人材育成生成AIがより重要に、デジタルスキル標準1.2
2024/10/23
DX人材不足を解消するための人材育成の指標として、経済産業省・IPAが策定した「デジタルスキル標準」があります。
デジタルスキル標準は、DX時代にすべてのビジネスパーソンに求められる基本スキルを定義した「DXリテラシー標準」と、専門的なDX人材の役割と必要なスキルを定義した「DX推進スキル標準」から成り立っています。

このデジタルスキル標準は2024年7月に改定され、ver1.2が公開されました。この記事では、ver1.2への変更点について紹介します。
ver1.2の改定では、生成AIの急速な普及に対応できるDX人材を育成するため、生成AIへの向き合い方や、生成AIに対する具体的なアクションについて言及されています。
※デジタルスキル標準の概略については漠然とした「DX人材」を読み解くためのデジタルスキル標準の記事をご覧ください。
目次
生成AIへの向き合い方

生成AIによって様々な業務の自動化・効率化ができるようになり、ビジネスにおいて大きなインパクトが生まれています。一方で、事実に基づかない不正確な情報を出力するハルシネーションや、権利侵害などのリスクも生じています。
また、言語だけでなく、画像や音声の生成AIなど、テクノロジーの急速な発展に伴い、今後もビジネスや業務に大きな変化が生まれていくことが予想されます。DX人材には、生成AIをはじめとした新技術が起こす変化に対応していくことが求められます。
ver1.2の改定では、生成AIや新技術への向き合い方について以下の言及がされています。
新しい技術に触れ、それらがビジネスや個人に与えるインパクトの大きさや生じるリスクを適切に見極めることが必要です。
新技術をビジネスに取り入れ付加価値を生むための仕組みを、さまざまな役割を担うDX人材と連携しながら構築することが求められます。また、アウトプットの品質向上や、人材のスキル向上などの変革促進を行います。
新技術を最大限に活用するために、テクノロジーの変化に合わせて継続的に習得・向上させる必要があります。
生成AIに対する具体的なアクション
生成AIを自身の業務で活用するか、サービスやシステムを開発するかによって求められるスキルや具体的なアクションも変わってきます。
ver1.2の改定では、「活用」と「開発・提供」の2つの観点から具体的なアクションについて触れられています。
活用する
自身が生成AIを活用したり、業務プロセスなどに組み込まれている生成AIを活用するケースが該当します。具体的なアクションとして、以下が示されています。
生成AIを活用することで、付加価値を生める場面や活用方法を検討します。
正確性や権利侵害などの観点からアウトプットに対しての評価を行い、そのうえで付加価値の向上を実現します。
この時、生成AIの抱えるリスクや、意思決定に用いる場合に適切であるかなどを評価することや、AIシステムの得手・不得手を踏まえた使い分けやプロンプトの入力をするスキルも必要となります。
- 要約・調査・提案
- デザイン生成
- データ生成・プログラミング支援
- ドキュメント生成・テスト支援
- セキュリティ検知・レポーティング
開発・提供する
生成AIを組み込んだ製品・サービスを開発し、ユーザーに提供するケースが該当します。具体的なアクションとして、以下が示されています。
ビジネスの変革や付加価値の向上などを目的とした製品・サービスのコンセプトを策定します。
生成AIを実装するための環境構築やリスクへの対応などを策定します。
目的に応じたAIの設定や学習データの収集・評価、既存システムとの連携を踏まえた実装などを行います。
生成AI活用のノウハウ共有や、ガイドライン策定などでユーザーのスキル向上を推進します。
ユーザーの利用やモデル更新などによる変化をモニタリングし、設定の調整や環境の見直しを行います。
「活用する」と同じように、権利侵害や情報漏洩など生成AIの抱えるリスクへの対応はもちろん、データの可読性や品質を担保するための対応や、知識がないユーザーの利用を想定した運用体制の構築なども行う必要があります。
「学習項目」に生成AI関連技術が追加
「デジタルスキル標準」には、DX人材の役割ごとに求められるスキルを定義した「DX推進スキル標準」があります。DX推進スキル標準は、DX人材を大きく5つのタイプに大別し、各タイプごとに2~4の役割(ロール)に分類し、役割ごとに求められるスキルセットを定義しています。


こちらの表はDX人材「データサイエンスプロフェッショナル」の役割で定義されているスキルですが、この表のような形でカテゴリーやスキル項目、a~dの重要度が定義されています。
たとえば、「データサイエンスプロフェッショナル」の場合は、「AI・データサイエンス」や「データ・AIの戦略的活用」は一定のスキルが必要なのに対し、「データエンジニアリング」については説明できる程度の知識があれば良いという意味になります。
実際のデジタルスキル標準では、スキル項目ごとに学習すべき項目が細かく書かれていますが、ver1.2の改定では、「データ活用」で学ぶべき項目に「大規模言語モデル・画像生成モデル・オーディオ生成モデル」「生成AI(プロンプトエンジニアリング、コーディング支援、ファインチューニング、生成AIの技術活用、生成AI開発)」が追加されています。
AI活用や開発・導入のスキルを身につける
デジタルスキル標準の更新内容について紹介してきましたが、生成AIの業務利用はもちろん、システム開発・ビジネス導入などが重視されていることが更新内容からもわかります。インターネット・アカデミーでは、AI活用、AI開発に対応したカリキュラムがあります。
AI人材育成を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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