DX人材育成&組織作りで業務効率化を実現する方法
講演者:インターネット・アカデミー 金正煒

本記事は、2024/6/19に株式会社 識学とインターネット・アカデミーが共催した「DX人材育成&組織作りで業務効率化を実現する方法」セミナーの、インターネット・アカデミーの講演内容を紹介したものです。
DXと業務効率化
今回は「業務効率化を実現するためのDX人材育成」がメインのお話となりますが、まずはDXとは何か、という点について触れておきたいと思います。
DXの定義をみると「企業文化にとどまらず社会基盤に変革を生じさせるデジタル技術を導入すること」とありますが、これだけだと少しイメージしにくいかもしれません。もうすこしわかりやすくすると「自社の商品・サービス・ビジネスモデルをデジタル技術によって変革し、競争優位を作っていく」ということになります。
DXを進める際の大まかな流れとしては、紙のデータをデジタル化するなどのフェーズ、それらのデータを活用できる状態するフェーズ、それを元に商品やサービスを変革するフェーズに分かれます。今回ご案内する業務効率化の事例などは、この2つ目のフェーズに該当します。
DXが注目される背景

もうひとつ、なぜDXが注目されているのかという背景についても触れておきたいと思います。
日本の人口減少は社会的な課題となっており、ビジネスにも大きな影響を及ぼしています。様々な業界で働き手が少なくなっており、物流業界の2024年問題などは人口減少が産業に大きなインパクトを与える顕著な例となりますが、その他の業界でも人手不足は深刻な問題となっています。
そして、経営者にとっては労働時間の規制や最低賃金の増加も経営を圧迫する悩みのタネになっています。
また、テクノロジー面においては生成AIが登場しビジネス環境に大きな影響を与えました。変化に適応し、ビジネスにテクノロジーを取り入れている企業とそうでない企業では、競争力の差は開く一方です。
そのため、デジタル技術によって競争力を高めていくためにDXに取り組まなければならないと危機感を抱いている企業が年々増えてきています。
DXで成果を出す難しさ
しかし、DXに取り組む企業が増えている一方で、日本企業ではDXが上手くいっていない傾向にあります。IPAのDX白書2023を紐解くと、日米のDXの状況についての比較がされています。
たとえば、DXの取り組み状況については、アメリカで約8割の企業が取り組んでいるのに対し日本では約7割となります。
実は1年前のDX白書の結果と比べると、DXに取り組む企業の比率は伸びておりアメリカとの差も縮まってきていますが、逆に3割の企業はまだDXに着手していないとも言え、アメリカに遅れをとっている状況です。
また、DXが成果につながっているかどうかという点で見ると、アメリカでは約9割がDXで成果が出ているのに対し、日本では6割未満しか成果が出ていないという結果が出ています。

DXで成果が出しにくい理由のひとつにDX人材の不足があり、インターネット・アカデミーにもDX関連のお問い合わせが寄せられています。すでにDX人材育成に取り組まれている企業様からの相談もありますが、「基礎知識は学んだものの実務に活かされていない」というお悩みが多いように感じています。
今回は、DX研修を実務に活用され、業務効率化が実現した事例を紹介します。
DX人材育成で業務効率化が進んだ事例
Power Platform活用研修で業務の自動化が促進

1社目は、住商グローバル・ロジスティクス株式会社さまのPower Platform活用研修の事例です。Power Platformは、ローコード・ノーコードで業務アプリを開発することができるため、プログラミングができる人材がいないという企業様にもオススメの内容となります。
ちなみに、Office 365 E1ライセンス以上の契約をしている企業であれば、Power Platformを利用できます。この研修をご依頼いただいた経緯も、「社内でツールは使える環境にあるが、業務活用されていない」という状況だったため、それを活用して業務効率化しようという意図でご相談をいただきました。
この研修を受講された方の中にはPower Platformを立ち上げたことがないという方もおらっしゃいましたので、初心者の方がスムーズに研修に参加できるようにするために、弊社側で導入用の動画を作らせていただき、その動画を視聴後に集合研修で演習を交えて学習するという流れで行いました。
研修後は、早速成果が出ているという嬉しいお声をいただいています。IT人材でなかった方が自分で通知メールを自動化したり、データを元に業務を進めるようになるといった変化が生まれており、業務効率化が進んでいるそうです。
この研修が成功した理由のひとつに、トップダウンで推進していただいたこともあります。会社の方針としてDX人材育成を示し、学習テーマを明確にしていただくことで社員の学習意欲が高まったという事例は数多くあります。
データ利活用研修で自走する社員が増加

続いて、セガサミーホールディングス株式会社さまの事例です。こちらは、データ利活用をテーマにした研修で、非エンジニアの方を対象とした内容となります。
インターネット・アカデミーにお問い合わせいただく前も、さまざまなテーマの研修を導入されていたそうなのです。しかし、各研修が単発の内容で終わってしまったり、学んだ内容が業務にリンクしなかったという課題を抱えられていました。
「学んで終わりになっている」というお悩みはよく伺いますので、同じような課題を抱えている企業様も多いのではと思います。
そのため、実務でアウトプットすることをゴールにカリキュラムを組ませていただきました。研修では、Power BIやPower Automate、Excelなど用いながらデータを収集したり、収集したデータの表記ゆれを修正したうえで活用する、データを業務に活用するための仮説を立てるといった内容を行いました。
研修が終わって現場に戻ったあと、学んだ内容を業務に生かせず終わってしまうというケースはよくあります。そこで、研修後にオフィスアワ―を設け、そこで質問を受けながら一緒に課題解決していくという場を設けたことで、業務活用のために受講者の方が自走できるようになったようです。
インターネット・アカデミーでは、IT研修の際に演習を交えて行っていますが、それ以外にも業務で定着させるための伴走支援なども行っていますので、お気軽にご相談ください。
DX人材育成の費用負担を軽減する助成金
こうしたDX人材育成の研修を行う場合、費用がネックになってしまうケースも多いのが実状です。費用にお悩みの場合は、助成金制度を活用することで負担を軽減できます。
多くの企業様で活用されているのが「人材開発支援助成金」です。
これは厚生労働省の制度になりますが、DX人材育成を目的とした場合は「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」をご利用いただけます。
このコースは、他のコースに比べると支給される助成金の額が大きいのが特徴です。たとえば、研修費用に対して支給される経費助成は、他のコースだと最大45%のところが75%となっています。

インターネット・アカデミーでは助成金を活用した研修の事例紹介はもちろん、支給額シミュレーションの相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
セミナー講師

金正煒
インターネット・アカデミー ITコンサルタント
500社以上の企業のIT教育をコンサルティングした実績をもつ。
エコーネットコンソーシアムフォーラムやLPI日本支部共催セミナーでの関連技術についての講演を担当。
Oracle Certified Java Programmer Silver SE 8、Python3エンジニア認定基礎試験、PHP技術者認定資格など、多数のIT資格を保持。
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