IT技術・戦略ビジネスのデータ分析で役立つツールとは?
2023/03/13近年、既存事業の競争力維持や新規事業開拓による生き残りのために多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要な課題となりつつあります。そのようなDXの取り組みとして最も一般的で、DXを達成するにはほぼ必須ともいえる要素に、データの電子化とそのデータの分析・活用があげられると思います。
本記事ではそのデータ分析に注目して重要性や、プログラミングやBIといったよく用いられる分析ツール、などについてまとめていきます。
目次
データの活用がDXにおいて担う役割
近年では、商品の生産・物流・販売の動向にかぎらず、口コミ・SNS投稿・アンケートなど顧客からの商品・サービスに対するフィードバックなど、あらゆる情報を電子データとして収集できるようになっています。これらの大量のデータから価値ある情報をただしく抽出し自らのビジネスに反映しつづけていくことは、常に変動している社会環境のなかで企業が競争力を維持するためには必須ともいえます。
ここで、デジタル化された大量の情報を整理・処理をし今後の意思決定につなげていくために、以降で紹介するさまざまなデジタル分析ツールが非常に活躍することになります。
データ分析によく用いられるツール
実際にデータ分析を行う場合に用いられるツールとしては、Excel・Pythonをはじめとしたプログラミング・BI (Business Intelligence) ツールなどが一般的に考えられると思います。ここでは、まずそれぞれについて、特徴を簡単に紹介しお互いの違いを確認していこうと思います。
Excel
エクセルは多くの人がすでに知っているように表を基盤とした計算ツールで、様々な分析用の関数やツールが存在するのでビジネスの現場でも十分活躍することのできるポテンシャルを秘めています。
その一方で、前章で紹介したような何十万といった大量のデータを処理するには非常に時間がかかってしまったり、シートやファイルを跨ぐ分析などについては処理が複雑になってしまったり、といったデメリットも存在します。
プログラミング
PythonやRといったプログラミング言語はデータ分析において非常に活躍することが期待されます。特にPythonなどに関しては、エクセル以上に様々な分析用に開発されたパッケージが存在し、それらを活用することができればあらゆるデータを処理し分析を行うことができます。またエクセルと比較しても、(言語によっての違いもありますが)大量のデータの扱いに長けている、といった長所も存在します。
しかし一方でこれらのツール(言語やパッケージ)を使いこなすには一定量の学習も必要となり、プログラミングを用いて大量のデータを分析することができるのは実質的にはエンジニアとして教育を受けた人材や学習をすることのできた人材のみに限られる、といったデメリットも考えられます。
BI(Business Intelligence)
BIツールに関しては、エクセルやスプレッドシートなど様々なツールに分散しているデータを繋ぎ一元的に分析することができ、様々な意思決定の場面で用いられています。大量のデータを迅速に分析することができ、かつその操作もエクセルのように簡単であるため、社内でも多くの人が活用しやすいツールということもできます。
長期的にデータを蓄積していき、経営戦略の判断などに用いることを考えている場合は非常に活躍することが期待できます。具体的には、経営・財務分析、営業・売り上げ分析、人事データ分析、残業分析、などなど非常に様々なシーンで活用することができます。
具体的にできることやツールの種類などに関しては、以降の章で紹介するのでぜひそちらを参照ください。
BI(Business Intelligence)でできること
BIツールの機能はその種類によって多少異なりますが、基本的にはビジネスにおいて大量のデータから意思決定につなげることを前提に設計されているツールなので以下のような機能を備えていることが多いです。
データの可視化
レポートやダッシュボードの作成を迅速に行うことができます。さまざまなデータに対して収集・集計、分析・解析を行い、かつその結果を視覚的に分かりやすいグラフや図表の形で出力できるため、その後の迅速な戦略立案につなげることができます。戦略立案以外にも定期的なレポートとして、経営動向などの確認にも大変役立ちます。
多角的なデータの分析
BIツールを用いれば、OLAP(オンライン分析処理)という方法で大量のデータを様々な視点から素早く分析することができます。スライシング・ドリルダウン・ドリルアップなどと呼ばれる様々な分析方法を駆使することで多角的な分析を可能にしています。例えば、売り上げデータについて顧客層別、地域別、商品別など様々な分類に基づいて分析を行ったりすることができます。
データの中の法則の分析(データマイニング)
大量のデータの中から、互いに相関のあるデータの組み合わせやデータの法則性などに関する有益な情報を発掘することも可能です。これらの大量のデータから得られる「知識」が企業の財産として、今後の戦略立案に非常に役立ちます。
データを踏まえた予測
蓄積されたデータをもとに、これからのトレンド予測やシミュレーションを行う機能も存在します。例えば、今後の売り上げや需要に関する予測をえることができれば、そのための適切な商品の供給網の整備にのりだすことができる、などといったメリットも期待することができます。
代表的なBIツールの紹介
ここでは、具体的なBIツールとしてよく知られている二つの例を紹介しようと思います。根本的にできることはあまり変わりませんが、操作性や他のデータソースとの連携など細かい部分で違いがあるので、自社にあったソフトウェアを導入することが必要です。
Tableau(タブロー)
Tableauは世界的に導入されているBIツールの一つです。データのビジュアル化について優れており、デザイン性の高いグラフをドラッグ&ドロップ・クリックだけの単純操作で簡単に作成できることが特徴です。データのビジュアル化を迅速にかつ分かりやすく行えるため、データの収集から意思決定までのスピードを大幅に短縮することができます。
また、ダッシュボードのカスタマイズなども柔軟に行うことができるため、自社の目的にあったデータ分析を行うことができます。
Tableauを学ぶ研修をみるPower BI
Powew BIの特徴は何といってもこのソフトウェアがマイクロソフトによって提供されていることでしょう。UIなどの仕様がExcelなどと似ているので、マイクロソフトのソフトウェアを使い慣れている人にとっては特に非常に直感的に操作できるようになっています。
データコネクタが非常に豊富で、Excel、SalesForce、Dynamics 365などといった数百のデータソースに接合できるので、本製品だけでさまざまなデータを閲覧することができるのも強みです。
Power BIを学ぶ研修をみるビジネス現場のデータ分析でBIを使いこなそう
これまで見てきたように、DX推進や企業の価値向上に大きく役立つ「データの活用」という取り組みをより効果的に行うために、さまざまなツールが存在しています。特に、BI(Business Intelligence)は活用範囲も幅広く、プログラミングと比べても操作習得までのハードルが低いため非常におすすめです。このツールを活用することで、日々収集されているデータから、分析・意思決定までのサイクルを非常に早く回すことができるようになります。
もちろん、その他のDX推進やBIツールに分析させるデータの整理などにおいてはプログラミングは非常に活躍するため、企業の全体的なデジタル化のためにはプログラムを行うことのできるエンジニアも必須です。本記事ではそこからさらに、エンジニア以外の人材も迅速かつ効果的なデータ分析・意思決定をおこなうことができるようにBIの導入・教育をおこなう、ということも社内DX推進のために有効であることを紹介しました。
データ分析のためにBIを導入した事例紹介
インターネット・アカデミーのIT研修は、多くの企業にご利用いただいています。今回は、社内のデータ分析効率化のためにBIを導入した企業の事例を紹介します。
株式会社テレビショッピング研究所
当社はテレビ、紙面、Webと幅広い範囲で通販事業を展開しているのですが、近年部署間での情報共有に課題を感じ始めており、会社全体でPower BIを導入していく流れとなりました。まずはマーケティング事業部に対して開催した研修では、講師の方がPower BIの使い方や可能性を丁寧に伝えてくれました。実際に使ってみるとその便利さがより分かるだろうということで、現在では社内に導入して業務の中で使用しています。
今後はデジタルマーケティング事業部だけでなく他部署にもPower BIを導入し、最終的には会社全体で使っていけるようにできれば、情報共有もよりスムーズに行えるようになるのではないかと思っています。
インターネット・アカデミーでは、お客様の状況や要望に合わせたデジタル人材育成の研修を提供しています。自社DX推進のためにデジタル人材育成の研修を検討している方は、お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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