人材育成デジタルスキル標準「ソフトウェアエンジニア」の人材育成
2023/06/29
日本のDX人材不足をうけて、企業におけるDX人材育成の指針となる「デジタルスキル標準」では、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティの5つの人材類型が策定されています。
前回の記事デジタルスキル標準「データサイエンティスト」の人材育成では、データサイエンティストの人材類型で定義されているロールや、求められるスキルについて触れてきました。今回は、人材類型「ソフトウェアエンジニア」について触れていきます。

目次
人材類型「ソフトウェアエンジニア」
デジタルスキル標準の「ソフトウェアエンジニア」では、「DX推進において、サービスを提供するためのシステム・ソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材」という定義がされています。
ソフトウェアエンジニアに求められる役割としては、ITを活用した製品・サービスの実装・運用はもちろん、新サービスの構想を具体化していくことが期待されています。そのためには、ステークホルダーと柔軟に連携しながら顧客ニーズを満たすソフトウェアを作り出すための高い技術力の習得が欠かせません。スキルがソフトウェアエンジニアのロールには、次の4つがあります。
フロントエンドエンジニア
ユーザーの目に触れるアプリケーションのインターフェース部分の開発を行います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 顧客ニーズを理解したうえで、UXを向上させるためのソフトウェアを設計・実装する
- プロトタイプを作成し、ユーザーのフィードバックを集めUIに反映する
- サービス利用をしたユーザーからのフィードバックをもとに改善を行う
このロールにおいては、ソフトウェアの設計やアプリケーション開発に関する技術、UXに関する知識は高い水準が求められます。一方で、ビジネス戦略やマーケティング、セキュリティなどの技術については説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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フロントエンドエンジニア研修
Webサイトのコーディングや、ReactやVueなどのUIに優れたWebサイトやWebアプリ開発を行うためのJavaScriptライブラリ、フレームワークを学習します。Webアプリを開発する演習を通じて、実践的なスキルを習得します。 -
Webアプリ制作応用研修
ターゲットユーザーの設定、ユーザビリティやアクセシビリティの概念などアプリのUXを高めるための上流工程の知識やUIデザインの基本を学習したうえで、ReactによるWebアプリ開発のスキルを習得します。 -
UX実践研修
プロジェクトの上流工程で行うUXデザインのワークフローに沿って実践的なスキルを身につけます。UXの概念はもちろん、ユーザーのニーズ分析や、その結果をもとにした設計への落とし込みなど演習を通じて学習します。
バックエンドエンジニア
DX推進に欠かせないシステムのうち、サーバーサイドの機能を実装する役割を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- 顧客ニーズを理解したうえで、UXを向上させるためのソフトウェアを設計・実装する
- プロトタイプを作成しながら、ユーザーのフィードバックを集めサーバーサイドの機能を実装する
- サービス利用をしたユーザーからのフィードバックをもとに改善を行う
このロールでは、ソフトウェアの設計やデータ活用、アプリケーション開発に関する技術、セキュリティ知識、は高い水準が求められます。一方で、ビジネス戦略やマーケティング、UXなどの技術については説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。 -
ITエンジニア総合研修
システム開発のワークフローを把握したうえで、開発言語やAWSなどの関連技術のスキルを習得。新人エンジニアを戦力化します。要望に応じて使用する言語や、開発演習の内容を含めることもできます。 -
プロジェクトマネジメント応用研修
要件定義や品質管理、スケジュールの管理やリスクマネジメントなど、さまざまなワークショップを通じてプロジェクトマネージャーの仕事への理解を深めることができます。また、AI開発にも対応できるよう、AIシステム開発において押さえておくべき基本知識や、マネジメントでチェックをすべきポイントなどを学習します。
クラウドエンジニア/SRE(Service ReliabilityEngineering)
DX推進に欠かせないシステムのうち、開発や運用環境の最適化・信頼性に責任をもつ役割です。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- ユーザーのニーズを把握し、ニーズを実現するためのソフトウェアの開発・運用環境を整える
- 開発を行っているエンジニアからのフィードバックをもとに、運用環境を最適化する
- サービス運用後にモニタリングを行い、サービスの信頼性の向上を実現するための対応を行う
このロールにおいては、データ活用への理解やシステム開発に関するテクノロジー、特にクラウドやセキュリティについては高いスキルが求められます。一方でビジネス戦略や顧客理解、マーケティングなどは説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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AWS応用研修
CloudWatchやLambda、CloudFormationなどのサービスを演習を通じて実践的なスキルを習得します。この研修では、AWSの基礎を理解していることが前提となるため、初学者の場合はAWS研修とセットでの受講を推奨しています。 -
データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。 -
クラウド・仮想化研修研修
クラウドコンピューティングの基礎知識やAWSとAzureでサーバーを立ち上げるための方法に加え、仮想化技術である「Docker」や「Vagrant」について学習します。
フィジカルコンピューティングエンジニア
デジタル技術を活用したサービスを提供するソフトウェア開発において、デバイスなどの物理領域のデジタル化を担います。具体的な業務としては以下のようなものが定義されています。
- ユーザーのニーズを把握し、ニーズを実現するためのデバイス・ソフトウェアの設計・実装を行う
- 物理的なデバイスからデータ取得したり、現実に作用するソフトウェアを開発する
- プロトタイプを作成しながら、ユーザーのフィードバックを集めサーバーサイドの機能を実装する
- サービス利用をしたユーザーからのフィードバックをもとに改善を行う
このロールにおいては、データ活用への理解やシステム開発に関するテクノロジー、物理領域のフィジカルコンピューティング、セキュリティについては高いスキルが求められます。一方でビジネス戦略や顧客理解、マーケティングなどは説明ができるレベル、あるいは、役割や関連性の理解ができるレベルの知識で十分とされています。
このロールに効果的なカリキュラムの一部を紹介します。
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AWS応用研修
CloudWatchやLambda、CloudFormationなどのサービスを演習を通じて実践的なスキルを習得します。この研修では、AWSの基礎を理解していることが前提となるため、初学者の場合はAWS研修とセットでの受講を推奨しています。 -
データ分析基礎研修
プログラミングで、社内外のcsvやエクセルデータを読み込ませて、加工、集計、グラフ化するシステムの構築方法と、分析方法について学習。取り込んだデータから仮説を立てて問題分析する演習も行います。 -
ITエンジニア総合研修
システム開発のワークフローを把握したうえで、開発言語やAWSなどの関連技術のスキルを習得。新人エンジニアを戦力化します。要望に応じて使用する言語や、開発演習の内容を含めることもできます。
インターネット・アカデミーでは、さまざまなテーマの研修や、貴社のご要望に合わせたカスタマイズもできます。デジタルスキル標準に沿って人材育成を行いたい方は、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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