人材育成生成AIに対応!デジタルスキル標準ver1.1の改定点を解説
2023/12/01DX人材不足を解消するための人材育成の指標として、経済産業省・IPAが策定した「デジタルスキル標準」があります。
デジタルスキル標準は、DX時代にすべてのビジネスパーソンに求められる基本スキルを定義した「DXリテラシー標準」と、専門的なDX人材の役割と必要なスキルを定義した「DX推進スキル標準」から成り立っています。
このデジタルスキル標準は2023年8月に改定され、ver1.1が公開されました。この記事では、ver1.1への変更点について紹介します。
※デジタルスキル標準の概略については漠然とした「DX人材」を読み解くためのデジタルスキル標準の記事をご覧ください。
目次
生成AIのビジネス活用を想定した改定
デジタルスキル標準は2022年12月に公開されましたが、その8か月後に改定が行われました。この改定の背景には、ChatGPTなどの生成AIの登場と進化により、ビジネス環境に大きな変化が生じたことが影響しています。
企業がDXを推進し、競争力を高めるためには、生成AIの活用はもはや必須と言えます。
生成AI活用により業務の効率化や新たなサービスの創出が実現されていますが、同時にファクトチェックや機密情報の保護が重要となり、利用者は一定のリテラシーを身につける必要があります。
デジタルスキル標準ver1.1では、主に生成AI利用に関するマインドスタンスやテクノロジーの理解などの要素が追加されています。
利用者が身につけるべきスキル・マインドスタンス
デジタルスキル標準では、身につけるべきスキルの学習項目やマインドスタンスについて言及されています。今回の改定では、大まかに以下の内容についての追記がされています。
適切なデータを出力するための考え方
生成AIは便利なものである一方で、出力されるデータが必ずしも正しいとは限りません。誤った情報も含まれる可能性があります。利用者は客観的な事実を確認した上でデータを利用する必要があります。適切なデータを出力するためには、データの適切な保存や正確なプロンプトの入力が欠かせません。
このようなファクトチェックの観点を持ち、社内業務におけるデータ保存のフローを守り、恣意的なデータの作成や編集を避けることが重要です。
デジタル活用しやすいデータの作成
企業内にはさまざまなデータが存在しますが、これらのデータを活用する際の失敗例が多くあります。失敗の要因としては「データ活用の目的が明確でない」「データが整備されていない」などがあります。部署ごとや社員ごとに無計画に保存されたデータは、データの重複や表記の違い、保存形式の不統一などを引き起こし、デジタル技術での利用が困難になります。データ整理だけでも膨大なコストがかかるケースもあります。
今回の改定では、「デジタル技術やサービスで活用しやすいデータの入力や整備方法の理解」が学習すべき項目として追加されました。社員一人ひとりが、機械が扱いやすいデータについての理解を深めることで、データ整備のコスト削減や精度の高いAI活用が可能になります。
ツールについての知識
ChatGPTで正確な回答や業務に活用できる有益なデータを出力するためには、利用者が入力するプロンプトが重要です。
今回の改定では、こうしたプロンプトについての理解や各種生成AIツールで実現可能なこと、業務自動化を促進するための様々なツールの活用方法などが学習項目に追加されました。
情報流出リスクの理解
生成AIを利用する際のリスクとして、社内の機密情報がAIの学習に使われてしまう情報流出リスクがあります。会社としてのリスク対策はもちろんですが、社員一人ひとりが、生成AIの抱えるリスクを理解し、高いモラルを持つことも重要です。
今回の改定では、生成AIでデータがどのように扱われるかという仕組みの理解や、入力データによる情報漏洩リスク、ELSI(Ethical, Legal, and Social Issues)の観点を持つことなどが学習項目に追加されました。
生成AIのリテラシーを身につける
インターネット・アカデミーでは、生成AI活用や情報セキュリティなど、デジタルスキル標準ver1.1で追加された項目を学ぶ研修カリキュラムがあります。
「生成AIを活用するうえで社員のリテラシーを向上させたい」「リテラシー向上したうえでデータを利活用したい」という相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
デジタル人材育成のお役立ち資料をダウンロード
デジタル人材育成のお役立ち資料や、IT研修の講座ラインナップ資料などをまとめてダウンロードしていただけます。ぜひ一度ご覧ください。コンサルタントへの無料相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。
- DX人材育成のための解説資料
- インターネット・アカデミーのサービス案内
- 講座ラインナップ表