人材育成【eラーニング×双方向演習】研修効果を高める「ブレンディッド・ラーニング」とは?
2022/12/07
最近ではIT化によってオンライン教育コンテンツも充実してきたことにより、社員研修の実施方法として従来の集合研修の代わりとしてeラーニングが注目されるようになっています。eラーニングは、各々のペースで進められる・移動やスペース確保などの余分なコストを回避できるなどのメリットがありますが、一方でeラーニングだとどうしても知識ベースの学習に偏ってしまい実践経験をつめないことから、期待しているようにスキルを身に着けられないかもしれない、といったデメリットもあります。
そんな中、近年、eラーニングと双方向演習を掛け合わせた新たな学習(研修)スタイルとしてブレンディッド・ラーニングが注目されています。今回は、ブレンディッド・ラーニングとは何なのか詳しくご紹介します。社員の人材育成にあたり、研修依頼や研修内容の改善をお考えの企業担当者様などはぜひご一読ください。
目次
eラーニング×集合研修 = ブレンディッド・ラーニング?
近年、教育業界で話題になっている教育法に「ブレンディッド・ラーニング(Blended Learning)」というものがあります。オックスフォードの辞書によるとブレンディッド・ラーニングは、「eラーニングと従来の対面形式との両方を活用した教育法」として定義されています。
この教育法はeラーニングと従来の対面形式の教育の両方のいいところを取り入れ、互いのデメリットを補いあうような構成にすることで、非常に効率的な教育法として注目されています。実際、米国教育界でベストセラーとなった「Blended(邦題:ブレンディッド・ラーニングの衝撃)」の著者であるマイケル・B・ホーンは、この学習スタイルを「教育界の破壊的イノベーション」と評価しており、アメリカで急速に普及しています。
もちろん社員研修を考える際、コロナ禍が特に長引いている日本において「従来の対面形式」というスタイルがややハードルの高いアプローチになっていることは承知しているのでご安心ください。現在では、オンライン会議やウェビナーを活用し学習の双方向性を高めることで簡単に「対面形式」という要素を補えるようになっており、ブレンディッド・ラーニング活用へのハードルは決して高くありません。
これからブレンディッド・ラーニングについて導入を進めるためにまずは、eラーニングとオンライン双方向型研修について、各々特徴を確認していきましょう。(集合研修については、コロナリスクなどから現在ハードルが高くなっているので、オンライン双方向型研修のところで補足的に確認します。)
eラーニングとは?
eラーニング(e-Learning)とは、インターネットを利用した学習スタイルのことを指します。 ある教室に生徒が集まり、目の前で講師が授業を展開するような学習スタイルではなく、パソコンやタブレット上でインターネットサービスを利用して学習するスタイルです。eラーニングのメリットやデメリットを簡単にご説明します。
eラーニングのメリット
eラーニングは、学習者および教育者それぞれに次のようなメリットがあります。
- インターネット環境下であれば、自分の好きな時間・場所で学習できる
- 学習者同士のコミュニティ(掲示板やブログなど)でのコミュニケーションが可能である
- 教材の修正や提供を柔軟に行うことができる
- 人件費、教材費(紙媒体のもの)などのコストを削減することができる
- 学習者の成績や学習状況などを簡単に管理することができる
eラーニングのデメリット
メリットがある一方で、eラーニングには以下のようなデメリットが考えられます。
- 学習者のモチベーション維持が難しい
- 理解が難しい内容や不明点をその場で解決することができない
- 学習者の理解度に差ができてしまう
- 他の学習者から良い刺激が受けられない
- 知識の実践のための演習が不足しがち
- ながら視聴で学習効果が低い
eラーニングには多くのメリットがあります。しかし、学習者のモチベーションを維持させることが難しく結局ながら視聴で学習効果が低くなってしまう可能性が高いことや、授業内容の不明点を解決しづらいということは、学習者側・教育者側両方にとって大きなデメリットと言えるでしょう。
オンライン双方向研修(or 集合研修)とは?
オンライン双方向型研修とは、その名のとおりオンライン会議やウェビナーといったインターネットツールを用いて、従来の対面型の集合研修と同じように、バーチャルな教室で講師の方の授業を聞きながら学習を進めていくスタイルの研修を指します。
従来から多くの企業が新入社員の育成を行う際などに利用している研修がこの集合研修でした。オンライン双方向型研修のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
オンライン双方向型研修(集合研修)のメリット
集合研修のメリットには以下のようなものが考えられます。
- 目の前で授業が展開されるので、緊張感をもって学習を行える
- その場ですぐに質問ができるので、確実に理解しながら先に進むことができる
- 学習者の理解度を確認しながら授業を進めていくことができる
学習者および研修を実施する教育者ともにメリットがあることがわかります。
オンライン双方向型研修(集合研修)のデメリット
メリットがある一方で、集合研修には以下のようなデメリットが考えられます。
※集合研修のみに当てはまるものは()でくくっています。
- 集合研修を実施するための場所や時間を調整しなければならない
- 一人ひとりの学習ペースにあわせることは難しい
- (研修場所に足を運ばなければならない)
- (会場利用費や交通費などのコストがかかってしまう場合が多い)
学習者および研修を実施する教育者ともに多少のデメリットがあることがわかります。 特に従来の集合研修の場合は実施する教育者側(人事担当者など)のデメリットが多いことがわかります。
ブレンディッド・ラーニングの特徴は?
ここまでで、eラーニングとオンライン双方向型研修のそれぞれについて特徴を確認してきました。
これまでみてきたようにeラーニングだけ、あるいはオンライン双方向型研修だけだとやはり一定のデメリットが存在することは認めなければなりません。そこで、eラーニングと集合研修を融合させるとどうなるでしょうか。それぞれのメリットを保持しつつ、それぞれのデメリットを減らせるのではないかと考えられます。このような考えを取り入れた新たな学習スタイルが「ブレンディッド・ラーニング」というわけです。
ブレンディッド・ラーニングを行うことで、以下のようにデメリットを相補的にカバーし、シナジー効果も期待できます。二つのブレンドの割合を調整することで、各々のメリットの比率を調整できるというのも魅力的です。
オンライン双方向研修内での学習者同士のディスカッションや実践演習の実施
以下のようにeラーニングのデメリットをカバーすることができます。
- 知識の定着、深い理解のために必要な演習量の確保
- 能動的な学習を行えるため、ながら学習の恐れがあるeラーニングよりも高い学習効果を期待できる
- 他の学習者から良い刺激が受けられる状況を作れる
- 他の学習者から刺激を受けることや講師の話を聞くことでモチベーション維持につながる
オンライン双方向研修では質問も自由に行うことができる
こちらの要素で以下のようにeラーニングのデメリットもカバーすることができます。特にオンラインであればチャットの質問も行うことができ、従来の対面よりも質問することのハードルを下げることができます。
- 不明点がある人はその場で質問することで学習者の理解度の差を埋めることができる
eラーニングを導入すると各々のタイミングで学習を進められる
こちらの要素で以下のようにオンライン双方向研修のデメリットを回避することができます。
- 集合研修を実施するための場所や時間を調整しなくても各々学習を進められる
- 一人ひとりの学習時間や学習ペースで、全体の内容のキャッチアップができる
ブレンディッド・ラーニングのすすめ
まだそれほど普及が進んでいないブレンディッド・ラーニングですが、IT業界の急速な発展に伴い普及は進んでいくと予想されます。ブレンディッド・ラーニングの普及により学習する人々に大きなメリットが期待されますが、教育する人々、すなわち企業の人材育成担当者の方々にもメリットがあります。
ブレンディッド・ラーニングを通じて社員が今まで以上に成長することは会社にとって大きなメリットです。また、基礎知識の学習を個人で行う分、集合研修にかかる時間や費用を減らすことができるため育成コストのカットが可能であるというメリットも考えられます。 ブレンディッド・ラーニングを新たな研修スタイルとして取り入れてみるのも良いのではないでしょうか。
ブレンディッド・ラーニングを効果的に実施するには?
eラーニングと双方向型研修を組み合わせていくには、コンテンツやカリキュラム作成のコストやそれに対する効果の期待値などの関係から、やはり社内で研修を作成するのではなく、外部の専門の研修期間に依頼してしまうのが最適だと思われます。近年では、特にIT系の研修に関して、人材開発助成金などの助成金制度も充実してきていますので、コストに関してもかなり抑えられるようになっています。
インターネット・アカデミーでは、eラーニングとリアルタイムのオンライン研修を取り入れた「ブレンディッド・ラーニング」に対応した研修が実施できます。
質の高いeラーニングとLMSの活用
インターネット・アカデミーがブレンディッド・ラーニングで用いるeラーニング教材は質の高さに定評があります。もちろんご依頼いただいた会社のご要望に応じて専用のeラーニングを開発することもできます。また、LMS(Learning Management System)による受講履歴の確認やスキルチェックテストなど、学習をサポートするシステムが充実しているのも特徴です。
それぞれの技術の基礎知識をeラーニングで学習するのをお勧めしています。
オンライン双方向型研修(集合研修)をオーダーメイド可能
インターネット・アカデミーの研修では、お客様の要望に合わせ、カリキュラム内容・講座の回数などを自由にオーダーメイドすることが可能です。実際に使用するWebサイト制作・アプリ開発のサポートも対応できます。もちろん、対面型の集合研修を実施することも可能です。
インターネット・アカデミーでは、eラーニングサービスと双方向型研修(集合研修)、2つの学習スタイルを組み合わせるだけでなく、研修の内容をオーダーメイドで変更することが可能なため、さらに進化した「ブレンディッド・ラーニング」を提供することができます。
効率よく社員のスキルアップを図りたい、成果が出せるIT研修を実施したいとお考えの企業の研修担当の方々は、ぜひ「ブレンディッド・ラーニング」をご検討ください。 御社のご要望をお伺いした上で、最適な「ブレンディッド・ラーニング」のご提案をいたします。興味がある方はお気軽にインターネット・アカデミーにご相談ください。
この記事の執筆者

インターネット・アカデミー ITビジネスサプリ編集部
インターネット・アカデミーは、IT研修・ITトレーニングなど法人向け研修サービスの提供と、就職・転職などの社会人向け通学制スクールの運営を行っている教育機関です。グループ企業を含めると、「制作」「人材サービス」「教育」の3つの事業のノウハウをもとに、ITビジネスを行う現場担当者の皆様にとって役立つ情報を発信しています。
監修者

インターネット・アカデミー 有村 克己
「カシオ計算機」「小学館」などの大手企業研修をはじめ、神奈川工科大学やエコーネットフォーラムでの講演など、産学連携活動にも従事。エコーネットコンソーシアム「ECHONET 2.0技術セミナー検討WG」委員。
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