修前の課題
- 自社の業務特性上、各事業所でSharePointを使いこなす必要があったが苦手な人も多かった
- 研修後の成果
- 受講者全員がSharePointを活用できるようになった
受講者のほとんどはSharePointを学習するのは初めてでした。しかし最終日には全員が自分のサイトをひとりで作ることができるようになりました。研修後も各個人で自分のサイトを作ったり、作ったサイトをブラッシュアップして他の機能をつけたり楽しみながら自己研鑽しています。グループ全体でDX推進するからこそ、得意な方向けではなく、あまり得意ではない方向けに基本の研修を実施していただきましたが、そのレベル設定が良かったです。
未経験の若手から50歳以上の社員まで全員がゴールに到達丸紅 株式会社

- 研修テーマ
- ローコードツールによる営業支援デジタル技術研修、伴走型デジタル人財育成研修
- 受講者
- 営業部門の社員
- 研修前の課題
- ローコードツール活用をしたいお客様のサポートができる営業の育成
- 研修後の成果
- 営業部員のデジタルスキルが向上し、お客様のビジネスのサポートがしやすくなった
受講者の多くは、コードも書いたことがないほぼ未経験者で、若手から50歳以上まで幅広くいました。若い層の方がとっつきは良いように感じたのですが、最終的には年齢に関係なくゴールに到達したので、差はなかったと感じています。このゴールはすべての受講者がクリアしましたし、クオリティの高いショッピングサイトを作った受講者もいます。これは嬉しい驚きでした。
全社的にデジタルリテラシーが向上しDX化が円滑になった新栄プラント株式会社

- 研修テーマ
- DXリテラシー研修
- 受講者
- DX推進に関わる社員
- 研修前の課題
- DXリテラシーやセキュリティについて体系的に学ぶ機会の不足
- 研修後の成果
- セキュリティやDX推進のための基礎知識を固めることができた
DX化について、言葉では知っていても実体をよく理解できていなかった受講者もいたのですが、研修後にはDX化がどういったものなのかを理解することができました。現場でDXをどのように活用できるかのアイディアが出たり、セキュリティ面や今後の潮流を鑑みてどうしていくのがベストかを考えるきっかけになったりもして、DX化のための知識の土台が固まったように思います。
研修後の商談で顧客へのDX提案力が向上した株式会社フォーバル

- 研修テーマ
- DXコンサルティング力育成研修
(業務プロセス改革(BPR)/Power Automate Desktop) - 受講者
- 若手社員5名
- 研修前の課題
- DX推進や業務効率化の支援において、属人化している業務があった
- 研修後の成果
- 受講者がBPRへの理解を深めたことで、商談時のDX推進の話題に説得力と深みが増した
今回の研修を受けて、業務を見つめなおして問題点を抽出し、優先順位をつけるといった進め方、その影響度や難易度といった内容には大変多くの学びがありました。また、DX推進にあたり、ご担当者や決裁者の方が、現場へどう伝えれば協力を得られやすいのかといったコミュニケーション法なども勉強になりました。研修後、商談の機会がすでに何回かありましたが、お客様も私の説明に以前よりも深く納得されていると感じます。研修を受けてよかったと思います。
観光DX推進のためのデジタルマーケティング技術を習得小田急電鉄 株式会社

- 研修テーマ
- デジタルマーケティング研修
- 受講者
- 観光開発事業部の7名
- 研修前の課題
- デジタルマーケティングを推進していくにあたり、Web分析の知識やスキルにばらつきがある
- 研修後の成果
- 専門用語などベースの知識が習得でき、外部企業へのマネジメントも向上した
GoogleアナリティクスやGoogleデータポータルを用いてWeb分析を行う際には、研修後は皆にベースの知識があるということが前提で進められるようになりました。特に我々は、フリーパスをはじめとしたデジタルチケットの売上枚数やWebアクセス状況について日々チェックしているので、研修を通して チームメンバーの足並みを揃えることができたことを実感しています。
IT研修・DX人材育成についてのご相談
IT人材育成に精通したコンサルタントに無料でさまざまな相談をしていただけます。お気軽にご相談ください。
- 人材育成計画を立てるために人材育成の事例などをとりあえず聞きたい
- 助成金の使い方や、支給額のシミュレーションを知りたい
- 自社の業務や受講者のレベルにあったカリキュラムを提案してほしい