人材開発支援助成金の申請手続きについて

2023/01/25
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
人材開発支援助成金の申請手続きについて

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

前回のコラムで人材開発支援助成金の特定訓練コース、一般訓練コースについてお伝えしました。このような助成金があることは分かったが、どうやって申請すれば良いのか?というお声を耳にします。

今回は、助成金の申請手続きについて、お伝えしたいと思います。申請は提出書類も多く、手続きを一言で説明することは、なかなか難しいのですが、ポイントを押さえて説明したいと思います。

助成金の手続きの流れについて

人材開発支援助成金の特定訓練コース、一般訓練コースの手続きは、次のように進めます。
(特定訓練コースの中の認定実習併用職業訓練は除きます)

  1. 助成金申請の前提
  2. 訓練実施計画届の提出
  3. 訓練の実施等
  4. 支給申請書の提出
  5. 助成金支給または不支給の決定

1. 助成金申請の前提

助成金を活用するには、まず、社内で「職業能力開発推進者」を選任し、「事業内職業能力開発計画」を作る必要があります。

「職業能力開発推進者」とは、社内で職業能力開発の取組みを推進するキーパーソンです。「事業内職業能力開発計画」の作成・実施や従業員への適切な相談・指導が行えるよう権限を有する者を選任してください。
(例:教育訓練部門の部課長、労務・人事担当部課長など)

「事業内職業能力開発計画」とは、自社の人材育成の基本的な方針などを記載する計画です。従業員の職業能力開発について、企業の経営者や管理者と従業員が共通の認識を持ち、目標に向かってこれを進めることで効率的な職業能力開発が可能になり、更に、従業員の自発的な学習・訓練の取組意欲が高まることが期待されます。

作成した計画は従業員に周知し、職務に必要な能力や自社の育成方針について共有します。

事業内職業能力計画書の作成にあたってのポイント

1.次の基本項目を参考に作成しましょう

  • 経営理念・経営方針に基づく人材育成の基本的方針・目標
  • 昇進昇格、人事考課等に関する事項
  • 職務に必要な職業能力等に関する事項
  • 教育訓練体系(図、表など)

2.労働組合(または労働者の代表)の意見を聴いて、作成する必要があります。

助成金のお役立ち資料をダウンロード

2. 訓練実施計画届の提出

訓練開始日の1ヶ月前までに、「訓練実施計画届(訓練様式第1号)」と必要な書類を労働局へ提出します。
(申請手続きは雇用保険適用事業所単位)

訓練実施計画書のほか、以下の書類も用意する必要があります。

  • 事業主本人による事前確認書
  • 登記簿謄本の写し
  • 年間職業能力開発計画(訓練様式第3-1号)
  • 訓練対象者の一覧表(訓練様式第4号)
  • 人材開発支援助成金 事前確認書(訓練様式第11号)
  • キャリアコンサルティングについて規定した労働協約(写)
  • 就業規則(写)又は事業内職業能力開発計画(写)

など

3. 訓練の実施等

計画に沿って訓練を実施します。計画を変更する場合は事前に「訓練実施計画変更届(訓練様式第2号)」の提出が必要です。この書類が無い場合はその部分が支給対象外となるので注意してください。

4. 支給申請書の提出

訓練が終了した日の翌日から2ヶ月以内に「支給申請書(訓練様式第5号)」と必要な書類を労働局に提出(厳守)します。

必要な書類とは、助成の内訳や訓練の実施状況報告書(ともに様式あり)、期間中の賃金台帳や出勤簿などです。その他、行った訓練などによって異なる書類の提出も必要です。

5. 助成金の支給または不支給の決定

提出した書類の内容などを労働局で審査し、助成金の支給または不支給の決定がなされます。

なお、人材開発支援助成金は審査での確認項目が多いため、他の助成金に比べて支給決定までに時間がかかることがありますので、予め認識しておきましょう

助成金の申請には、さまざまな事前の準備が必要です。人材開発支援助成金の場合、前述の通り計画届の提出をし、それが受理されたら訓練を行い、訓練後に申請する、という流れになり、計画届の提出と助成金の申請にはそれぞれに締め切りがあります。

参考:厚生労働省 人材開発支援助成金 申請書類

助成金のお役立ち資料をダウンロード

人材開発支援助成金を活用の際の注意点

すべての助成金を活用する際に言えることですが、支給申請書を提出してから受給を受けるまでに数カ月間かかります。まずはこの点はしっかりと認識しておきましょう。

また、書類の審査にあたっては、一度提出した書類を差し替えることは基本的にできません。事前にしっかりと内容を確認して、間違いのない書類提出を行いましょう。

その際に書類の提出期限にはくれぐれも注意しましょう。

人材開発支援助成金については、教育訓練の開始日の1ヶ月前には訓練計画書を労働局に提出する必要があります。そして、教育訓練終了後は2ヶ月以内に支給申請書を提出しなければいけません。この2点は厳守です。必ず覚えておきましょう。

また、対象となる経費についても確認が必要です。訓練の内容に応じて、そもそも助成金の対象となるのかといったことや、どの費用までが助成の対象になるのかといったことを、あらかじめ労働局に確認しておきましょう。

労働局の職員とのコミュニケーションを密にしておいた方が賢明です。

まとめ

  • 助成金は提出物の締切日を過ぎると受給できなくなるので気を付けてください。
  • 計画に追加や変更がある場合、追加は訓練開始の1カ月前までに、変更は当初予定していた開始日または変更後の実施日のいずれか早い日の前日までに、計画の変更届と新たな計画書を提出しなくてはなりません。
  • 計画届の提出後、提出書類の不備などで補正(再提出)を求められる場合があります。これにも期限が指定され、過ぎれば不支給となります。
  • 自社の総務部などで手続きをすることも出来ますが、助成金申請の業務独占資格の社会保険労務士に依頼することも一つの方法です。また分からないこと不明な点は、お近くの労働局やハローワークにお尋ねください。

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執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

1965年、愛知県名古屋市生まれ。現在も名古屋市在住。1989年に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後は、日製産業株式会社(現株式会社日立ハイテク)や、ドイツ系企業リタール(Rittal)にて開発営業プロジェクトマネージャー、採用責任者を経験。2012年9月からは法務局乙号業務責任者として非正規社員の指導、ハローワークにて求人者支援員の経験を重ね人材ビジネスにキャリアチェンジしている。

2011年1月、キャリア・コンサルタント能力評価試験の一つであるDBM(現TCC)マスターキャリアカウンセラーを取得。2016年5月には国家資格となったキャリアコンサルタントを取得。

2017年4月、カリエーレ・コンサルタンツを開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。「働き方に悩む人を、ゼロに。」をモットーにしている。

  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」※事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「愛知働き方改革推進支援センター」※相談員
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」※雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」※事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

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