人材開発支援助成金、よくある質問10選

2023/01/25
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
人材開発支援助成金、よくある質問10選

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

企業様が社内研修に人材開発支援助成金を活用するにあたって、ご質問を受けることが良くあります。似たような表現で意味が違う専門的な用語や文章の解釈についての質問です。

助成金は厚生労働省、労働局、ハローワークといったお役所が関わっています。ですので、どうしても、あまり普段使用しない「お役所的表現」が出てきて、どう解釈してよいか迷うことがあります。今回は、助成金申請でよくある質問と回答をFAQ方式でまとめてみます。

助成金申請でよくある質問と回答(FAQ)

人材開発支援助成金の特定訓練コース、一般訓練コースの手続きは、次のように進めます。
(特定訓練コースの中の認定実習併用職業訓練は除きます)

Q1. 通信制訓練とeラーニングの違いは?

「通信制訓練」とは、通信によって行われる訓練全般の意味を指しています。一方、「e-ラーニング」は通信制訓練の中のスタイルのことを指しています。紙教材、ネット教材(e-ラーニング)というカテゴリーを意味しています。

Q2. 総訓練時間数と実訓練時間数の違いは?

「総訓練時間数」とは、昼食等の食事を伴う休憩時間を除いた訓練時間のことです。「実訓練時間数」は、「総訓練時間数」から、移動時間・助成対象とならないカリキュラム等の時間を除いた時間数を言います。

Q3. 標準時間・標準訓練時間とは?

「標準時間」とは、決められた方法と設備を用いて、決められた作業条件の下で、一定の熟練度を持った作業者が標準的なスピードで作業を行う時に必要な時間のことです。「標準時間」とは、あくまで「標準的なスピード」が基準です。

職業訓練の基準は、職業能力開発促進法及び職業能力開発促進法施行規則等に定められています。「標準訓練時間」とは、これら法規に基づき、決められたカリキュラムを実施する時間のことを指します。

Q4. 事業内訓練と事業外訓練の違いは?

「事業内訓練」とは、OFF-JT であって申請事業主自らが主催する集合形式で実施する訓練となります。外部講師を活用した訓練や社外の場所で行われる訓練であっても、事業主が主催したものは「事業内訓練」となります。

一方、「事業外訓練」とは、OFF-JT であって、教育施設・他の事業主団体等が主催する訓練(典型的には訓練カリキュラムが商品化されている既存のプログラム、受講料等が決まっているもの、ホームページ等に掲載して広く一般的に応募可能なものなど)となります。

Q5. 年間計画番号とは?

「年間計画番号」とは、人材開発支援助成金(特定訓練コース・一般訓練コース)の年間職業能力開発計画を作成する際、記入する番号のことです。

訓練コース毎に通し番号をつけなければなりません。他のコースを提出している場合、同じ番号を付けないよう注意してください。

Q6. 訓練中に対象者が退職した場合はどうすればよい?

「年間職業能力開発計画の提出日の前日から起算して6か月前〜支給申請書の提出日までの間」に会社都合退職者がいると助成金の支給対象とならないことがあります。

雇用関係の助成金の多くは、安定的な雇用の促進を目的としており、「会社都合の退職=解雇」はこの目的と相反していると言えるからです。ですので、会社都合の離職者がいる事業所は一定期間、助成金の支給対象から外れてしまいます。

退職には大きく分けて「自己都合退職」と「会社都合退職」がありますが、基本的には離職票の「離職理由欄」に記載された理由をもとにハローワークが判断します。訓練中に退職者が出る場合、労働局、ハローワークに相談してみて下さい。

Q7. 訓練を延期したい場合は?

訓練を延長したい場合、新たに追加する訓練コースの内容を変更届に記入して、労働局に提出してください。書式は訓練によって違います。

Q8. 支給申請時までに提出書類準備以外にしないといけないことはある?

※経費申請は申請前に支払われている事が前提です。

訓練が終了した日の翌日から2カ月以内に「支給申請書」と必要な書類を労働局に提出します。必要な書類とは、助成の内訳や訓練の実施状況報告書(ともに様式あり)、期間中の賃金台帳や出勤簿などです。その他、行った訓練などによって異なる書類の提出も必要です。支給申請をする際は、念のため、労働局に何を提出しなければならないのかを事前に確認しておいた方が賢明です。

厚生労働省:申請書類URL

Q9.
雇用する被保険者に対して「定期的なキャリアコンサルティング」の実施者は、具体的にどのような人が実施すればよいですか?

国家資格を有しているキャリアコンサルタント以外には、自社の人事課長等といった、事業内の人材育成に係る責任を持った方が実施してください。

要件ではありませんが、厚生労働省では「ジョブ・カード」などのキャリアコンサルティングに活用できるツールもご紹介していますので、ご活用ください。

労働協約、就業規則又は事業内職業能力開発計画に規定する際に「○年ごとの○月」など、実施する時期と、キャリアコンサルティングに必要な経費を事業主が全額負担することが必要であることを明記しなければなりません。労働局に計画届提出の際に、これらが確認できる書類を提出してください。

ジョブ・カードURL

Q10.
教育訓練機関の受講案内に「人材開発支援助成金の対象になる」とありますが、必ず助成金が支給されますか?

教育訓練機関等の行う訓練について、事前に厚生労働省が本助成金の対象となることを保証することはありません。

訓練を実施する事業所や訓練内容、対象労働者などにより、支給要件に該当するかを個別に判断する必要があるため、各都道府県労働局に具体的な訓練内容や対象者がわかる書類を持参の上、ご相談ください。

助成金が支給されるかどうかは、訓練受講後の支給申請に基づき、実際の訓練の実施状況や受講状況など、さまざまな要件を審査の上で決定します。

ジョブ・カードURL

以上の見解は厚生労働省の「令和3年版人材開発支援助成金事業主向けQ&A」からの抜粋です。

事前に厚生労働省は教育機関等の行う研修を助成金の対象となることを保証はしませんが、インターネット・アカデミーさんは、これまで多くの企業様の教育訓練助成金に実績があります。また、厚生労働省の専門実践教育訓練に指定されている講座もあります。

以上、よく質問される内容を選んでFAQでまとめてみました。

まとめ

まだまだ、疑問に思う用語、文章などがあると思います。冒頭にも述べましたが、助成金の手続きはお役所が関わっています。従いまして、助成金の用語、文章は、あらゆる場合を想定して作成されていますので、このように細分化された専門的な表現になってしまうのでしょう。

私も、ハローワークで求人者支援員に従事した経験があるのですが、企業様と打ち合わせの際、どの企業様にも公平で平等で正確な支援をしなければならないという思いから、細かすぎる説明をしてしまったと反省した思いをしたことがあります。

これから助成金を申請しようとする企業の皆さんに、一言、アドバイスするならば、「分からないことが有ったら、労働局やハローワークの職員に質問して、モヤモヤを解消する」ことです。職員とのコミュニケーションを密にすることをお勧めします。

助成金の不正受給は絶対にしてはいけません。ですので、企業様の助成金申請担当者は、慎重に業務を進めることが必要になります。疑問点や、分からないまま申請業務を進めて、後で間違えていたことが発覚して、労働局やハローワークに、不本意にも不正と受け取られたら目も当てられません。余程、何度も同じことを質問しない限り、労働局やハローワークの職員は親切、丁寧に回答してくれます。「分からないことは質問して解決」することをお勧めします。

助成金支給額の実例

助成金の支給額事例

実際に助成金を活用してインターネット・アカデミーの研修を利用された企業様の支給額の事例を紹介します。

利用した研修と助成金制度
事業展開等リスキリング支援コース
  • 研修内容:DX化推進研修
  • 受講人数:10名
  • 研修時間:21時間

助成金を活用したデジタル人材の育成

インターネット・アカデミーでは、IT・DXリテラシーの向上からエンジニアの育成まで、企業ごとのデジタル人材育成のニーズにお応えできる研修があります。貴社のご要望に合わせた研修カリキュラムのご提案はもちろん、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用した人材育成についてのご相談や、まずは情報を集めたいという方への情報提供など、専任のコンサルタントが承っています。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

1965年、愛知県名古屋市生まれ。現在も名古屋市在住。1989年に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後は、日製産業株式会社(現株式会社日立ハイテク)や、ドイツ系企業リタール(Rittal)にて開発営業プロジェクトマネージャー、採用責任者を経験。2012年9月からは法務局乙号業務責任者として非正規社員の指導、ハローワークにて求人者支援員の経験を重ね人材ビジネスにキャリアチェンジしている。

2011年1月、キャリア・コンサルタント能力評価試験の一つであるDBM(現TCC)マスターキャリアカウンセラーを取得。2016年5月には国家資格となったキャリアコンサルタントを取得。

2017年4月、カリエーレ・コンサルタンツを開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。「働き方に悩む人を、ゼロに。」をモットーにしている。

  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」※事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「愛知働き方改革推進支援センター」※相談員
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」※雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」※事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

デジタル人材育成・助成金のお役立ち資料をダウンロード

デジタル人材育成や助成金活用のお役立ち資料などをまとめてダウンロードしていただけます。コンサルタントへの無料相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。

たとえばこんな相談ができます
  • DX人材の育成&事例紹介 リスキリングのロードマップ付き
  • デジタル人材育成に使える助成金制度
  • デジタルスキル標準 役割別おすすめ講座
資料ダウンロードはこちら
会社名必須
部署名必須
お名前必須
電話番号必須
メールアドレス必須

個人情報の利用目的についてご同意いただいた場合のみ、「同意して進む」を押してください。

このページの上へ