人材開発支援助成金、よくある質問7選

2023/03/28
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
人材開発支援助成金、よくある質問10選

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

前回、企業様が社内研修に人材開発支援助成金を活用するにあたって「人材開発支援助成金、よくある質問10選」のコラムを書きました。

このコラムの掲載後も助成金の申請、手続きなどについて、もう少し知りたいというお声がありましたので、今回、Part2を作成しました。

助成金は従業員が雇用保険に加入している、もしくは加入を予定している適用事業所ならば、ルール通り手続きを守り、申請すれば支給されます。

助成金は厚生労働省、労働局、ハローワークといったお役所が関わっています。ですので、馴染みにくい文章表現もありますが、良く読めば、誰でも理解できますので、良く読んで内容を確認して申請してみましょう。

今回も人材開発支援助成金申請でよくある質問と回答をFAQ方式でまとめてみます。

助成金申請でよくある質問と回答(FAQ)

Q1. 1つの訓練が複数の助成メニューに該当する場合は、複数申請できますか?

いずれか1つの助成メニューを選択して計画届を提出し、申請することになります。メニューごとに助成要件や限度額などの条件が異なりますので、詳しくは、労働局のHP、助成金パンフレットで、助成額・助成率の説明ページをご覧ください。

Q2. 訓練機関やコンサルタントから、「申請手続きはすべてこちらでやります」と言われていますが、任せて大丈夫でしょうか?

申請にあたっては、助成金を受け取る事業主が、支給要件等を必ず把握した上で申請してください。書類を偽造したり、事実を偽って助成金の申請を行うことは不正受給にあたり、不正に受給した額を返還するケースもあります。また、一定期間他の助成金も申請できなくなる上、悪質な場合は社名公表や刑事告訴の対象となる可能性があります。手続きを委任した第三者が不正を行った場合でも、助成金を受け取った事業主が不正受給と認められますので、十分にご注意ください。なお、不正に関与した代理人や訓練機関なども、返還の債務を負うことや社名公表などのペナルティの対象となる可能性があります。

助成金の申請の独占業務資格の社会保険労務士に依頼することは認められています。

Q3. 単独で受講可能な訓練を複数組み合わせて1つの訓練として計画できますか?

内容に連続性があって、一連のものとして受講することにより訓練の目的を達成するものと判断された場合は、1つの訓練として計画することが可能です。ただし、受講者の職務と訓練との関係性などを総合的に判断する必要があるため、計画届の提出前に、余裕を持って管轄の労働局またはハローワークにご相談してください。その際、事業内の教育訓練体系図などをお示しいただけると便利です。

Q4. 外部の研修機関等で訓練を受講すると、訓練の開始時間・終了時間が、事業所の始業時間・終業時間(所定労働時間)と違う場合があります。こうした場合、訓練の開始時間から終了時間まですべて助成対象になりますか?

所定労働時間外に実施した時間は、賃金助成の対象外となるため、その部分は賃金助成の算定から除外します。ただし、労働契約書や就業規則等に所定労働時間の変更がありうることについて明確な記載があり、訓練開始前に、労働条件通知書などで「訓練の期間中((△月△日~△月△日)は就業時間を○時~○時に変更する」などと具体的に記載し、受講する労働者に明示・周知されていれば、変更後の時間を所定労働時間として、助成対象時間を算定します。

なお、「業務の都合により始業・終業時間を変更する場合がある」などの包括的な記載があるだけでは、その訓練の期間中に変更されたのかどうか、所定労働時間がどのように変更となったかが確認できないため、通常示されている所定労働時間の範囲内が助成対象となります。

Q5. 遠方の訓練機関で受講する際の交通費や宿泊費は助成対象になりますか?

受講生の交通費や宿泊費は助成対象になりません。訓練そのものに直接要する経費のみ助成対象となります。

Q6. 親会社・子会社などの同一企業グループに属する別法人が経営する事業所(それぞれが雇用保険の適用事業所)に出向させた場合において、若年人材育成訓練の対象要件である「雇用契約締結後5年以内」の起算日はいつになりますか?

グループ内(各法人の代表者が同一人である場合を含む)での出向であったとしても、転籍して別の事業主との雇用契約を締結したことになるのであれば、出向先事業所では出向した日(雇用契約を締結した日)をもって若年人材育成訓練の対象要件である5年以内の起算日になります。

なお、在籍出向である場合は、通常出向元の雇用保険被保険者のままであるため、出向先では人材開発支援助成金の対象とはなりません。

Q7. 「この訓練機関のこの訓練を受講すれば助成対象となる」と厚生労働省が認めた訓練はありますか。

そのような訓練はありません。業種や受講者の職務と訓練の内容との関連性、実際に行われた訓練内容、経費や賃金の支払い状況などさまざまな要件を審査し、個々のケースごとに助成の可否を判断します。

厚生労働省:申請書類

まとめ

まとめ

以上、人材開発支援助成金を申請する際、企業様が迷われる内容と回答をまとめてみました。

基本的に、疑問に思ったことは厚生労働省、労働局、ハローワークなどのHPやパンフレットで確認してみましょう。その上で、分からなことは、労働局、ハローワークの職員に質問してみましょう。

助成金支給額の実例

助成金の支給額事例

実際に助成金を活用してインターネット・アカデミーの研修を利用された企業様の支給額の事例を紹介します。

利用した研修と助成金制度
事業展開等リスキリング支援コース
  • 研修内容:DX化推進研修
  • 受講人数:10名
  • 研修時間:21時間

助成金を活用したデジタル人材の育成

インターネット・アカデミーでは、IT・DXリテラシーの向上からエンジニアの育成まで、企業ごとのデジタル人材育成のニーズにお応えできる研修があります。貴社のご要望に合わせた研修カリキュラムのご提案はもちろん、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用した人材育成についてのご相談や、まずは情報を集めたいという方への情報提供など、専任のコンサルタントが承っています。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

1965年、愛知県名古屋市生まれ。現在も名古屋市在住。1989年に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後は、日製産業株式会社(現株式会社日立ハイテク)や、ドイツ系企業リタール(Rittal)にて開発営業プロジェクトマネージャー、採用責任者を経験。2012年9月からは法務局乙号業務責任者として非正規社員の指導、ハローワークにて求人者支援員の経験を重ね人材ビジネスにキャリアチェンジしている。

2011年1月、キャリア・コンサルタント能力評価試験の一つであるDBM(現TCC)マスターキャリアカウンセラーを取得。2016年5月には国家資格となったキャリアコンサルタントを取得。

2017年4月、カリエーレ・コンサルタンツを開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。「働き方に悩む人を、ゼロに。」をモットーにしている。

  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」※事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「愛知働き方改革推進支援センター」※相談員
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」※雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」※事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

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