「学んだ内容が実務で使えない」から脱却
実践型DX人材の育成事例&助成金活用

2024/12/24
講演者:インターネット・アカデミー 金正煒
DX人材育成&組織作りで業務効率化を実現する方法

本記事は、2024/12/17に開催された「"学んだ内容が実務で使えない"から脱却 実践型DX人材の育成事例&助成金活用セミナー」の講演内容の一部を紹介したものです。

DXで成果が出ている企業の特徴

ここ数年、DX人材育成に取り組む企業が増えてきていますが、以前は「これからDX人材育成を検討する」という入門フェーズのご相談が多かったのに対し、最近では「学んだ内容を実務に落とし込むにはどうすればいいか」という実践フェーズが増えてきたと感じます。

「DX人材育成に取り組んではみたものの、思うような成果が出ない」というお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

IPAが発表している「DX白書2023」のデータを見ると、日本では約7割の企業がDXに取り組んでおりDXへの関心は高まっているものの、DXに取り組む企業のうち成果が出ていると感じている企業は6割を切っているとあります。

また、同じくIPAの「DX動向2024」では、DXに取り組んでいる企業に対して行った「社員のデジタルリテラシー向上に取り組んでいるか」という調査結果が載っています。この調査によると、DXで成果が出ている企業の82%が社員のデジタルリテラシー向上に取り組んでいるのに対し、成果が出ていない企業は64%しか取り組んでいないという結果が出ていました。

DXで成果が出ている企業は「デジタルリテラシー向上」を重視している

この結果だけ見ると当たり前のことではありますが、社員がデジタルに明るい組織のほうがツール導入もスムーズに進みますし、DXによる業務改善のアイデアも出やすくなります。DXで成果を出すための第一歩として重要な取り組みといえます。

DX人材育成で失敗するケース

DX人材育成で失敗するケース

一方で、IT研修やeラーニングなどでDX人材育成に取り組んでいるにも関わらず、実務で変化が起きていないというお悩みを抱えている企業も多いです。インターネット・アカデミーへご相談いただくお悩みで多いもののひとつに、「eラーニングを導入しただけで終わっている」というものがあります。最近も、eラーニングを導入したものの社員200名のうち20名しか受けなかったという製造業のお客様からのご相談をいただきました。

他にも、「受講者が腹落ちしない状態で研修を受けていて行動変化が見られない」「自社の業務に適したスキルを学んでおらず知識のインプットだけで終わっている」なども多いです。

特に最近は「自社の業務に適したスキルを学んでいない」というケースが増えてきているように思います。DX人材育成では政府も助成金制度を充実させており、中には助成金でほぼ無料に近い金額で受講できる研修も存在します。こうした研修を「無料だから」と受講したものの、研修のパッケージに含まれているカリキュラムが自社の業務とマッチせず、学んだことをどこで生かせばいいのかわからないというケースも起きているようです。

DX人材育成に取り組む際に「助成金で安くなる研修を選ぶ」だとミスマッチが起こりやすくなります。実際に、企業の業務形態や文化などによって求められるDX人材の職種やスキルセットは変わってきます。まずは、自社に必要なDX人材を定義することが大切です。

デジタルスキル標準

経済産業省の「デジタルスキル標準」では、DX自体のビジネスに求められる基本スキル「DXリテラシー標準」と、DX人材のタイプやそれぞれに求められるDX専門スキル「DX推進スキル標準」が定義されています。

まずは「デジタルスキル標準」を参考に、自社のDX人材育成の計画を立てることをオススメしています。また、「そうは言っても自社に必要なDX人材を判断するだけの知見がない」というケースもあると思います。

その場合は、最初のステップとして全社的にDXリテラシーを高めるのが良いでしょう。ベースの知識が底上げされることでDX人材の定義がしやすくなりますし、社員のDXリテラシーが向上することで業務改善などのアイデアも生まれやすくなります。

社員の本音は「研修を受けたくない」

社員の本音は「研修を受けたくない」

DX人材育成に取り組むうえで忘れてはいけないのが、受講する社員のモチベーションです。具体的には、受講者のモチベーションが低い状態で研修をしてもほとんど効果を生まないという点に注意する必要があります。研修を受けることがゴールになっていたり、研修の場だけ用意すると、これが盲点になりやすいです。

まず、受講する社員の本音を見てみましょう。多くの社員の方は「DXと言われても自分の業務にメリットがないし、業務改善されるイメージもわかない」「業務で忙しいので研修を受けたくない」「IT技術を学んでも自分の業務では使わない」など後ろ向きな意見を持っています。

実際に、インターネット・アカデミーのDX研修を受けられた方も、こうした意見を持っている方が多数いらっしゃいました。特に、非IT企業の社員の方ほど、この傾向が強いように思います。

インターネット・アカデミーでは、受講者の方のモチベーション形成を行ったうえで研修を進めることでこの問題を解消していますが、これを怠ると研修効果は低下するため注意が必要です。

モチベーション形成のケーススタディ

研修事例:住商グローバル・ロジスティクス株式会社

このモチベーション形成を行い、実務で成果が出たDX研修の事例をご紹介します。

Microsoft 365を契約している企業であれば業務効率化ツールの「Power Platform」が使えますが、ツールが使える環境にあるものの実務では活用されていないという企業も多いと思います。今回紹介する住商グローバル・ロジスティクス株式会社もこうした課題感を持っており、インターネット・アカデミーにPower Platform研修のご依頼をいただきました。

ただ、先ほど触れたように、一般的に多くの社員の方はDX研修に対して後ろ向きです。Power Platformにも「よくわからない難しいツール」「業務に使えるイメージがわかない」などの印象を持たれていたと思います。

そこで、PowerPratformでどのように業務が変わるのかをイメージしていただくための30分ほどの動画を用意させていただき、ツール活用のメリットを感じていただいたうえで研修を行いました。その結果、社員の方にも高いモチベーションで受講していただくことができました。

また、研修が終わって2か月後にお客様のほうで効果測定のための振り返りを行ったそうです。その結果、様々な部署でPowerPratformを使った業務の自動化が進んでいたというお話も伺っています。モチベーション形成をしたうえで実務型の演習を行うことで、研修内容が実務で生かせるようになったケーススタディとなります。

インタビューを見る

他にもBPR(業務プロセス改革)の事例もありますので、併せて紹介します。インターネット・アカデミーではBPR(業務プロセス改善)の講座がありますが、ただ講座を受けるだけでなく、自分事として消化していただくというワークショップを行った事例です。

このケースでは、講座で知識をインプットした後に、自部署の業務のリアルな課題を持ち寄り、それを解決するためのワークショップを行いました。

受講者の方には多くの課題を持ち寄っていただいたきましたが、その中からお客様の担当者の方を交えて優先度の高い課題を5つ選出し、研修内で5つのチームがそれぞれの課題を解決するためのディスカッションや企画書作成を行いました。

BPR(業務プロセス改革)の流れ

また、社内プレゼンで企画が通った後の実行フェーズで新たな課題に気が付くこともあります。そうした課題についても、別途相談いただく時間を設けて伴走支援をしたという事例となります。

このような実務をテーマにしたワークショップを取り入れた研修のご要望を多くいただいていますので、お気軽にご相談ください。

DX人材育成の費用を軽減する助成金制度

最後に、DX人材育成で役立つ助成金について紹介します。

DX研修には相応の費用がかかるため、費用が負担となり断念してしまうケースもあります。こうした費用面にお悩みの場合は、ぜひ厚生労働省の「人材開発支援助成金」の活用をご検討ください。

「人材開発支援助成金」では、経費助成と賃金助成の2種類が支給されます。

経費助成は研修費用に対しての助成金となります。たとえば、助成率75%なら100万円の研修を受ける場合、75万円が支給されます。また、研修は業務時間に受けることが一般的ですが、当然ながらその間の賃金も発生します。その受講中の賃金に対する助成金が賃金助成です。対面での研修やリモート研修の場合は、経費助成と賃金助成の両方が支給されます。

「人材開発支援助成金」にはさまざまなコースが用意されていますが、DX人材育成で使えるもので助成率が高いのは、「事業展開等リスキリング支援コース」と「人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)」です。

DX人材育成の費用を軽減する助成金制度

これらは、経費助成が75%(大企業は60%)、賃金助成は1人1時間あたり960円が支給されます。

「事業展開等リスキリング支援コース」は、DX人材育成を目的とする研修が対象となり、「人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)」はDX認定を受けている企業が人材育成をする場合に使えます。DX認定を受けている企業であれば後者のほうが使いやすいのではと思います。

これらの助成金制度の特徴や、貴社に適したDX人材育成のカリキュラムやそれに対応する助成金コースなどは個別相談で承っていますので、お気軽にご相談ください。

セミナー講師

金正煒
インターネット・アカデミー ITコンサルタント

500社以上の企業のIT教育をコンサルティングした実績をもつ。
エコーネットコンソーシアムフォーラムやLPI日本支部共催セミナーでの関連技術についての講演を担当。 Oracle Certified Java Programmer Silver SE 8、Python3エンジニア認定基礎試験、PHP技術者認定資格など、多数のIT資格を保持。

デジタル人材育成・助成金のお役立ち資料をダウンロード

デジタル人材育成や助成金活用のお役立ち資料などをまとめてダウンロードしていただけます。コンサルタントへの無料相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。

たとえばこんな相談ができます
  • DX人材の育成&事例紹介 リスキリングのロードマップ付き
  • デジタル人材育成に使える助成金制度
  • デジタルスキル標準 役割別おすすめ講座
資料ダウンロードはこちら
会社名必須
部署名必須
お名前必須
電話番号必須
メールアドレス必須

個人情報の利用目的についてご同意いただいた場合のみ、「同意して進む」を押してください。

このページの上へ