人材育成ITエンジニア不足で活性化するリスキリング
2021/09/11 (2022/11/22更新)
「もっと多くのITエンジニアが社内に必要だと考えているものの、採用しようにもIT人材不足が続いているために、優秀な人材を見つけるのはとても難しい」。今、多くの企業がエンジニアの採用について悩みを抱えています。
旭化成では、データ分析やIoTなどの専門性の高い技術を身につけるカリキュラムで人材育成をすることでデジタル人材を10倍にする取り組みを行っている(日経新聞 2022/8/17)ようですが、社内の人材にIT技術の教育機会を設けることでデジタル人材を確保しようという取り組みが、大手企業を中心に広がっています。
目次
そもそもITエンジニアが足りない
昨今のIT産業の需要の高まりの影響を受け、各業界ではITエンジニアを含む優秀なIT人材が不足している状況が続いています。経済産業省の調査では、2022年の時点でも約32万人、2030年には最大で79万人のIT人材が不足すると言われています。

そもそもエンジニアに限らず、働き手そのものが不足しているため、決して多くはない求職者の中から自社にマッチした優秀な人材を確保することは至難の業です。
このような状況下でITエンジニアを確保するために、一定のスキルをもった人材を新たに採用するのではなく、研修やOJT(On-the-Job Training:現任訓練)などの教育訓練を通して社内でITエンジニアの育成を検討する動きが多く見られます。
冒頭で紹介した旭化成のリスキリングの取り組みもこれに当てはまります。
リスキリングで身につけたいスキル
変化に対応するための普遍的なスキル

IT業界は、つねに日進月歩で変化し続けています。技術革新のスピードは凄まじく、企業を取りまく環境や顧客のニーズも多様化しています。
ITエンジニアには、この変化に対応する能力も必要ですが、多様性に富んだ業務環境に適応するためには、「普遍的なスキル」を身につけることが肝心です。ここでいう普遍的なスキルとは、特定のプログラミング言語に関する技能や知識に限定されない現場で求められるスキルのことを指します。
一例として、次のようなスキルが挙げられます。
- トラブルの原因を見つけ解決する能力
- 設計書やユーザーマニュアルなどの文書作成能力
- プロジェクトの進行を調整する能力
しっかりと知識の土台を固め、あらゆる変化に柔軟に対応できることは、ITエンジニアにとって強みになります。こうしたスキルも、エンジニアとしての必要スキルと合わせて磨くと良いでしょう。
高度なITスキル
今後ますますIT化が進むと予想されるため、企業の競争力を高めるためには高度なIT人材の育成が欠かせません。先ほどの経済産業省「IT人材需給に関する調査」においても、AIやビッグデータなどの先端IT技術を扱える人材の不足についても言及されており、従来のIT人材をリスキルによって先端IT人材へ転換する必要性が述べられています。
企業の現状や将来の方向性を見据え、自社内から優秀なITエンジニアを育てることで、戦略的にIT活用を進め、成果に繋げる必要があります。
先端IT人材を育成するためには、AIやIoTなどの先端IT技術を学ぶための場を設ける必要があります。メディアで取り上げられる大手企業では、先端IT技術をあつかう社内の部門や関連会社で研修を行うケースもありますが、社内にそうした知見がない場合は社外の研修機関を活用するとよいでしょう。
また、自社内にエンジニアとして一定の経験やスキルを持っている社員が在籍している場合でも、研修を実施するためのカリキュラム作成や、研修期間の通常業務の対応を調整する必要があります。システム開発会社でも、社内でのエンジニア教育の負荷が大きいため外部の研修期間を活用するケースも多くあります。
先端IT人材へのリスキリングを行った事例
インターネット・アカデミーではAIやIoTなどの先端IT技術の研修も行っており、「既存のIT技術をもつエンジニアに先端IT技術を学ぶ機会を与えたい」という相談も寄せられています。ここでは、リスキリングにより先端IT技術の育成に取り組んだ企業の事例を紹介します。
Java・C#からPythonへ

営業職や技術者などの既存社員にAI基礎、プログラミングの研修を実施
インターネット・アカデミーにお願いした研修は、これまで既存のお取引先との協業で身につけてきた知識や技術の枠を超えて、新しいソリューションの開発に繋がるきっかけ作りの場と考えています。例えば、Javaを使って開発していた社員に一歩進んでPythonの教育を受けさせることで、提案の幅が広がることを期待しています。
取引先への提案において、AIのニーズを感じていました。物流系の企業を例に挙げると、ビッグデータに近い、過去の実績データをもとにした月別の適正在庫数の算出が可能になるのもAIならではです。研修により、違った切り口でもAIが活用できるようになれば、新規顧客の開拓にもつながると考えています。
業務の自動化に向けてRPAの技術を習得

営既存社員にPython(RPAツール実践研修)を実施
今回の研修は現場の自動化が目的なので、実務で活用できるカリキュラムである必要がありました。インターネット・アカデミーはほかの研修機関に比べて柔軟性が高く、現場の業務に近しい形でカリキュラムをカスタマイズしてくださり、RPA(Robotic Process Automation)ツールやLINEチャットボットを作る実践的な研修が実現できました。また、受講者のレベル別に研修を分けたり、研修をライブ形式で受けられない社員には録画配信をするなど、柔軟に対応していただけたことが非常に良かったです。
あとは、実際に現場で仕事をされている専属の講師の方に研修をしていただける点も魅力でした。他の研修機関ではPython研修をフリーランスの講師に依頼することが多く、内容の確認に時間を要してしまい、カスタマイズもしにくいのが現状です。一方、インターネット・アカデミーは自社で開発に携わっている方が講師をされるため、スムーズに話がまとまり、助かりました。
インターネット・アカデミーではITの基礎から先端IT技術まで、幅広い研修を取り揃えており、企業ごとの業務やご要望に合わせてオーダーメイドもできるようになっています。「社員のリスキリングが進まずに困っている」「自社でITエンジニアの育成を検討しているが、そのための体制が整っていない」とお悩みがあれば、お気軽にインターネット・アカデミーのコンサルタントにご相談ください。
この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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