人材育成デジタルスキル標準「デザイナー」の人材育成
2023/06/23日本のDX人材不足をうけて、企業におけるDX人材育成の指針となる「デジタルスキル標準」では、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つの人材類型が策定されています。
前回の記事デジタルスキル標準「ビジネスアーキテクト」の人材育成では、ビジネスアーキテクトの人材類型で定義されているロールや、求められるスキルについて触れてきました。今回は、人材類型「デザイナー」について触れていきます
目次
人材類型「デザイナー」
デジタルスキル標準の「デザイナー」では、「ビジネスや顧客の視点をもって製品・サービスのコンセプトや開発プロセスを策定し、それらを体現するデザインを担う人材」という定義がされています。
デザイナーに求められる役割としては、顧客視点でのアプローチを関係者が常に意識できるようにする、倫理的な観点を踏まえて顧客との接点となるタッチポイントのデザインをこなうことが挙げられています。デザイナーのロールには、次の3つがあります。
サービスデザイナー
製品・サービスが顧客や社内外の関係者に提供する価値や、製品・サービスのコンセプトを定義し、それを継続的に実現するための仕組みのデザインを行います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 市場調査やユーザー調査などを通じて製品・サービスに関わるステークホルダーの課題を特定し、顧客・事業・技術についての観点を踏まえて、製品・サービスが提供する価値を定義する
- 製品・サービスが提供する価値に基づき、コンセプトの策定と、それを継続的に実現するための仕組みのデザインを行う
- 製品・サービスの仮説検証から導入後まで、それぞれのフェーズにおいて、実際に顧客に有用か、ビジネスとして成立するかなどを検証する
- 構想段階において、顧客や開発パートナーなど関係者の意見を集約し、同じゴールへ導くためのファシリテートを行う
このロールにおいては、ビジネス戦略策定やプロダクトマネジメント、ビジネス設計、マーケティング、顧客理解などのスキルにおいては高い水準が求められます。一方で、具体的なテクノロジーにおいては役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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DXビジネス戦略研修
自社がDX推進をするための戦略立案にフォーカスしています。DXの基礎知識や成功事例を学ぶだけでなく、市場における自社の立ち位置を把握したうえでDX戦略を立案するための思考力を身につけることができます。 -
マーケティング戦略研修
マーケティングの基本的な概念を学習したうえで、フレームワークを用いながら顧客についての仮説の立て方、それらをもとにしたマーケティング戦略の考え方を学びます。 -
デジタルマーケティング・UX研修
デジタルマーケティングのスキルと、プロジェクトの上流工程で行うUXデザインのワークフローに沿って実践的なスキルを身につけます。顧客理解を元にしたマーケティング施策の実行が可能になります。
UX/UIデザイナー
製品・サービスが提供する価値を踏まえたうえでUX設計、情報設計、デザインを行います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 顧客が製品・サービスとの接点においてとる行動や思考・感情を可視化し、製品・サービスのUXを設計する
- 製品・サービスのコンセプトを、ガイドラインなどの形に具体化し、優れたUXを実現するための情報設計、機能設計なども含めたデザインを行う
- 製品・サービスの仮説検証から導入後まで、それぞれのフェーズにおけるブランディング、マーケティング施策と連動したプロトタイプの作成を行う
- 製品・サービスの仮説検証から導入後まで、それぞれのフェーズでのユーザビリティの評価を行う
このロールでは、顧客理解やマーケティング、設計などのスキルが重視されています。一方で、具体的なデザイン技術やテクノロジーにおいては説明可能なレベルで理解していれば十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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デジタルマーケティング・UX研修
デジタルマーケティングのスキルと、プロジェクトの上流工程で行うUXデザインのワークフローに沿って実践的なスキルを身につけます。顧客理解を元にしたマーケティング施策の実行が可能になります。 -
マーケティング戦略研修
マーケティングの基本的な概念を学習したうえで、フレームワークを用いながら顧客についての仮説の立て方、それらをもとにしたマーケティング戦略の考え方を学びます。 -
Webディレクション応用研修
Webサイト制作などのプロジェクトの上流工程の仕事で必要となるデジタルマーケティングやUXデザインの知識を学んだうえで、ディレクションのスキルを身につけます。
グラフィックデザイナー
ブランドのイメージを具現化し、ブランドとして統一感のあるデザインを行います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- ブランドイメージを表現するために、デジタルグラフィック、マーケティング媒体などのデザインを行う
このロールにおいては、マーケティング、ブランディング、具体的なデザイン技術において高い知見が求められます。それ以外のスキルについては、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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デジタルマーケティング・UX研修
デジタルマーケティングのスキルと、プロジェクトの上流工程で行うUXデザインのワークフローに沿って実践的なスキルを身につけます。顧客理解を元にしたマーケティング施策の実行が可能になります。 -
Webデザイナー応用研修
Webデザインとコーディングのスキルを身につけるWebデザイナー基礎研修の内容に加え、UXデザインや優れたUIの設計方法についても学習します。 -
Adobe XD研修
デザイン制作や、Webサイトやアプリを動かしたときの画面の見え方やボタンを押したときの反応などを確認することができるプロトタイプの制作方法を学びます。
インターネット・アカデミーでは、さまざまなテーマの研修や、貴社のご要望に合わせたカスタマイズもできます。デジタルスキル標準に沿って人材育成を行いたい方は、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者
インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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