人材育成ビジネスアーキテクト不在でDXが失敗するケース
2024/02/22多くの企業がDXに取り組んでいますが、その一方で「思うような成果が出ない」「頓挫してしまった」というケースも多いようです。DX白書2023によると、DXに取り組んでいる日本企業のうち「成果が出ている」と回答しているのは約58%となっており、米国の89%と比べると失敗していると感じている企業が多いことがわかります。
今回の記事では、DXに失敗する要因について触れていきます。
目次
無計画なIT人材投入は失敗する
企業のDX・組織開発を支援しているコンサルタントの方に話を伺ったところ、DX失敗の大きな要因のひとつに「ビジネスアーキテクトの不在」があるように思います。
ビジネスアーキテクトは「デジタルスキル標準」で定義されているDX人材のタイプのひとつで、企業においてDXを推進する旗振り役としての役割が求められます。自社のビジネスやデータ活用などを支えるテクノロジー、市況を理解し、新しい事業の開発や、既存事業の改革などの戦略を立てるなどを行います。
そして、DXコンサルタントの方が支援に入った際によくあるのが、会社としてDXに取り組む方針を示しDX部門を立ち上げたもののビジネスアーキテクトが不在でさまざまな問題が起きているケースのようです。
ケース1:社内のIT部門やエンジニアを担当者にする
社内でテクノロジーに精通している人材を担当者に据えることで上手くいくパターンもありますが、実際には次のようなリスクがあるそうです。
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DXの方針が描けない
プログラミング等の開発技術には精通しているものの、事業戦略などを描いたり、関連部門とのコミュニケーションや、調整力、権限などが不足しているケースが多く、プロジェクトが頓挫します。
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技術力が低い
業務の実態として、実際の開発は外部の開発ベンダーに依存しており社内に開発のナレッジが不足しているというケースもあります。そのため、テクノロジー面においても期待されている提案や成果が出せません。
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IT部門やエンジニアの権限が低い
企業によっては、IT部門が親会社や他部門の下請けのような立場におり、DXのように他部門を巻き込んで舵をとっていくプロジェクトにおいて影響力を発揮できません。
ケース2:とりあえずエンジニアを採用する
DX初期フェーズの企業の場合、そもそもエンジニアを受け入れる体制が整っておらず、採用しても活躍できないというケースも起きるようです。
たとえば、実際に開発を行う場合、相応のスペックのPCやツールをはじめとした開発環境が整っていなければなりません。こうした十分な環境や人員、予算などのリソースを確保していない状態でエンジニアだけ採用しても、ほとんど仕事ができません。
また、企業によってはDXのフェーズが戦略立案の段階で、どのようなシステムが必要になるか決まっていないなど、開発がスタートできない状況というケースもあり、この場合はエンジニアを採用しても稼働させることができません。
ビジネスアーキテクトに必要なスキルとは
こうした問題は、DXプロジェクトの中心にビジネスアーキテクトがいれば防ぐことができます。
デジタルスキル標準では、ビジネスアーキテクトの役割は「新規事業開発」「既存事業の高度化」「社内業務の高度化・効率化」の3つに細分化されていますが、いずれの役割においても求められるスキルに共通点が多いのが特徴です。
ビジネスアーキテクトに求められるスキルとして、プロジェクトマネジメントや事業戦略・組織改革、ビジネスモデル設計、データ利活用などに関するスキルは高い水準が設定されています。
ビジネスアーキテクト人材を育成するためには、社内で事業戦略やビジネス設計に精通している社員が、プロジェクトマネジメントやデータ利活用などの知識を身につける。 あるいは、エンジニア職の社員が事業戦略やビジネス設計の知識を身につけるなどの選択肢が考えられます。
DX人材に求められるスキルや育成事例などのお役立ち資料もありますので、参考情報としてご活用ください。
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インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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