IT技術・戦略ITシステム内製化の波が日本にも...。外注離れが進む理由とは
2021/09/20 (2022/08/30更新)
IT人材不足が叫ばれる中で、「ITシステムの内製化」に舵を切る企業が増えてきています。
システムインテグレーションベンダー(SIer)に基幹システムを丸投げをするというのが日本特有の従来からの産業構造でしたが、データ活用がビジネス成功のカギを握るようになった昨今では、外注頼みでシステム内製化が出来なければ先細りだと、危機感を抱き始めた企業が増えてきたからです。
ITシステムやWebを内製化することが出来れば、コスト削減に繋がるだけでなく、IT人材不足の問題も解決できる可能性が高まります。本記事では、「ITシステムの内製化」について、その背景やメリットをご紹介します。
目次
ITシステムの内製(インハウス)化とは
ITシステムの内製化とは「ITシステムの根幹の開発を自社内で行う」ことを指します。
ITがビジネスの場に登場してから四半世紀ほどの間、日本企業の多くは自社システムの開発をSIer(システムインテグレーター)に外注していました。資金的余裕もなく、IT人材を自社内で育成することもできない日本企業は、人材外注先の企業とのやり取りを繰り返しながら、自社システムの改善を続けてきたのです。
しかし、それではデータ活用などを見越して社内にIT人材を囲い込んでいる海外企業との競争には勝つことが出来ない、イノベーションが生まれないなどの弊害が出てきたため、そのデメリットに気が付いた日本企業が、少しずつITシステムを内製化する動きに転換し始めているのです。
ITシステムの内製化に成功した企業の事例
早くから内製化に取り組み、成功を収めている日本企業としては、ZOZOやDeNAなどが有名です。
例えば、ZOZOTOWNの最初のシステムを作ったのは、非エンジニアだった当時代表取締役社長の 前澤友作氏でした。そこから、自分たちに合ったシステム構築を自分たちで考えるということを強みにし、大きく成長してきました。同社は、Webだけでなく、物流システムやCRMも経営陣が考えているからこそ、柔軟に将来を見据えたシステム構築ができるのだそうです。
また、DeNAは、セキュリティの脆弱性診断を内製化し、年間1億円以上の外注費削減をしたことでも有名です。
いずれにせよ、システム内製化とは、自分たちのビジネスを動かすために自分たちの頭でシステム開発の問題点を見つけ、自分たちの手でシステムを改善しているからこそ、柔軟かつ大胆なビジネス戦略をうつことができると言えるのではないでしょうか。
ITシステムの内製化を行うメリットは?

ITシステムの内製化のメリットには具体的にはどのようなことがあるのでしょうか。
主なメリットとしては「開発スピードが上がること」と「外注コストの削減」があげられます。
開発スピードが上がる
「ITシステムの内製化」を行うことで、外注に比べて短期間でシステムを開発できるようになります。外注先とのやり取りがなくなるため、その分システム開発期間を短くすることができます。また、顧客との契約時にも開発コストや時間について具体的に話すことができるため、より質の高い議論をすることができるでしょう。
外注コストの削減
「ITシステムの内製化」によって外注費がかからなくなるためコスト削減ができます。また、自社が求めているシステムを開発できるため、「外注先が開発したシステムが自社の考えているシステムと少し異なっていた」などのというような問題も起きません。内製化に向けた初期投資は必要ですが、外注先との様々なやり取りがなくなる分、コスト削減が実現できるでしょう。
ITシステム内製化を行うにあたって考えるべきこととは?

「ITシステムの内製化」によるメリットは先述の通りですが、内製化に向けて動き出す前には様々なことを考えなければなりません。代表的なことがらをご紹介します。
初期投資が重要
内製化を始める際、システム開発に精通した人材、すなわち優秀なIT人材がいなければなりません。現在、IT業界では人材採用競争が激化しているため、優秀なIT人材を確保することは1つの重要なポイントと言えます。
人材育成にも注力すべき
ITシステムの内製化を実現し、継続していくためには社内でのIT人材の育成も重要です。配置転換などの制度を活用することで、IT人材を育成していくことも考えなければなりません。
内製化のためにIT人材を育成した事例

「新規事業部門がWebサイトを作れるようにするための技術を習得させたい」「若手にIT技術を学んでもらうことで自社のWebサービスを立ち上げたい」などの要望に沿ったIT研修をしたことで、内製化を実現した事例があります。
たとえば、毎日新聞グループの東日印刷株式会社様のケースでは、もともと社内にWeb制作部門はありませんでしたが、グループ子会社からの「ホームページを作る仕事ができないか」という相談をきっかけに社員にWeb制作技術を身につけてもらうことでWeb制作部門を立ち上げています。インターネット・アカデミーでは、このWeb技術習得の研修を行いました。
また、人材サービスを提供する株式会社ジールコミュニケーションズ様のケースでは、若手社員の方がWebデザインやプログラミングのスキルを学びながら、研修の中で実際に就活情報サイトのWebシステムを構築し、サービスリリースまで行いました。
インターネット・アカデミーでは、ただIT技術を習得するだけではなく、内製化をしたいというクライアントの目的に合わせて柔軟にカリキュラムのカスタマイズができます。この記事で紹介した事例以外にも、多数の内製化の事例がありますので、内製化を検討されているご担当者の方はお気軽にご相談ください。
この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
デジタル人材育成のお役立ち資料をダウンロード
デジタル人材育成のお役立ち資料や、IT研修の講座ラインナップ資料などをまとめてダウンロードしていただけます。ぜひ一度ご覧ください。コンサルタントへの無料相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。
- DX人材育成のための解説資料
- インターネット・アカデミーのサービス案内
- 講座ラインナップ表