人材開発支援助成金/教育訓練助成金の活用方法

2023/01/22
執筆者:カリエーレ・コンサルタンツ 佐渡治彦
人材開発支援助成金/教育訓練助成金の活用方法

こんにちは。カリエーレ・コンサルタンツ、キャリアコンサルタント佐渡治彦です。

これまでコラムで「今が、IT人材育成のチャンス!助成金を活用しよう」、「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース創設!」などで助成金の活用をお伝えしてきました。助成金を活用することで、インターネットアカデミーさんのような研修機関での研修費用も国から支援が受けられ、受講しやすくなるというメリットをお伝えしてきました。

ただ、助成金の活用と言っても普段、身近に接していない方々には、どんな助成金があるのか良く分からないというお声を耳にします。なかなか助成金は複雑で分かりにくいです。 そこで、今回は、活用しやすい助成金について出来るだけ分かりやすく説明したいと思います。

人材開発支援助成金のコース

厚生労働省が取り組んでいる助成金は何千種類もあります。今回は、その中でも訓練(研修)費用を支援してくれる「人材開発支援助成金」について解説します。

この助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関した専門的知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

一言で言ってしまうと、職場外訓練(OFF-JT)や職場内訓練(OJT)等を通して人材育成に励む事業主などへ、訓練(研修)における経費や研修期間中の賃金の一部を助成することにより人材育成を支援する制度です。

今期、「人材開発支援助成金」は、大きく8つのコースに分けられていましたが、前回のコラムでお伝えした通り、「事業展開等リスキリングコース」が創設され9つのコースとなりました。これら訓練を取り扱った人材開発支援助成金のことを教育訓練助成金ということもあります。以下が人材開発支援助成金の9つのコース名称です

  1. 特定訓練コース
  2. 一般訓練コース
  3. 教育訓練休暇付与コース
  4. 特別育成訓練コース
  5. 建設労働者認定訓練コース
  6. 建設労働者技能実習コース
  7. 障害者職業能力開発コース
  8. 人への投資促進コース
  9. 事業展開等リスキリングコース

人材開発支援助成金は9つの支援コースに分かれており、コースごとに助成内容や対象が異なります。今回は、インターネット・アカデミーさんの研修によく使用されるコースである、「特定訓練コース」と「一般訓練コース」の内容についての概要を紹介していきたいと思います。

「事業展開等リスキリングコース」は、前回の「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース創設!」の記事で解説しています。

特定訓練コース

OJTとOFF-JTが組み合わさった訓練コースで、OJTとOFF-JTにかかった経費のそれぞれに助成金が支給されます。

労働生産性の向上に資する訓練や若年者に対する訓練など、効果が高い10時間以上の特定の訓練や、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた訓練として認定を受けた場合に助成されるコースです。

特定訓練コースの助成メニュー

4つの訓練に分かれており、それぞれ助成のメニューが違います。以下、助成メニューの概要をお伝えします。

  1. 労働生産性向上訓練
    労働生産性の向上に資する訓練
  2. 若年人材育成訓練
    訓練開始日において、申請事業主等の雇用保険被保険者となった日から5年を経過していない労働者であって、かつ35歳未満の若年労働者に対する訓練
  3. 熟練技能育成・承継訓練
    熟練技能者の指導力強化や技術継承のための訓練、認定職業訓練を受講した場合
  4. 認定実習併用職業訓練
    事前に厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練『認定実習併用職業訓練』を実施し、ジョブ・カードによる職業能力の評価を実施した場合。15歳以上45歳未満

基本要件

OFF-JT訓練で実訓練時間数が10時間以上であること

※認定実習併用職業訓練は、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた訓練であること。訓練実施期間、総訓練時間数に別途要件あり。

一般訓練コース

社員研修や企業研修に利用できる訓練です。特定訓練コース以外で、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための訓練コースです。一般訓練コースは、OFF-JTのみに助成金が支給されます。

一般訓練コースの助成内容

特定訓練コース等、他の訓練コース以外の訓練。

通信制等(e-ラーニングを含む)により実施される訓練(一般教育訓練給付指定講座に限る)が助成対象(経費助成のみ)に追加されました。

基本要件

OFF-JTによる訓練で、実施訓練時間数が20時間以上であること。

※育児休業中等の者を対象にする場合は、実施訓練時間の要件は10時間以上です。

特定訓練コース・一般訓練コースの助成額

※()内は中小企業以外の助成金額となります。
※雇用型訓練とは認定実習併用職業訓練のことです。
※同一の事由に係る助成金制度を複数利用する場合、併給出来ない場合があります。
※事業主団体等の場合、経費助成のみとなり、生産性要件や賃金助成はありません。
※eラーニングのよる訓練等、通信制による訓練等及び育児休業中に対する訓練等は経費助成のみです

特定訓練コースの助成金額
対象 助成率 助成金額(一人あたり)
OFF-JT 経費助成45%(30%) 賃金助成760円(380円)/時
OJT 実施助成20万円(11万円)1人1コース当たり
(注意:雇用型訓練のみ)
特定訓練コースの生産性要件を満たした場合
対象 助成率 助成金額(一人あたり)
OFF-JT 経費助成60%(45%) 賃金助成960円(480円)/時
OJT 実施助成25万円(14万円)1人1コース当たり
(注意:雇用型訓練のみ)
一般訓練コース助成金金額
対象 助成率 助成金額(一人あたり)
OFF-JT 経費助成 30% 賃金助成380円(480円)/時
一般訓練コースの生産性要件を満たした場合
対象 助成率 助成金額(一人あたり)
OFF-JT 経費助成 45% 賃金助成480円/時

生産性要件

訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその三年後の会計年度の生産性を比べて6%伸びていること。

生産性要件を満たした場合の支給申請期限

訓練開始日が属する会計年度の前年度から3年度後の会計年度の末日の翌日から換算して5カ月以内に割り増し助成分のみ別途申請。

支給対象事業主等

支給対象事業主等は、雇用保険適用事業所に事業主であることなど、要件を満たす必要があります。また、事業協同組合、商工組合等の事業主団体や複数の事業主による共同事業主も要件を満たせば認められます。

あと、雇用する被保険者に対して定期的なキャリアコンサルティングを実施することについて、労働協約、職業規則又は事業内職業能力開発計画でさだめていることが必要となります。

経費助成限度額は以下の通りです。

支給対象となる訓練 企業規模 20h以上100h未満 100h以上200h未満 200h以上
特定訓練コース 中小企業事業主
事業団体等
15万円 30万円 50万円
中小企業以外の事業主等 10万円 20万円 30万円
一般訓練コース 事業主
事業団体等
7万円 15万円 20万円

賃金助成限度額(1人1訓練当たり)

特定訓練コース、一般訓練コース共に1,200時間が限度時間となります。ただし、認定職業訓練、専門実践教育訓練については、1,600時間が限度時間になります。

1事業所・1事業主団体等の支給額の制限

  • 特定訓練コースを含む場合、1,000万円
  • 一般訓練コースのみの場合、500万円

※各コースの助成額を合計した限度額です。生産性要件達成による割り増し分の追加申請や、1事業主が単独で申請した他に共同事業主として申請した場合も含めて、各限度額を適用します。

以上が、人材開発支援助成金のうち「特定訓練コース」と「一般訓練コース」の概要です。助成金の申請、支給申請等手続きは、慎重に取り組んだ方が良いです。

支給されると思っていた助成金が手続きの不備で支給されないということも耳にします。もちろん、不正支給は絶対にしてはいけません。

自分の会社の総務部で申請することも出来ますが、助成金の申請の業務独占資格の社会保険労務士に依頼するのも一つの方法でしょう。また、分からないことがありましたら、お近くの労働局、ハローワークに尋ねてみる方が良いでしょう。

厚生労働省・人材開発支援助成金

助成金は、計画的に人材育成を行う事業主を支援します。将来にわたって活躍できる人材を育てるために、是非とも活用してみてはいかがでしょうか!

助成金を活用したデジタル人材の育成

インターネット・アカデミーでは、IT・DXリテラシーの向上からエンジニアの育成まで、企業ごとのデジタル人材育成のニーズにお応えできる研修があります。貴社のご要望に合わせた研修カリキュラムのご提案はもちろん、人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用した人材育成についてのご相談や、まずは情報を集めたいという方への情報提供など、専任のコンサルタントが承っています。まずはお気軽にご相談ください。

執筆者

佐渡治彦 様
キャリアコンサルタント(国家資格)
カリエーレ・コンサルタンツ(Karriere Consultants)代表
名古屋商工会議所会員

1965年、愛知県名古屋市生まれ。現在も名古屋市在住。1989年に明治大学政治経済学部経済学科を卒業後は、日製産業株式会社(現株式会社日立ハイテク)や、ドイツ系企業リタール(Rittal)にて開発営業プロジェクトマネージャー、採用責任者を経験。2012年9月からは法務局乙号業務責任者として非正規社員の指導、ハローワークにて求人者支援員の経験を重ね人材ビジネスにキャリアチェンジしている。

2011年1月、キャリア・コンサルタント能力評価試験の一つであるDBM(現TCC)マスターキャリアカウンセラーを取得。2016年5月には国家資格となったキャリアコンサルタントを取得。

2017年4月、カリエーレ・コンサルタンツを開業。公共事業、企業領域キャリアコンサルタント中心に活動しており、セルフ・キャリアドック制度助成金を活用し中小企業を中心に100社以上への導入実績を持つ。「働き方に悩む人を、ゼロに。」をモットーにしている。

  • 愛知県労政局「未就職卒業者等人材育成事業」「中小企業処遇改善支援事業」「介護職経験者再就職支援訓練事業」
  • 東京都産業労働局「東京都コロナ緊急対策支援事業」
  • 千葉、大阪、兵庫労働局委託事業「不安定就労者再チャレンジ支援事業」
  • 愛知労働局委託事業「訓練希望者等に対するジョブ・カード作成支援推進事業」※事業責任者
  • 愛知労働局委託事業「愛知働き方改革推進支援センター」※相談員
  • 愛知労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」※雇用管理改善委員会委員
  • 愛知労働局委託事業「なごやキャリア・コンサルティングセンター」※事業運営責任者

資格

2011年11月 DBMマスター・キャリアカウンセラー資格取得
2016年5月 キャリアコンサルタント国家資格取得

運営サイト

https://karriere-consultants.com/

著書

「キャリアコンサルタント」で自立する方法

メディア掲載

転職info「キャリアコンサルタントになるには?~どんな資格?費用は?誰でもなれる?収入は?」記事監修

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