人材育成リスキリングによる配置転換の流れが加速、「IT人材採用」から「IT人材育成」へ

2021/09/20 (2022/09/09更新)
リスキリングによる配置転換の流れが加速、「IT人材採用」から「IT人材育成」へ

これまで多くの企業は自社システムの強化やユニークな商品の開発に欠かせない、優秀なIT人材を積極的に採用してきました。
しかしながら、従来のIT人材の新規採用だけではなく、非IT人材をIT人材へと育て上げる「人材育成」にも尽力する企業も現れています。今回はその理由についてご紹介いたします。

目次

IT業界の現状の動き

データを活用した新たなビジネスの促進や変革を実現するためには、IT技術の活用が必要不可欠です。多くの企業が自社のIT技術の発展・強化を重視しているのはそのためです。

しかしながら、ITスキルといっても、様々な種類のスキルがあります。その中でも具体的にどのようなスキルを持った人材が求められているのでしょうか。そして、人事担当者の方はどんなIT人材の確保を行えばよいのでしょうか。

「先端IT人材」の不足

「先端IT人材」の不足

現在、IT業界は深刻な「IT人材不足」に頭を悩ませています。中でもAIの活用やIoTを開発することができる「先端IT人材」の確保が難しくなっています。

経済産業省は、ITスキルを持った人材が2030年には最低でも約41万人、最大で約79万人のIT人材が不足すると予想しています。また、経済産業省は、先端IT技術を扱う「先端IT人材」の需要と供給のギャップも試算しており、従来のスキルをもつ「従来型IT人材」からのスキル転換(リスキル)の重要性を示唆しています。

出典:経済産業省 IT人材需給に関する調査

ITスキルは働く人すべてが持つべきスキル

AIやIoTといった最先端のIT技術は高度かつ広範囲に渡る専門の知識が求められるため、誰もがマスターできるというわけではありません。しかしながら、プログラミングやWebサーバーといった基本的なITスキルを非IT人材にも求める気運が日本で高まっています。

IDC Japanによれば、200名以上のIT部門マネージャーのうち71%が、200名の業務部門マネージャーのうち51%が、業務部門でも「IT技術の概要教育」または「業務部門自身でIT技術導入ができるような教育」は必要だと回答しています。

このことから、基本的なITスキルは一部の人材に求められるものではなく、今やほとんどの社会人に共通して求められる能力だと言うことができます。

IT業界での人材採用費は国家予算に匹敵!?

「先端IT技術」と「社会人のリテラシーとしてのITスキル」の2つの段階のいずれにおいてもIT人材が不足している中、これまで多くの企業は、他社で経験を積んだIT人材を新規に採用することに注力してきました。その結果、IT人材の採用コストと人件費は高騰し、採用競争が激化しています。

例えば、アメリカのIT会社トップ20のAI人材採用費だけでも年間650億円を超えるという試算も発表されています。 内閣府が発表した、2018年度のAI関連予算が約770億円であったことを鑑みると、アメリカの一部のIT企業だけで、一国の政府予算に匹敵する額の採用費を費やしていることがわかります。

実際に、IT人材の各職種に支払われている最大年収を見てみると、日本では、IT人材に対して最低でも1000万円以上の年収が支払われていることがわかります。これだけでも充分に高額ですが、世界的には日本の企業以上にIT人材に対して高額報酬を支払っている国々があります。

より高いITスキルを保有する人材の採用となると、他国とのIT人材確保競争にも勝利する必要が出てきました。今後、より厳しいIT人材採用競争が続くとの見方から、一部の企業では、採用競争の中で闘って人材を確保するのではなく、ポテンシャルを秘めた人材をIT人材として育成する方向へと舵を切っています。そうすることで、将来的に高いIT人材を確保するという狙いがあります。

トップIT人材の最大給与年収の比較(単位:百万)

トップIT人材の最大給与年収の比較(単位:百万)
トップIT人材の最大給与年収の比較(単位:百万)
Hays「ヘイズ アジア 5ヶ国・地域における 1244職務の給与水準と、5171人の雇用実態調査」

自社内からデジタルテクノロジーを磨く

IT人材採用競争の激化から、IT人材の確保を採用だけに頼っていては外国企業に太刀打ちできない状況が強まっています。それと同時に、ITスキルが業界を問わず社会人に必要なリテラシーだとする考えも広まりつつあります。

こうした現状に対応するべく、一部の企業は自社内でIT人材育成を強化するリスキリングの方向に舵を切っています。

「人材採用」から「人材育成」へ

「人材採用」だけに注力するのではなく、一部の企業では既存の社員の「配置転換」に取り組んでいます。

「配置転換」とは、一般的に職務配置、勤務場所を変えることです。しかし、最近のニュースで耳にする配置転換としては、非IT部門の人材を、IT部門へと振り分けるという意味で話題になっている傾向があります。例えば、富士通では、2018年11月に人事や総務、経理などの非IT部門の社員5000人をITサービス事業へと振り向ける大規模な配置転換の方針を示しました。

配置転換の意図は、適材適所、組織の活性化など様々です。ここでの配置転換の場合、非IT部門の社員もIT部門の業務に携わることで、社員全体のITスキルの底上げを目的にして実施されるケースも見られます。

日本経済新聞「富士通、配置転換5000人規模 ITサービス注力で」

内製化でスピード感ある戦略を目指す

IT人材育成だけではなく、自社システム構築・運用方法の見直しも行われています。

これまで日本企業の多くは、自社システムの開発をSIベンダーに外注していました。ところが、新たな戦略のたびに外注しているのでは、スピード感のある企業活動ができないと考える経営者が出てきました。外注の繰り返しによるシステムのつぎはぎが効率的なシステム運用の妨げになるからです。

また、革新的なITサービスを開発するためには、システムの根幹の開発は自社内で行うべきだという考える経営者も増えています。

IT業界内での人材採用競争が激化する今、自社内で利用可能なリソースをいかにうまく活用するかがビジネスで成功する上での重要なポイントになってきているのです。

リスキリングで内製化・配置転換を実現した事例

業界を問わず多くの企業が、自社内でのIT人材育成にも尽力し始めている現状を踏まえると、社員のITスキル向上を目指すことは喫緊の課題だと言えます。インターネット・アカデミーでは、企業が社内システムの開発などを内製化するためのリスキリングを支援し、多くの企業の内製化や配置転換をサポートしてきました。その事例の一部をご紹介します。

株式会社堀内カラー

創業60周年の節目を迎える前に徹底的に営業スタイルを見直し、Webマーケティングに力を入れて「売れるWebサイト」を目指すことを決意した株式会社堀内カラーは、インターネット・アカデミーの社員研修と同時に、ITコンサルティングサービスをご利用頂きました。経営陣の方々を交えた会議を行い、一からWeb戦略を策定。新たな公式Webサイトやコンテンツの作成を社内で行い、内製化の体制を整えることに成功しました。

インターネット・アカデミー企業研修実績「日本最大手のプロ向け写真現像企業が行った第二創業の変革」

株式会社カシオ計算機

「Webを使っての継続的な顧客サービス提供」という新サービスを担う社員にむけたWebスキルアップ研修を実施。研修後、Webサイトや社内システムの内製化を進めていらっしゃいます。 「研修を通して、やはり望んでいるWebサイト・システム開発を行うためには、内製・内部運用できる社内人材を増やしていくことが重要だと痛感しました。」というコメントを頂いています。

インターネット・アカデミー企業研修実績「カシオ計算機が育成する次世代を担うWebサービス技術者」

株式会社ジールキャリア

人材サービスを展開する株式会社ジールキャリア様は事業拡大の一手として独自の就活情報サイト「キャリch(キャリチャン)」の立ち上げを決定。
インターネット・アカデミーのカスタマイズ研修とコンサルティングサービスをご利用いただいた結果、制作会社への外注をせず、Web制作未経験の社員がたった2か月でゼロから新規サービスの立上げと開発を実現しました。 その後も、完全な自社運営を行っていらっしゃいます。

インターネット・アカデミー企業研修実績「若手社員の挑戦未経験から2か月で就活情報サイトを開設」

内製化・配置転換についてのご相談

ここまでご紹介してきた通り、採用に頼らず、一部の企業では研修を通じIT人材の育成や開発環境の内製化にシフトチェンジし始めています。実際のところ、IT人材の獲得や育成に力を入れ、配置転換を行っている企業も増えてきています。
その一方で「自社内で研修を行おうにも、自社ITエンジニアに講師をお願いすると業務が滞ってしまう」、「IT研修といっても何を教えればよいかわからない」とお悩みの方も多いようです。

インターネット・アカデミーでは、企業担当者様がお持ちの悩みやご要望に合わせて、カスタマイズした研修やコンサルティングをご提案させていただいております。母体の開発会社のノウハウと、1995年から培ってきたIT教育のノウハウをカリキュラムに還元しており、未経験者からIT技術を身につけ制作・開発の実務が行えるようになります。

IT人材の自社育成や、IT戦略の実現に向けて課題を感じていらっしゃる担当者の方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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