IT技術・戦略システム発注トラブルを避けるための知識
2023/04/20
DX推進のためには自社のビジネスや業務フローをデジタル化が必須となっています。サービスをデジタル化したり、社内システムを刷新する際に、開発ベンダーにシステムを発注するケースが多いですが、納期遅延や費用の膨張、希望した機能の不足などのトラブルが発生することがあります。これらのトラブルを防ぐためには、発注側も十分な知識を持つ必要があります。本記事では、開発ベンダーへのシステム発注トラブルを防ぐために、どのような知識を身につけるべきかを解説します。
目次
よくあるシステム発注のトラブル
システム発注をする際に、様々なトラブルが発生することがありますが、代表的なトラブルは以下のようなものがあります。
納期が大幅に遅延
発注側が期待する納期に対して、開発が遅れてシステムを完成させることができない場合があります。納期が遅延する場合、数か月単位で遅れるケースもあり、これにより、発注側が想定していた業務スケジュールが乱れ、他のプロジェクトにも影響を及ぼす可能性があります。
費用の膨張
発注側が予算を設定して発注を行ったにもかかわらず、開発ベンダーからの追加料金請求が発生する場合があります。これにより、予算オーバーとなり、予算の再調整や追加の資金調達が必要になる可能性があります。追加費用で、当初の見積の倍以上の金額になってしまったというケースもあります。
必要な機能が実装されていない
発注側が要望していた機能を開発ベンダーが実装しなかったり、使い勝手が悪いなど期待した機能が十分に実装されない場合があります。これにより、システムの利便性や性能が低くなり、発注側の業務効率や顧客満足度に影響を及ぼす可能性があります。
また、社内発注者が現場理解をしておらず、現場で必要とされる機能がそもそも要件に含まれておらず、システムが完成しても現場で使われない、というケースもあります。
トラブルを生み出す知識不足
システム発注において、トラブルが発生する一つの原因として、発注側の知識不足が挙げられます。
発注側がシステムの仕様や要件を明確に伝えられない場合、開発ベンダーはクライアントのニーズを把握できず、期待されているシステムを開発することができません。また、発注側が開発プロセスや適切な納期の設定について理解していない場合、作業の手戻りが大量に発生し、遅延や費用の膨張につながるリスクが大きくなります。
また、発注側がシステム開発の進捗状況を適切に把握できず、コミュニケーションが不足してすることで、トラブルがエスカレートするケースもあります。
そのため、システム発注をする際には、発注側が適切な知識を身につけることが重要です。例えば、システム開発の基本的なプロセスや適切な要件定義の方法、納期の設定や進捗管理のポイントなどについて十分に理解し、開発ベンダーとのコミュニケーションをスムーズに行うことでトラブルの発生を抑止できます。
要件定義には特に注意
システム開発のトラブルの原因でもっとも大きいのは、要件定義ができていないことです。 システム発注前に十分な要件定義が行われず、希望する機能や要望が明確に伝えられていない場合、開発ベンダーは期待されている機能を実装できません。要件定義の不備や曖昧さがあると、期待していた機能が実装されていなかったり、UIが悪く使いにくいシステムができあがります。
また、コミュニケーションに不備があると、開発ベンダーとの間での要望や修正に関する情報の共有が滞り、希望した機能が正確に伝わらない可能性があります。特に、開発ベンダーは社内でのシステムの利用のされ方を把握しているわけではないため、認識齟齬を生まないようなコミュニケーションが欠かせません。
システム発注の際に身につけるべき知識
システム発注をする際には、発注側は以下のような知識を身につけるとよいでしょう。
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システム開発のフロー
システム開発の一般的なプロセスや、要件定義、設計、開発、テスト、リリースなどの各フェーズの進め方やポイントを理解することが必要です。
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要件定義
先ほど触れたように、トラブルの多くは要件定義の不備から発生します。認識齟齬が起きない粒度での要件定義を行うことが大切です。
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進捗管理
システム開発の納期の設定や進捗管理のポイントを理解し、開発ベンダーとのコミュニケーションをスムーズに行うための知識を身につけておくことが大切です。
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技術的な知識
ITインフラ、セキュリティ、データベースなど、発注するシステムに関する専門的な知識を持つことで、開発ベンダーとのコミュニケーションや要件定義がよりスムーズに行えます。開発スキルを身につける必要はありませんが、用語や役割など一般的な知識を身につけておくと良いでしょう。
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品質管理の知識
開発ベンダーが開発するシステムの品質をチェック・評価するための品質管理の知識を持つことが重要です。テストや品質検証の方法を把握していると、品質に関する指摘や改善要望を的確に伝えることができます。
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契約やSLAの理解
開発ベンダーとの契約やService Level Agreement(SLA)に関する知識を持つことで、納期や品質に関する合意を明確にし、トラブルを未然に防ぐことができます。
インターネット・アカデミーでは、発注者が開発ベンダーに適切なマネジメントをするための知識を学ぶ「ベンダーマネジメント研修」があります。DX化でシステム発注に携わる予定の方にぴったりのカリキュラムになっていますので、お気軽にご相談ください。
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ベンダーマネジメント研修
開発会社側の業態や業界構造を踏まえたうえで、システム開発における発注者側と受注者側の動きを対比しながらプロジェクトの全体像を把握します。発注前の企画立案・業者選定から、実際の開発のフェーズ、テスト・検収に至るまで、それぞれのフェーズで発生する作業やよくあるトラブル、注意すべき点について学習するため、リスクを抑えたマネジメントができるようになります。
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この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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