人材開発支援助成金のIT研修活用方法

2023/06/22
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
人材開発支援助成金のIT研修活用方法

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

厚生労働省は、従業員に専門性を身に付ける学び直しを後押しするため、企業向けの助成金制度を設けています。

岸田政権が重視する「人への投資」の一環です。従業員が高度なIT訓練を受講したり、業務関連分野の大学院に通うことなどに対し、助成金を支給することにより企業に人材育成をしやすくなることが目的です。

企業に訓練経費を支給される人材開発支援助成金の中でも、特に「事業展開等リスキリング支援コース」「人材育成支援コース」「人への投資促進コース」を厚生労働省は推しています。

今回は、これらの助成金をIT研修にどう活用していけばよいのかお伝えしますね。

事業展開等リスキリング支援コース

「事業展開等リスキリング支援コース」は、デジタル化による業務の効率化や脱炭素化などに取り組むための人材の育成に対しての訓練経費や賃金の助成が行われる制度です。

このコースにおける「デジタル・DX化」として、厚生労働省では以下の例を挙げています。

  • ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進める
  • アプリを開発し、顧客が待ち時間を見えるようにする
  • 顔認証やQRコード等によるチェックインサービスを導入し手続きを簡略化する 等

対象者

雇用保険法第4条に規定される被保険者であること(正社員、契約社員、アルバイトも受給対象)

基本要件

  • OFF-JTにより実施される訓練であること
  • 実訓練時間数が10時間以上
  • 職務に関連した訓練であって以下のいずれかに該当する訓練であること
    1. 企業において事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門知識を習得させるための訓練
    2. 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・DX化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門知識を習得させるための訓練

支給額

最大1億円 ※1事業所1年度あたり

助成額の詳細

経費助成+賃金助成
中小企業 大企業
経費助成率 75% 60%
賃金助成額
(受講者1人1時間あたり)
960円 480円
受講者1人あたりの経費助成限度額
訓練時間 中小企業 大企業
10h以上100h未満 30万円 20万円
100h以上200h未満 40万円 25万円
200h以上 50万円 30万円
厚生労働省:人材開発支援助成金 (事業展開等リスキリング支援コース)のご案内

人材育成支援コース

「人材育成支援コース」は、「人材育成訓練」「認定実習併用職業訓練」「有期実習型訓練」の3つに分類されます。

  • 人材育成訓練
    職務に関連した知識や技能を習得させるためのOFF-JTを10時間以上行った場合に助成されます。
  • 認定実習併用職業訓練
    中核人材を育てるために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を行った場合に助成されます。
  • 有期実習型訓練
    有期契約労働者等の正社員への転換を目的として実施するOJT とOFF-JTを組み合わせた訓練を行った場合に助成されます。

雇用形態や職種を問わずIT教育を行いたい方にオススメです。 正規・非正規を問わず自社の社員に対して、職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に、その経費や賃金の一部が助成されるコースです。

基本要件

  • OFF-JTにより実施される訓練であること
  • 実訓練時間数が指定の時間以上
    ※申請する訓練によって個別に要件があります。
    ※インターネット・アカデミーの場合は10時間以上の研修が対象となります。

支給額

最大1000万円

助成額の詳細

経費助成+賃金助成
コースごとの助成額・助成率

※1 賃金要件又は資格等手当要件を満たす場合とは、全ての対象労働者に対して、要件を満たす賃金または資格等手当を支払った日の翌日から起算して5か月以内に割増し分の支給申請をした場合に、当該割増し分を追加で支給します。

経費助成限度額(1人当たり)

※2 正規雇用労働者等への転換とは、①有期契約労働者等について、正規雇用労働者、勤務地限定正社員、職務限定正社員または短時間正社員への転換措置 ②有期契約労働者の無期契約労働者への転換措置のうちいずれかの措置を講じた場合をいいます。

厚生労働省:人材開発支援助成金(人材育成支援コース) のご案内

人への投資促進コース

「人への投資促進コース」には、訓練内容や目的に応じて5つの訓練メニューがあります。訓練によっては、最大75%の経費助成が受けられます。訓練メニューは、要件は次のとおりです。

訓練内容や目的に応じた5つの訓練

※「人への投資促進コース」は令和4~6年度の期間で設けられています。

  1. 定額制訓練(サブスクリプション)
    多様な訓練の選択・実施ができる「定額制訓練」(サブスクリプション型の研修サービス)
  2. 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
    高度デジタル人材の育成のための訓練や、海外を含む大学院での訓練
  3. 情報技術分野認定実習併用職業訓練
    IT分野未経験者を即戦力化するためOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練
  4. 自発的職業能力開発訓練
    労働者が自発的に受講した訓練費用を負担する事業主への助成
  5. 長期教育訓練休暇等制度
    働きながら訓練を受講するための休暇制度や短時間勤務等制度を導入する事業主への助成

インターネット・アカデミーさんの一部の研修は、上記(2)「高度デジタル人材訓練」の対象となっています。高度デジタル人材訓練の対象には、経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座認定制度(Reスキル講座)」の認定講座が含まれます。インターネット・アカデミーでは、以下の講座が対象となっており、これらの講座を研修でご利用いただく場合、このコースでの申請ができます。

対象者の要件

主な事業が情報通信業である、それ以外の事業主の場合は下記のいずれかの要件を満たしている。

  • 産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けている
  • DX認定を受けている
  • DX推進指標に基づいた自己診断結果をIPAに提出し「事業内職業能力開発計画」を作成している
  • DX推進のための経営・人材育成を検討し、事業計画を策定していること

高度デジタル人材訓練の基本要件

  • 実訓練時間数が10時間以上
  • OFF-JTであること
  • 高度デジタル訓練(ITSSレベル3、4以上)の訓練
  • 経済産業省の「第四次産業革命スキル習得講座認定制度(Reスキル講座)」等

支給額

最大1500万円

助成額の詳細

経費助成+賃金助成
中小企業 大企業
経費助成率 75% 60%
賃金助成額
(受講者1人1時間あたり)
960円 480円
厚生労働省:人材開発支援助成金(人への投資促進コース)のご案内

研修費用シュミレーション

それでは、インターネット・アカデミーさんの研修を受講した場合、実質負担額がいくらになるのかをシュミレーションしてお伝えしますね。

Case1. 100万円台の新入社員向け研修の場合

  • 内容:フロントエンジニア
  • 時間:36時間
  • 人数:6名
  • 制度:人材育成支援コース
研修費用(税込) ¥1,686,643
助成金 経費助成 ¥758,989
賃金助成 ¥164,160
支給額合計 ¥923,149
実質負担額(税込) ¥671,179

Case2. 200万円台の既存社員向け研修の場合

  • 内容:DX、ベンダーマネジメント
  • 時間:30時間
  • 人数:12名
  • 制度:事業展開等リスキリング支援コース
研修費用(税込) ¥2,706,000
助成金 経費助成 ¥1,845,000
賃金助成 ¥345,600
支給額合計 ¥2,190,600
実質負担額(税込) ¥515,400

Case3. 500万円台の既存社員向け研修の場合

  • 内容:Java、データベース、AWS、サーバー、システム開発
  • 時間:74時間
  • 人数:10名
  • 制度:事業展開等リスキリング支援コース
研修費用(税込) ¥5,698,000
助成金 経費助成 ¥3,885,000
賃金助成 ¥710,400
支給額合計 ¥4,595,400
実質負担額(税込) ¥1,102,600

インターネット・アカデミーさんの研修は、各々の企業の課題解決に対応して特化したオリジナルのカリキュラムが作成できます。上記の具体例はほんの一例です。研修をご検討中のご担当者様がいらっしゃいましたら、ご遠慮なくインターネット・アカデミーさんに相談してみて下さいね。

申請の流れ

  1. 訓練の1か月前
    労働局へ訓練実施計画届の提出
  2. 訓練の実施
  3. 訓練終了後2か月以内
    労働局へ支給申請書の提出
  4. 支給もしくは不支給の決定

今回は、人材開発支援助成金をインターネット・アカデミーさん研修に使用する際について、お伝えしました。 是非とも、IT、AI人材の育成には助成金を活用することをおススメします。

助成金を活用したデジタル人材の育成

インターネット・アカデミーでは、IT・DXリテラシーの向上からエンジニアの育成まで、企業ごとのデジタル人材育成のニーズにお応えできる研修があります。貴社のご要望に合わせた研修カリキュラムのご提案はもちろん、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用した人材育成についてのご相談や、まずは情報を集めたいという方への情報提供など、専任のコンサルタントが承っています。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

1965年、愛知県名古屋市生まれ。現在も名古屋市在住。1989年に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後は、日製産業株式会社(現株式会社日立ハイテク)や、ドイツ系企業リタール(Rittal)にて開発営業プロジェクトマネージャー、採用責任者を経験。2012年9月からは法務局乙号業務責任者として非正規社員の指導、ハローワークにて求人者支援員の経験を重ね人材ビジネスにキャリアチェンジしている。

2011年1月、キャリア・コンサルタント能力評価試験の一つであるDBM(現TCC)マスターキャリアカウンセラーを取得。2016年5月には国家資格となったキャリアコンサルタントを取得。

2017年4月、カリエーレ・コンサルタンツを開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。「働き方に悩む人を、ゼロに。」をモットーにしている。

  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」※事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「愛知働き方改革推進支援センター」※相談員
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」※雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」※事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

デジタル人材育成・助成金のお役立ち資料をダウンロード

デジタル人材育成や助成金活用のお役立ち資料などをまとめてダウンロードしていただけます。コンサルタントへの無料相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。

たとえばこんな相談ができます
  • DX人材の育成&事例紹介 リスキリングのロードマップ付き
  • デジタル人材育成に使える助成金制度
  • デジタルスキル標準 役割別おすすめ講座
資料ダウンロードはこちら
会社名必須
部署名必須
お名前必須
電話番号必須
メールアドレス必須

個人情報の利用目的についてご同意いただいた場合のみ、「同意して進む」を押してください。

このページの上へ