人材育成Linux関連の資格を比較!!どの資格取得を目指せばいい?
2022/12/13近年、さまざまなビジネスやサービスがITを介して提供されており、これらのサービスを支えている技術のひとつがサーバーに関するものです。サーバーではLinuxサーバーが高いシェアを占めており、社員にネットワークやサーバーに関する技術・知識を学ばせる場合、Linux関連の資格対策を取り入れてはいかがでしょうか。
Linux関連の資格としては、LPIC(エルピック)、Linux Essentials、LinuC(リナック)の3つが日本では特に有名です。 世界共通基準でLinuxの技術力を証明するLPICは、過去に8年連続で最も取得したい資格に選ばれたことがあるなど、エンジニアからの人気も高い資格です。Linux EssentialsはLPICの前段階の資格として2018年から新たに設置された比較的新しい資格です。 そして、LinuCは日本市場に最適化して作られているLinuxの認定試験です。
今回は、企業研修でLPIC、Linux EssentialsやLinuCなどの各資格の違いを比較し、どの資格取得を目指せばいいのか考えていこうと思います。
目次
Linuxが人気の理由
Linuxは現在、サーバーOSとして企業への導入が大変すすんでいます。その理由として、LinuxがWindowsOSやMacOSと異なり、無料のOSS(オープンソースソフトウェア)として提供されていることがあげられます。Linuxを用いれば、システム導入にかかるコストやバージョンアップコストを削減することができます。その他にも、OSを提供するメーカーのバージョンアップなどに影響されにくくなる、OSSの特徴として多くの人が自分で改良した最新の技術を公開しているのでそれらの最新技術の導入も比較的容易、クラウドサービスとの連携もしやすい、などさまざまなメリットがLinux人気の理由となっています。
IT人材が不足している傾向にある今日において、このように多くの企業で導入されているLinuxというOSSを扱うエンジニアについても需要は非常に高くなっており、そのような人材を社内で育成することは価値ある投資と言えるでしょう。
LPICの概要
Linux技術者認定試験「LPIC」は、Linux「管理者」としての技術力を証明できる資格です。試験は初級から上級まで3つのレベルに分かれています。
Linux初心者である新入社員がまず目指すべき認定資格が「LPIC 1」です。この試験はコマンドラインによる基本的なLinuxの操作方法を問う内容であり、Linuxが扱えるエンジニアであることを証明する資格です。「101試験」と「102試験」の両試験に合格することにより、LPIC 1に認定されます。
実務経験を積んだ中堅社員は、「LPIC 2」の学習に進みましょう。この試験は「LPIC 1」の技術・知識をベースとして、さらに幅広いシステム構築やネットワークの構築が行えるレベルを認定する資格です。「201試験」と「202試験」の両試験に合格することで、LPIC 2に認定されます。
現場の技術部門トップクラスの社員には、「LPIC 3」を受験させると良いでしょう。この試験は大規模なシステムやWebサイトが抱える問題点を解決するための提案をしたり、予算を意識しながら作業をしたりできるレベルが想定されています。 LPICレベル3は、「300試験」「303試験」「304試験」の3つの専門的な試験に分かれており、いずれかに合格するとLPIC 3に認定されます。
Linux Essentialsの概要
本試験はLPICと同じLinux Professional Institute(LPI)が発行する資格で、Linuxに関する基本的な知識を習得し、基本的な操作ができる証明となります。位置づけとしては、LPICへの導入となる試験になっています。この資格の取得対象者は、これからLinuxを学習しようとしている人です。サーバーエンジニアを目指すというよりは、非IT職や、直接的にサーバー管理を行わないプログラマーなどにおすすめされる資格です。近年非IT職の人材向けのIT関連の資格として、注目をあつめているITパスポートのLinux版のようなイメージになります。
入門レベルの資格ですが、OSに関する技術を証明する資格ですので、試験範囲はOSが持っている機能全般が含まれます。Linuxに限らず多くのOSやIT技術に共通する基本的な内容の学習にもなるので、他のIT分野の学習をする際の助けにもなるでしょう。
またLPICが有効期間5年であるのに対し、本資格は生涯有効になっているのも特徴です。
LinuCの概要
LinuCは、クラウド時代に求められるLinuxスキルの保持を証明することができるLinuxの認定試験です。今のLinux技術者に求められる3つのスキル「クラウド」「オープンソースのリテラシー」「システムアーキテクチャの知見」を含む全てのIT技術者に求められる技術力を証明することができます。LinuCには3つのレベルがあり、合計7つの試験が存在します。最新の試験バージョンは、「LinuCレベル1 / レベル2 Version 10.0」です。(2020年3月2日リリース、同年4月1日から受験開始)
「LinuCレベル1」では、主に物理/仮想Linuxサーバーの構築と運用に関する知識が求められます。試験は「101試験」と「102試験」の2種類のテストがあり、2試験を5年以内に合格して、初めてレベル1の認定を受けることができます。
「LinuCレベル2」では仮想マシン・コンテナを含むLinuxシステム、ネットワークの設定・構築についての知識が求められます。試験は「201試験」と「202試験」の2種類のテストがあり、2試験を5年以内に合格し、かつLinuCレベル1の認定を持っていることで初めてレベル2の認定を取得することができます。
「LinuCレベル3」は、各分野の最高レベルの技術力を持つ専門家としてのスキルを証明する最高位の試験で、より専門的で独立した「300試験」、「303試験」、「304試験」の3つから構成されています。さらに、その3つの試験のすべてに合格する必要はなく、いずれか1つに合格し、かつLinuCレベル2の認定を取得していればレベル3の認定を取得することができます。
各資格試験の比較
これまで、三つの資格についてみてきました。基本的に、LPICとLinuCとの間に資格のレベルや内容に関して大きな違いはないので、基本的にどちらの資格を取得しても大丈夫です。ただ、LPICは世界基準の資格、LinuCは日本の環境に特化した資格になっているので、社員に資格の取得をすすめる場合は、そのことに気を付けるとよいでしょう。
一方でLinux Essentialsに関しては、かなり基礎的かつ一般的な内容になっているのでLinuxエンジニアを目指す初心者に限らず、ITリテラシー向上の一環としてLinuxを学習する際などにもおすすめです。
最終的には、各種試験の違いを理解したうえで会社の目標にあった資格の取得をすすめるのがいいでしょう。
資格試験への対策
このような資格取得を社員に進めた場合、試験のための学習・研修はどのように行えばいいのでしょうか?
基本的には、社内で研修をひくかOJT(職場での実務経験を通して行われる従業員の職業教育)などによって知識の習得を目指す、ということが考えられます。
しかし、このような場合指導側にまわる社員はLinuxのプロであって、教育のプロではないことを忘れてはなりません。具体的には教える人によって内容に差が出てしまったり、教育のための準備にかかるコストに対して期待しているほどの効果を得られない場合もある、現場で教える社員の負担も大きく教育以外の普段の業務に支障がでてしまう、などといった問題が考えられます。
このような問題を解決し、社員全体のレベルを底上げするためには、やはり企業研修を実施してプロの講師から学ぶことがおすすめです。Linux研修では、Linuxのスキルを身に付けるだけでなく、ITのトレンドや最新の技術に関しても勉強することができます。
インターネット・アカデミーでは、LPICやLinuCの資格対策講座を設けている他、ご要望に応じて研修内容をカスタマイズすることも可能です。もちろんLinux Essentialsの対策についても、合格のために必要な基礎知識をしっかり学べる研修などもご用意できます。本アカデミーの研修では、具体的に学んでいる内容が実務のなかでどのように活かせるのかまでしっかり理解することができ、資格取得のその先まで見据えた教育効果を期待できます。
Linuxに関する研修・講座の受講を検討している場合はぜひお気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者
インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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