IT・DX研修にオススメの助成金4選

2025/01/06
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
IT・DX研修にオススメの助成金4選

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

新年を迎え、IT・DXの人材育成について考えている企業の担当者様もいらっしゃると思います。

研修費用の出費を出来るだけ抑えて、質の良いカリキュラムを選びたいですよね。そのような際は、助成金の活用をオススメします。

IT・DX研修を実施する際に、適用条件を満たすと国や都からの費用助成を受けることで研修費用を削減することができます。今回は、オススメの助成金4選をご紹介したいと思います。今回、ご紹介する助成金は、厚生労働省の「人材開発支援助成金」と公益財団法人 東京しごと財団が提供している「DXリスキリング助成金」です。

「人材開発支援助成金」は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

東京しごと財団が提供している「DXリスキリング助成金」は、従業員のスキルアップのための研修を実施する都内企業等に対し、助成金を支給します。自社のDXのために実施する研修が助成対象です。

オススメ助成金1人材開発支援助成金「人材育成支援コース」

人材開発支援助成金の中に人材育成支援コースあります。助成は次の3種類の訓練に分かれています。

  • 人材育成訓練
  • 認定実習併用職業訓練
  • 有期実習型訓練

1事業主・1事業年度につき最大1000万円を受給できる可能性があり、令和5年4月(計画書提出分)から運用されています。

このうち人材育成訓練についてご説明します。この制度は、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成できる比較的、申請しやすいオススメの制度です。

人材育成訓練

主な要件

人材育成訓練の受給には、次のような要件があります。

  • 職務に関連した知識・技術を習得する訓練であること
  • OFF-JTによる訓練であること
  • 実質的な訓練時間が10時間以上であること
  • 対象者の訓練受講時間が上記時間の8割以上であること

OFF-JTであればよく、事業内訓練か事業外訓練は問われません。

助成額・助成率

人材育成訓練では、経費に対する助成と賃金に対する助成があります。経費に対する助成率は、対象者の雇用形態により異なります。有期雇用契約の労働者を対象に含みます。

経費助成 助成率 賃金要件・資格等手当要件
を満たす場合
雇用保険被保険者(正規雇用) 45%(30%) 60%(45%)
有期契約労働者等 60% 75%
正規雇用への転換 70% 100%

※()の数字は中小企業以外の場合

賃金助成は雇用形態を問わず一律です。

賃金助成 助成額(1人あたり) 賃金要件・資格等手当要件
を満たす場合
雇用形態等を問わず 760円(360円)/時 960円(480円)/時

※()の数字は中小企業以外の場合

eラーニングや通信制の訓練、育休中の訓練などについては、経費助成のみが対象となります。

加算要件

賃金の引き上げを行い、次の「賃金要件」あるいは「資格等手当要件」を満たした場合には、加算が受けられます。

加算種別 要件
賃金要件 訓練終了後の翌日から1年以内に、基本給(毎月決まって支払われる賃金)を5%以上増加
資格等手当要件 就業規則等に資格等手当の支払いを規定し、訓練終了後の翌日から1年以内に手当を支払い、賃金を3%以上増加

いずれも、対象者すべての賃金を増加させる必要があります。また、加算分は後日改めて支給申請を行う必要があります。

オススメ助成金2人材開発支援助成金
「人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)」

次に、人への投資促進コースです。このコースも人材開発支援助成金の中にあります。

先ほど紹介した人材育成支援コースに比べて助成率が高いのが特徴です。訓練の種類によって、次の5つに分けられています。

  • 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
  • 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  • 定額制訓練
  • 自発的職業能力開発訓練
  • 長期教育訓練休暇等制度

このうち高度デジタル人材訓練と定額制訓練について説明します。

高度デジタル人材訓練

「高度デジタル人材訓練」は、DX推進や成長分野における高度人材を育成するための訓練を対象としています。

助成対象となるには、まず事業が主に「情報通信業」である、または産業競争力強化法に基づく事業適応計画の認定もしくは経済産業省の「DX認定」を受けているなどの要件を満たす必要があります。

主な要件

該当する訓練は段階的に拡充され、次のようになっています。

  • 「ITスキル標準(ITSS)」「ITSS+」」レベル3・4の講座
  • 「DX推進スキル基準(DSS-P)」レベル3・4の講座
  • 上記「DSS-P」レベル3・4かつ「DX推進スキル標準(DSS-P)と認定試験・資格とのマップ」掲載の認定試験・資格取得訓練
  • 情報科学・情報工学および関連する分野を履修する大学(大学院は除く)への入学

ITスキル標準、DX推進スキル標準の講座については、経産省等によるデジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」に掲載の講座に限ります。さらに、次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 実訓練時間数が10時間以上である
  • OFF-JTでの訓練である
  • 職務に関連した専門的な知識や技能を習得する訓練である

デジタル分野での高度なスキルを習得させる訓練が対象であり、マナー講習など職種を問わない訓練は対象外です。

対象者

雇用保険被保険者

助成額・助成率

高度デジタル人材訓練 助成率・助成額(1人あたり)
経費助成率 75%(60%)
賃金助成率 960円(480円)/時

※()の数字は中小企業以外の場合

オススメ助成金3人材開発支援助成金
「人への投資促進コース(定額制訓練)」

つづいて、定額制訓練について説明します。

定額制訓練

サブスクリプション型の教育訓練を受講する際に対象となるのが「定額制訓練」です。 従業員が様々な訓練の中から受けたい訓練を選び実施できる定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)を行う事業者に対しての助成です。

この制度でいう「定額制訓練」とは、同額で複数の訓練が受け放題となる研修サービス(サブスクリプション)を活用したものをいいます。受給には次のような要件があります。

主な要件

  • 労働時間内に実施され、業務上義務付けられた事業外訓練(OFF-JT)である
  • 職務に関連する知識や技能を身につけるための教育訓練である
  • 特定の事業主に向けた訓練でない
  • 対象者の受講時間数の合計が10時間以上である

受講時間は、たとえば1人が5時間、別の1人が7時間であれば合計12時間とカウントします。ただし1時間未満の人はカウントされません。また、業務に直結しない講習も対象となりません。

対象者

正規・非正規

助成額・助成率

定額制訓練 助成率 賃金要件等を満たした場合
経費助成率 60%(45%) 75%(60%)

※()の数字は中小企業以外の場合

定額制訓練には、賃金助成はありません。

オススメ助成金4DXリスキリング助成金

最後に、公益財団法人 東京しごと財団が提供している制度で「DXリスキリング助成金」をご紹介します。

この制度は。都内の中小企業等が、民間の教育機関等が提供するDXに関する職業訓練に従業員を参加(eラーニングも含む)させた際の経費を助成する制度です。

中小企業等が従業員に対して、民間の教育機関等が提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する職業訓練を集合又はeラーニング等で実施した際の経費の一部を助成する制度です。

  • 受講料 ※消費税は対象外
  • 教科書代、教材費
  • eラーニング実施に係るID 登録料、管理料等
  • 訓練に付随するヒアリング料等

主な要件

  • 民間の教育機関が提供するDXに関する訓練
    (eラーニングや、双方向で実施されるオンライン会議システムを使用した訓練も含む)
  • DXに関する専門的な知識・技能の習得と向上を目的とする訓練又は資格の取得をするための訓練
  • 通常の業務と区別できるOFF-JTであること
  • 研修費用を申請企業等が負担していること
  • 業務命令として労働時間内に研修を行い、所定の賃金を支払っていること
  • 助成を受けようとする研修について国又は地方公共団体から助成を受けておらず、今後受ける予定もないこと
  • 交付申請時に提出した計画のとおりに実施すること
  • 令和6年4月1日から令和7年3月31日までの間に開始し、令和7年8月31日までに終了する研修であること
  • 1研修あたりの総研修時間数が3時間以上10時間未満であること
  • 受講者の受講状況について、教育機関の証明を受けられること

対象者

次の全ての要件を満たす者であること。

  • 申請企業等の従業員
    ※申請企業の代表及び個人事業主本人は該当しません。
    ※役員は、雇用保険に加入している場合のみ従業員として扱います。
  • 常時勤務する事業所の所在地が都内である者
  • 研修ごとに、総研修時間数の8割以上を受講した者

助成額及び助成限度額

  • 助成額
    助成対象経費の4分の3(上限75,000円/1人1研修)
  • 助成限度額
    令和6年度DXリスキリング助成金の交付決定ができる金額は、 1申請企業等あたり100万円が上限です。なお、上限額に達するまで複数回の申請が可能です。

IT研修・DX人材育成についてのご相談

ご紹介した助成金を活用しようと考えた際、次に重要なのは、どの研修プログラムを選ぶかということです。そんな時にオススメなのが、インターネット・アカデミーの研修プログラムです。

インターネット・アカデミーは、企業のニーズに応じたオーダーメイドのカリキュラムを作成し、研修の内容だけでなく、助成金申請の手続きまでサポートしているため、安心して利用できます。

例えば、こんな相談ができます。

  • 人材育成計画を立てるために人材育成の事例などをとりあえず聞きたい
  • 助成金の使い方や、支給額のシミュレーションを知りたい
  • 自社の業務や受講者のレベルにあったカリキュラムを提案してほしい

お気軽にお問い合わせください。

助成金を活用したデジタル人材の育成

インターネット・アカデミーでは、IT・DXリテラシーの向上からエンジニアの育成まで、企業ごとのデジタル人材育成のニーズにお応えできる研修があります。貴社のご要望に合わせた研修カリキュラムのご提案はもちろん、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用した人材育成についてのご相談や、まずは情報を集めたいという方への情報提供など、専任のコンサルタントが承っています。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

名古屋市在住。明治大学政治経済学部経済学科卒業。2017年4月カリエーレ・コンサルタンツ開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。モットーは、「働き方に悩む人を、ゼロに。」

代表理事である一般社団法人カリエーレ・コムサでは、京都労働局「令和5年度就職氷河期世代活躍支援都道府県プラットフォームを活用した支援事業」、兵庫労働局「令和6年度 川西市一体的実施事業」を受託。

【主な実績】
  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

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