IT業界への転職に失敗しないために押さえておくべきIT業界地図
講演者:ESK株式会社 萩谷祥太 中本博之

本記事は、2022/7/24にESK株式会社がインターネット・アカデミーの受講生向けに講演されたセミナー「IT業界への転職に失敗しないために押さえておくべきIT業界地図」の一部を紹介したものです。本セミナーは、システム開発人材をテーマに3回に分けて開催されます。
- IT業界への転職に失敗しないために押さえておくべきIT業界地図
- とあるシステム開発現場の一日
- システム開発の現場で必要とされる人の3つの特徴
IT業界の全体像
43,000。これは何の数字でしょうか?
答えは、日本の全IT企業の数で、日本には約43,000社のIT企業があります。

経済産業省が発表しているデータによると、IT業界は右肩上がりで市場規模が伸びており、それに伴い人材ニーズも増改しているのです。その一方でIT人材は不足しており、2030年までに59~79万人の人材不足になると試算されています。
今、IT業界は人材供給が追い付かないほど需要がある業界です。
IT業界の仕事は社会的貢献度が高く、IT人材の育成に国が力を注いでいるなど、重宝もされています。個人的には、IT業界ではこれからやりがいのある仕事もさらに増えていくのではないかと思っています。
IT業界4つの業種
IT業界は大きく「インターネット/WEB業界」「ソフトウェア業界」「ハードウェア業界」「情報処理サービス業界(SIer)」の4つに分かれます。それぞれの業界の特徴について紹介します。
インターネット/WEB業界
最も人気がある業界で、他の3つの業界と比べると女性の比率も高いのが特徴です。未経験者でもインターネット・アカデミーのような教育サービスで勉強し、スキルを身につければ転職しやすい業界でもあります。
最近では、フリーランスや副業での仕事も増えており、この業界を目指す人も一昔前にくらべると多くなってきていますので、就職・転職時の競争の倍率は高くなっています。
ソフトウェア業界
ソフトウェア業界に属する企業は大手が多く、技術者には高度な能力が求めらるのが特徴です。マイクロソフト社などがこの業界に当てはまります。大手企業が中心の業界のため、この業界に属する企業の数自体は少なく、就職・転職のハードルは高いと言えます。
ハードウェア業界
こちらは東芝やNEC、IBMなどの企業がイメージしやすいでしょうか。ソフトウェア業界同様の特徴があり、転職は高倍率です。
情報処理サービス業界(SIer)

SIerは、簡単にいえばITの何でも屋です。実際の案件として、システム開発はもちろん、すでにあるシステムの管理を任されるケースや、ITサービスの導入やDX推進のアプローチがわからないため支援をしてほしい、という案件もあります。
未経験者でも勉強してスキルを身につければ入りやすい業界でもあり、文系出身者も多いです。ESKもSIerに属しますが、体感では私たちがこの業界で接する方々の半数は文系出身の方ではないでしょうか。
SIerへの転職がしやすい理由のひとつに、人手不足があげられます。経済産業省のデータによるとIT業界の仕事の中でもSIerが市場規模の約70%を占めています。人手不足が理由で仕事を断らざるを得ないというケースもありますので、スキルを身につければ転職しやすい業界と言えます。
このセッションの講師
ESK株式会社
コンサル事業部 取締役部長 萩谷 祥太様
システム開発における役割・商流
SIerへの転職活動をする際に、システム開発の人と人との関わり方、会社と会社との関わり方を抑えておくとよいでしょう。
このセミナーでは、架空のプロジェクトをもとに、システム開発における役割と商流について解説します。このプロジェクトの背景は次のとおりです。
このプロジェクトでは、鉄道会社のオーナーが予算を渡してIT担当者にシステムの実装を指示しています。しかし、IT担当者は自分で実装できないため、付き合いのあるコンサル会社に開発を依頼しました。
コンサル会社はマネジメントを得意としており開発は専門ではないため、実際の開発はSIerに開発を依頼しています。SIerはこのプロジェクトに2名の社員をつけて請け負っています。

人の役割
スライドの図にあるように、開発に必要なすべての役割の人材が確保できればプロジェクトが開始します。ここで、それぞれの役割についても紹介します。
- オーナー:プロジェクトの発注者です。
- PM:プロジェクトマネージャ。プロジェクト全体をお金も含めて管理します。
- PL:プロジェクトリーダー。プロジェクトが成功するように進行する役割を果たします。
- SE:システムエンジニア。開発を成功に導くように進行する役割を果たします。
- PG:プログラマー。システムの開発を担当します。
この役割を果たす人が全員揃わないと、プロジェクトを成功させることは難しいでしょう。
会社の商流
続いて、会社と会社の商流についてフォーカスしていきます。このプロジェクトでは「発注者」「一次請け」「二次請け」と会社が関わっていますが、この流れを商流と呼びます。

なお、スライドでは二次請けまで描いていますが、実際の案件となると七次請けまで商流がつながっているというケースもあります。ちなみに、SIer業界で一次請けは全体の1割に満たないくらいで、その多くが大企業になります。一方で、二次請け以降の商流は全体の9割以上を占めており、その多くが中小企業になります。
会社によってプログラミングに強い、システムのテストに強い、といったように得意分野がありますので、その得意分野を活かす形でプロジェクトにかかわることが多いです。
お金の流れ
商流や役割に応じて仕事の報酬も変わってきます。このスライドではかなり抽象的な表現をしていますが、役割で見ればPLのほうがSEやPGよりも報酬が多くなる傾向にあります。その役割を担当できる人材が少なければ報酬も高くなります。

会社ごとに商流、得意分野などがある程度決まっています。転職を考える場合、どの会社に入るかによって経験できることが決まってきます。そのため、SIer業界への転職で失敗しないためには、役割や商流を理解して会社探しをすると良いでしょう。
このセッションの講師
ESK株式会社
民間事業部 取締役部長 中本 博之様
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