人材育成AI研修は集合とオンラインのどちらにすべきか?拠点が分散した企業の実施形式の決め方
2026/09/04
AI研修の導入を検討する際、カリキュラムの内容と同じくらい判断に迷うのが「どの形式で実施するか」です。実際に、次のような状態で手が止まっている企業は少なくありません。
- 対面のほうが効果が出ることは分かっているが、拠点が分散していて全員を集められない
- オンラインなら実施できるが、受講者が本当についてきているのか分からない
- ハイブリッドが良いと言われるものの、何をどう分ければよいのか判断できない
このように、実際の現場担当者の悩みとなるのは「効果が出る形式を、予算と運用の制約の中でどう成立させるか」という点です。この記事では、実施形式を決めるための判断軸と、拠点が分散した企業での現実的な組み合わせ方を整理します。
AI研修で重要な演習時間

生成AIの業務活用は、仕組みを理解しただけでは定着しないため、AI研修においては演習の比率の高さが重要となります。実際にプロンプトを入力し、思ったような回答が返ってこない経験をしながら、指示の出し方を修正するといった試行錯誤の過程を通らないと、活用スキルはなかなか定着しません。
そして演習中は、プロンプトが書けない、画面のどこを操作すればよいか分からない、出力の良し悪しが判断できない、といった要因で受講者の手が止まります。この止まっている状態を講師が察知しフォローしやすいかどうかが、実施形式によって大きく変わります。
講師がいる対面やオンライン形式であればフォローがしやすいですが、eラーニングの場合は受講者任せになってしまうため、そのまま学習が止まってしまったり映像だけ流して終わってしまうケースもあります。
そうなると「対面が良い」となりますが、実際には拠点が分散していて集合研修ができないケースや、予算面での制約などもあるため、こうした制約と研修効果のバランスをとる必要があります。
AI研修のお役立ち資料をダウンロードする3つの実施形式の特性
まず、それぞれの形式の特徴を整理します。一般的には以下の表のとおりですが、実際に研修形式を選択する際の判断は、後述するさまざまな制約とのすり合わせによって行う必要があります。
| 集合研修 | オンラインライブ | eラーニング | |
|---|---|---|---|
| 演習中のつまずき検知 | 高い | 中程度 | 低い |
| 複数拠点への対応 | 低い | 高い | 高い |
| 受講タイミングの自由度 | 低い | 低い | 高い |
| 1回あたりの実施コスト | 高い(会場・出張費) | 中程度 | 低い |
| 受講者同士の相互作用 | 高い | 中程度 | ほぼない |
| 実施後の見返し | 不可 | 録画があれば可 | 可 |
研修形式を決める際の制約
インターネット・アカデミーにご相談いただく企業からは実施形式に関するご相談もいただきますが、その多くは「どの形式が良いか」ではなく、「さまざまな制約のなかでどうすればよいか」という内容です。
予算の制約対面が良いと分かっていても、出張費で稟議が通らない
全国に複数の拠点を持つある製造業(従業員約330名)のケースでは、全社員を対象としたAI研修を検討しており、担当者は効果を出すには対面での集合研修が望ましいと考えていました。しかし研修を複数回に分けて実施する必要があり、そのたびに発生する出張費が積み上がることで、上層部の承認が得られる予算を超えてしまうのではないかという懸念を抱えていました。
こうしたケースでは、「承認される予算の中で、対面の効果をどこまで残せるか」という観点で研修形式の選択や、カリキュラム設計を考える必要があります。
時間的な制約全員を同時に集められない
別の製造業(従業員約110名)のケースでは、繁忙期に入る前に研修を終える必要がある一方で、対象となる約20名を同一時間に拘束することができませんでした。分割開催や、後から視聴できる仕組みが前提になります。
対象人数が少なくても、この制約は発生します。むしろ少人数の組織ほど一人あたりの業務比重が大きくなりがちで、全員を同時に集めることが事業の都合上、不可能になることもあります。
地理的な制約集約コストと研修効果がトレードオフになる
自動車部品の製造業(従業員約220名)のケースでは、受講対象者が4つの拠点に分散していました。対面の学習効果を高めるために交通費と移動時間をかけて一箇所に集約すべきか、オンラインで効果を出す方法を探すべきかという点で担当者が悩まれていました。
拠点数が多くなるほど社員を集めて対面研修を行うのは困難になります。こうしたケースでは、受講対象者を選抜し最小限の人数で対面研修を行うか、対象を広げてオンラインで行うかという選択になります。
レベル差の制約リテラシーの低い層がオンラインについてこられるか不安
従業員の年齢層やIT経験の幅が広いある企業では、オンライン研修中に操作についていけない社員が続出し、AIへの苦手意識がかえって強まることを警戒していました。
社員のレベル差が懸念される場合は、クラス分けをしたりフォローがしやすい対面研修を選択するのが一般的ですが、オンライン研修であっても遅れがちな受講者を講師が察知する仕組み・設計があればフォロー可能になります。
実施形式を決める5つの判断軸
さまざまな制約がある場合は、以下の順番で確認すると、判断しやすくなります。
1. 受講者の拠点分散度
何拠点に何名いるかを最初に確認します。1拠点に集中しているのであれば集合研修が第一候補です。拠点数が多く社員が分散している場合は、オンライン研修を第一候補として考えるのがおすすめです。
2. 同時に拘束できる人数と時間
シフト制、繁忙期、店舗運営などの事情で全員を同時に参加させられない制約がある場合、1回あたり何名まで、何時間まで拘束できるかを先に決めると、実施回数と分割単位が自動的に決まります。
3. 研修の目的
知識を持ってもらうことが目的なのか、業務での行動が変わることが目的なのか。後者であれば、演習時間の確保が必須条件になり、対面やオンラインが候補になりますし、一般知識のインプットであればeラーニングでもカバーできます。目的が曖昧なまま形式を決めると、現場で定着しないなど期待していた研修効果が得られなくなります。
4. 受講者のレベル差
社員間のレベル差が大きい場合は、形式を決める前に階層分けを検討します。同じ内容を一律で実施すると、上位層は退屈し、下位層は取り残され、期待していた研修効果が得られず、フォローアップ研修が必要になるケースも出てきます。事前にスキル確認を行いクラス分けをしたほうが、結果的に総実施回数は減ります。
5. 演習で扱うデータの機密性
自社の実際の業務データや社内システムを教材にする場合、実施環境に制約が出ます。オンラインでの画面共有が可能か、外部講師が閲覧できる範囲はどこまでか。この確認が遅れると、形式を決めた後で設計をやり直すことになります。
複数拠点がある企業での組み合わせ方
前述の制約を踏まえると、実際に機能する組み合わせは限られてきます。ここでは代表的な3パターンを挙げます。
パターンA基礎をオンライン、演習を拠点ごとに実施
AIの基本的な考え方や活用イメージの共有はオンラインで一斉に行い、実際に手を動かす演習だけを拠点を回って対面で実施する方法です。
講師派遣が発生するのは演習の回数分だけになるため、全行程を対面で実施する場合と比べて講師派遣費を圧縮できます。「対面の効果を残しつつ、稟議を通せる金額に収める」という条件に対する、最も現実的な解になりやすい組み合わせです。
ただし、拠点数が多いほどその分の費用は積み上がります。全拠点を回るのか、受講者数の多い拠点だけを対面にして残りはオンラインで実施するのか、全社的にオンライン研修で代替するのかなど、予算と期待する学習効果に合わせて検討する必要があります。
パターンBオンラインライブを少人数グループに分割
全体をオンラインで実施しつつ、1回あたりの受講者を10名程度に絞る方法です。
オンライン研修の場合でも人数を絞ることで、講師が各受講者の進行状況を確認できるようになり対面に近い効果が得られやすくなります。セミナー形式などの一斉配信や、大人数が参加するオンライン研修では講師が脱落者を把握できなくなりがちですが、少人数に絞ることで解決できます。実施回数は増えますが、講師派遣料が発生しないため、対面で回数を増やす場合よりコストの増え方は緩やかです。
パターンC先行層を集合研修で育成し、社内に展開する
全社員を対象にせず、まず各部署の推進役となる人材を集めて対面で研修を行い、その層が社内展開を担う方法です。
全員を集めることが物理的に不可能な場合や、初年度に大きな予算を確保できない場合に取りうる選択肢です。ただし、社内展開を担う人材の負荷が高くなるため、展開用の資料や進め方をあわせて設計しておく必要があります。
録画・アーカイブの扱い
いずれのパターンでも、実施内容を後から見返せるようにしておくと運用が安定します。当日欠席した受講者への対応、演習でつまずいた箇所の復習、翌年度の新任者への展開など、用途が広いためです。
ただし録画は、研修本体とは別のオプションとして扱われることが一般的です。対応の可否、追加費用、社内での公開範囲や視聴期間の条件は研修会社によって異なるため、検討の初期段階で確認しておくことをおすすめします。研修後に何度も見返す前提であれば、はじめからeラーニングを組み合わせるほうが適している場合もあります。
よくある失敗パターン
全員一斉のオンライン研修で、脱落者が見えないまま終わる

受講者数を絞らずに一斉配信を行うと、演習中に手が止まった人を検知できません。実施記録上は「全員受講済み」となるものの、業務での行動変容が見られないという結果になります。
対面にこだわった結果、実施回数が減って全社に届かない
対面の効果は確かに高いものの、コストの制約から回数を絞ると、受講できる人数が限られます。一部の社員だけが受けた研修では、社内のナレッジ共有も進みにくくなります。特に全社的なリテラシー向上が目的の場合は、幅広い社員に波及させることができる手法を選ぶほうが好ましいです。
形式だけ決めて、受講後に使う場面を設計していない
「とりあえずeラーニングを導入する」「全社員向けにオンラインセミナーを実施する」「とりあえず選抜社員に対面研修を行う」など、研修のゴールや研修後に期待する効果が曖昧な状態では研修効果が得られません。「どの業務で、誰が、いつから使うか」といった粒度で、研修の目的を決めておく必要があります。
実施形式は、研修設計の一部として決める
ここまで見てきたとおり、実施形式は単独で決められるものではありません。受講者の分散状況、拘束できる時間、リテラシー差、目的、予算。これらを踏まえて、カリキュラムと同時に設計する必要があります。
インターネット・アカデミーでは、集合研修・双方向リモート研修・eラーニングのすべてに対応しており、これらを組み合わせた実施も可能です。拠点構成や受講可能な時間帯をうかがったうえで、実施スキームを含めてご提案しています。
複数の拠点へ講師を派遣する形での実施や、研修の録画提供についても、研修内容とご予算に応じて対応しています。「対面で実施したいが予算が合わない」といった段階でも、実施回数や対面パートの範囲を調整しながら、成立する形をご提案します。
また、研修を実施して終わりではなく、その後の業務での活用や社内への展開までを継続的に支援するAX推進支援もご用意しています。
AI研修のお役立ち資料をダウンロードするまとめ
- AI研修は演習の比率が高く、演習中のつまずきを検知できるかどうかが実施形式によって変わる
- 実際の判断で効くのは形式の優劣ではなく、拠点分散度・拘束可能時間・リテラシー差・目的・データの機密性という制約
- 拠点が分散している場合、「基礎はオンライン・演習は拠点巡回」「オンラインを少人数に分割」「先行層を集合で育成し社内展開」の3パターンが現実的
- どの形式でも、研修後に使う場面を設計しなければ定着しない
インターネット・アカデミーは、1,200社以上のAI・DX人材育成を支援してきました。製造業・金融・流通・メディアなど業種を問わず、大手企業から中小企業まで幅広い実績があります。受講者の分散状況や実施可能な時間に合わせて、カリキュラムと実施形式の両面からご提案します。
AI研修は、生成AIの基礎から始める入門段階と、AIエージェントの開発・業務適用まで踏み込む応用段階で、適した形式も変わります。目的に合わせた講座はインターネット・アカデミーのAI研修一覧からご確認ください。
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この記事の執筆者

インターネット・アカデミー リスキリングサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・AI研修・エンジニア研修などの法人向け研修サービスの提供を行っている教育機関です。1200社以上の企業のIT人材を育成したきた実績と、1995年から培ってきたIT教育ノウハウを元に、人事担当者、研修担当者、DX・AI推進担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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