人材育成社員のリスキリングを効果的におこなう手順とは?

2023/03/27
社員のリスキリングを効果的におこなう手順とは?

リスキリングとは「新しいスキルを学び身につけることで、新しい業務や職業につくこと」を意味しており、近年企業のデジタル人材戦略の具体的な取り組みとして世界中で注目されています。本記事ではそのようなリスキリングについて、より具体的に役に立つステップや考え方などについてご紹介します。

目次

日本の政策とリスキリング

近年、国家の経済成長のためには企業のDX・リスキリングを進めなくてはならないということが世界での共通認識となりつつあります。そのような中欧米やアジア諸国では既に、企業のDX推進に必須ともいえるデジタル人材育成に国をあげて取り組んでおり、政策として国内企業のリスキリングを推進している状況です。

日本はというと、世界的にみてデジタル化の波に乗り遅れてしまっているような印象もありますが、2022年5月GW中にヨーロッパを歴訪していた岸田文雄首相がロンドンでの講演において、ついにリスキリングに取り組むことを明言しました。今日ではリスキル講座(第四次産業革命スキル習得講座認定制度)や人材開発支援助成金の新コース設立など、政策として企業社員のリスキリングを支援する制度も整ってきた印象があり、これから国内企業のDXやリスキリング推進が加速していくことを期待できます。

リスキリングを効果的にするスキルセット

現在はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代ともいわれ、急速なデジタル技術の進化やそれに伴う社会のニーズやビジネスモデルの変化などにより絶えず我々をとりまく環境が変わっていくため、なかなか先を見通すことの難しい時代となっています。そのような時代の中で社会人が働き、価値を生み出し続けるためには常に自らを「リスキリング」していくことが非常に重要になってきます。外部環境の変化に合わせて自分がどのようなスキルを身につけて行くべきかを判断しコントロールしていくソフトスキルを身につける、と言い換えることもできるでしょう。

ここでは、そのような「リスキリング」を効果的に実践していくために役に立つプロセスやスキルについてご紹介します。これらのスキルは、企業の社員一人ひとりが身につけることでより大きな効果を発揮します。

アンラーニング(学習棄却)

アンラーニングとは、これまで学習した知識・情報・成功体験などの中から不要になったものをリセットし、新たな知識や技術を受け入れる体勢を整えること、を意味します。リスキリングで新たなスキル習得を目指すためには、新しい外部環境の変化に対応して会社も個人も変わる体制を整えなければいけません。

このプロセスは特に、ベテラン中高年社員のリスキリングを図る場合に意識して取り組む必要があります。現状への執着や自身のプライド、ノスタルジーなどといった感情を自覚し、距離を置くことで、知識をリセットし新たなものを受け入れる下地を整えることは非常に重要です。

アダプタビリティ(適応力)

自分自身の「認知、理解、行動」のプロセスを客観的に評価し、AQ(Adaptability Quotient、適応指数)を向上させることも重要です。アンラーニングによって空いたスペースに適応力が加わることでより幅広く外部環境からの吸収を行うことができるようになります。AQという指数であらわされる適応力は、トレーニングによって鍛えることができるものなのでリスキリングを自ら行っていくためには、この適応力を高めることも重要なプロセスになります。

プランニング(未来予測)

将来起こりうる未来シナリオを複数想定し、それに基づいた戦略を立てるスキルも重要です。未来予測のスキルを高めることでより具体的に自身のリスキリングの方向性を定めることができるようになります。Future Today InstituteやSi-F-プロトタイピングといった未来予測やプランニングのメソッドを身につけることで企業も社員も自らの意思に基づいたビジネスプラン・キャリアプランのもとリスキリングに取り組めるようになります。

リスキリング成功のためのステップ

近年では社会や技術の変化のスピードも非常にはやくなっており、リスキリングにおいてもその素早い状況の変化にあわせた臨機応変な取り組みが重要となってきます。そのため、日々社会のニーズに合わせてリスキリングを行っていくためには、従来のPDCAサイクルによる実践ではなく、むしろ近年注目されているOODAサイクルによる実践が理想的です。

OODAとはObserve(観察), Orient(方向づけ), Decide(決定), Act(行動)の頭文字をとったもので、より柔軟な実行プロセスのもと目標に向かった道のりを進むことができます。

ここでは、このOODAサイクルを念頭に、より具体的に考えられるリスキリングまでのステップについてみていきましょう。

情報収集体制の構築

企業が変動の激しい環境下で生き残っていくためには、社会の現状を常にキャッチアップすることと同様に、絶えず情報収集をおこない未来予測に基づいた先回りの施策が非常に大事になってきます。継続的かつ効果的にリスキリングを行っていくためにも、定期的な情報収集とそれを反映させる体制づくりが重要です。

現状評価・ビジョンの策定

リスキリングによって育成したい人材像について考えるためには、まず現状自分たちが持ち合わせている人材やスキルセット(強み)などと、自分たちの理想的な達成目標やそれに必要なスキルセット、とのギャップを正しく理解する必要があります。

社員のスキルの可視化や必要な人材像の明確化をすすめていくことで、具体的に足りない部分を補うために適切な習得スキルとリスキリング対象人材とを絞り込むことができます。

デジタルリテラシーの向上

一見リスキリングを行うことと順番が逆転しているように思われるかもしれませんが、実はこれも重要なステップといえます。以前の記事でも言及したように、現状日本の労働者は特に、デジタルテクノロジーを扱いきれる自信のなさや単なる知識不足から、IT技術の学習に消極的になってしまっていることが考えられます。

そこで、まずは翻訳ツールやチャットツールなど日々の生活の一部にデジタル技術をとりいれたり、最低限必要な全般的なデジタルリテラシーを学習したりすることで、デジタル技術を活用していくことへの抵抗感を減らしていくことが期待できます。

学習実施・アウトプット機会の用意

いざ学習を行うという場合は、当たり前かもしれませんが企業側が学習の場・機会を設けてあげることが重要です。きちんと業務の一環としてリスキリングをおこない、業務の中で学んだことをアウトプットする機会も準備しておくことで、実践の中で使えるスキルとして社員が新たなスキルを身につけることができます。

研修を行い社内のリスキリングを実践した事例

インターネット・アカデミーのIT研修は、多くの企業にご利用いただいています。今回は、研修を行いリスキリングを実践した企業の事例を紹介します。

東日印刷 株式会社

東日印刷株式会社

弊社は国内最大級の新聞印刷専門会社ですが、新聞印刷以外にも将来性のある事業を新たに立ち上げる必要があると感じ、web制作の事業を立ち上げることにしました。最初の目標は、自社サイトのリニューアルだったのですが、その中でwebのできる新規の人材を雇うのではなく既存の社員の研修を行うというアプローチをとることで、初期投資も抑えられましたし自社の背景をよく理解した人を制作チームにいれることができました。結果的に半年で、サイトのリニューアルを達成することができ、とても満足しています。

三菱ガス化学(株)

三菱ガス化学(株)

当社は化学メーカーとして技術力に自信がある会社ですが、IT化やDXについては課題もあります。部分的な取り組みとして製造現場でのオペレーションの一部自動化や研究現場でのMI(マテリアルズ・インフォマティクス)導入を進めてはいましたが、今後そのような取り組みを拡大していくため組織全体としてITリテラシーを向上させる必要性を感じていました。今回の研修で知識を得たことで、「この技術をこういったことに活用したい」などの前向きな意見が多く出てくるようになりました。「自分に何がやれるんだろう」「こういうことを将来実現できたらいいな」という意識が、業務効率化や生産性向上につながることを期待しています。

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