人材育成企業における「デジタルスキル標準」の捉え方
2023/12/20
2022年12月に、経済産業省・IPAが策定した「デジタルスキル標準」は、企業のDX人材育成の指針として活用が進んでいます。今回は、このデジタルスキル標準が策定された背景と、企業における使い方について紹介します。
目次
日本のDXにおける課題
IT技術の発展や生成AIの登場などで、ビジネス環境は激変しており、企業が市場のニーズに応え、競争力を発揮していくためにはDX化が欠かせません。

そして、この日米の差の大きな要因として「DX人材の不足」が挙げられます。現場のIT人材が不足しているのはもちろん、経営者や管理職など、DX推進を指揮する立場の方がDXのイメージがわいていないケースも多いです。
インターネット・アカデミーに企業から寄せられるDXのご相談や各種アンケート、デジタル人材育成支援EXPOでお伺いする話からも、次のような課題を抱えている企業が多いように思います。
- DXが話題になっているが自社がDX化するイメージがわかない
- DX推進部が立ち上がったものの何をすればいいかわからない
- 全社的に社員のIT知識が不足しておりDXに取り組む以前の状況
DX人材育成の指針となるデジタルスキル標準
これらの課題の解消のためには「DX人材の採用や育成」が必要となりますが、「DX人材」といってもどういうスキルが必要なのか、どの水準のスキルが必要なのかが漠然としており、企業も「結局、どういう人材を確保すればいいのかわからない」という状況でした。

そこで、経済産業省とIPAがDX人材の役割や必要なスキルを定義したものが「デジタルスキル標準」となります。デジタルスキル標準の細かい構成は漠然とした「DX人材」を読み解くためのデジタルスキル標準の記事で触れていますが、簡単に言えば、すべてのビジネスパースンが身につけるべき基礎スキルと、DX推進で必要となる人材を5つのタイプに分け、それぞれのタイプごとに必要なスキルを定義したものになります。
このデジタルスキル標準と照らし合わせてDX人材の採用・育成をすることで、DXが円滑に進められるようになります。
デジタルスキル標準は企業毎にカスタマイズして使う
このデジタルスキル標準を読み解いていくと、5種類あるDX人材のタイプが、さらに2~4の役割(ロール)に分けられており、それぞれの役割ごとに求められるスキルが定義されています。

こうした定義を見ると「自社でこれだけの人材は確保できない」と感じる担当者の方も多いと思いますが、すべての役割を揃える必要はありません。
例えば、企業によっては自社のシステムにAIを導入する必要はないかもしれませんし、「ソフトウェアエンジニア」の役割が担う部分は開発ベンダーに依頼するという手もあります。
実際に、デジタルスキル標準をテーマにした講演会などで経済産業省の方が触れていますが、デジタルスキル標準は「企業ごとの状況に応じてカスタマイズすること」を推奨されているそうです。
すべての人材をいきなり揃えようとするのではなく、自社にとって必要となる役割から揃えていったり、各役割で求められるスキルについても必要に応じてカスタマイズすることが想定されているため、まずは自社のDX推進に必要な人材から確保していくと良いでしょう。
しかし、そうは言っても「自社のDXのイメージがわかない」というケースもあります。そうした場合は、まずは経営者を含むすべての社員に求められる「DXリテラシー標準」を身につけ、DXのアイデアが生まれる環境を作るのがおすすめです。
インターネット・アカデミーでは、DX推進にあたり、リテラシー向上から着手されて成果が生まれている企業様も多くありますので、まずはお気軽にご相談ください。
リテラシー向上から着手した企業の事例

研修前は社員がITの基礎知識を学び、用語を少し理解できるレベルになっていれば十分だと考えていました。しかし研修後は、当初の予想をはるかに超えて、社員たちがIT技術を活用し社内の業務効率を向上させるアイデアを提案してくれるようになったのです。最近でいうと、オンラインのコミュニケーションツールを利用して、他部署にも情報共有ができる仕組みを作る動きが社内で広がっています。
この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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