DX人材育成の秘訣と指標&助成金(後編)
講演者:株式会社 識学 コンサルタント 高畑裕一 氏
本記事は、2024/4/16に開催された「DX人材育成の秘訣とDX人材育成のための指標と助成金」のセミナー講演内容の一部を紹介したものです。
本セミナーは、株式会社識学とインターネット・アカデミーの共催となっており、今回は株式会社 識学のコンサルタント高畑 裕一氏の講演の一部を紹介します。
DXを進めていくうえでの組織作り
前半の講演ではDX人材育成をテーマにしたお話がありましたが、後半では組織作りをテーマにお話しいたします。DXを成功させるためには、DX人材育成に加えて組織変革や業務プロセスの見直しなども必要になってきますので、組織内で大きな変化が生じます。
その際に、変化に柔軟に対応できる組織体制やルール整備、社員のマインドセットがつくられていると、DXがスムーズに進み、成果を最大化しやすくなります。組織のフェーズによって必要なことは変わってくると思いますが、後半では識学の理論を用いながら、外してはいけないポイントについて触れていきたいと思います。
識学とは?
弊社の社名にもなっている識学は「意識構造学」を指しています。意識構造学とは、組織の継続的な成長を実現するためのマネジメント理論で、これを実践することにより組織内にある様々なムダが排除され、組織の成長が促進されます。
意識構造とは、ヒトが行動する前の認識のことです。たとえば、「16日の14時からセミナーがあるから参加しよう」というものが認識となりますが、この認識が「17日の14時から」のように誤っていると、行動も誤ったものになってしまいセミナーに参加できないということが起きてしまいます。
この意識構造の中で生じている誤解や錯覚を取り除くことで、成果を最大化していこうというものが識学の理論となります。識学の理論では、この意識構造を5つの領域にわけており、この領域を経て行動に移るとしています。そのうち1つでも誤解や錯覚が生じていると、望ましくない行動につながってしまい、パフォーマンスが落ちてしまいます。こうしたことを防ぐための行動を識学の理論で解説しています。
誤解や錯覚とは?
仕事をしている中でも、自分が思っていることと上司や部下が思っていることが異なることが原因で、やり直しが発生するというケースがよく起きると思います。こうした誤解や錯覚の要因のひとつに「相互認識のズレ」があります。
たとえば、「甲子園に行ったことある?」という質問を例に考えてみます。
このとき、多くの方は「甲子園球場に野球観戦に行く」という意味で捉えると思いますが、高校球児で甲子園を目指していた方であれば「甲子園に出場したことがあるか」という意味で捉える可能性があります。
組織内でも「あれをやっておいて」「なるはやでお願いします」のような会話が多いと思いますが、こうした会話だと、人によって対象の業務や時間の捉え方が変わってくる可能性が高いため、相互認識のズレが起きやすくなります。そうすると、その誤解・錯覚を取り除くための調整業務が発生し、莫大なロスタイムが生まれ、生産性が低下してしまいます。
識学を組織マネジメントに転用することで、こうした誤解や錯覚を取り除き、社員ひとりひとりが生産性の高い仕事ができるようになります。
実は、DXにおいても同様のことが起きます。「DXに取り組まなければならない」というのも、漠然としているため「何が必要なのか」という認識は社員によって変わってきます。
「デジタルツールを導入すればよい」と捉える人もいれば、「すべての業務がデジタルで完結させなければならない」と捉える人もいると思います。人によっては「すでにDX化されてるからこれ以上必要ない」と思うかもしれません。
こうした認識のずれが起きやすいところに、組織共通のルールを設定したり、認識の統一を行う仕組みを取り入れることで、認識のズレを防ぎ、生産性を高めることができます。
DX推進に欠かせない変化
DXを推進すると、組織内に大きな変化が生じます。この変化については、「機会変化」と「経過変化」の2つに分けられます。
機会変化は、外的環境の変化によって生まれる瞬間的な変化で、経過変化は、日々の成功や失敗を繰り返す中で起きる変化です。
このうち、機会変化というのはきっかけであり、経過変化を伴わないと成果につながりません。たとえば、DXにおいては「DXの方針を定めてツールを導入する、DX教育をする」といったものが機会変化に該当しますが、これだけだと、前半の講演でも触れられていたように「ツールを導入したが有効活用されていない」「eラーニングを導入しても業務に活かせない」ということが起きます。
そして、組織が大きくなり、階層が上になるほど「DX化」といったきっかけをつくることに注力しがちです。これは、階層が上になるほどシステム導入や研修導入、評価制度の導入などの「企画」、つまり「機会変化」が仕事になりやすいためです。
「機会変化」は大切なことではありますが、これだけで終わってしまうと成果につながりませんので、経過変化まで追っていく必要があります。「DX人材育成」というのはあくまで機会変化です。DX人材を育成することで、どのような状態を目指すのかを定めておくことが大切で、その上で組織作りに取り組む必要があります。
株式会社識学では、幹部クラスに向けたトレーニングや評価制度構築のコンサルティング等も行っていますので、お気軽にお問い合わせください。
高畑 裕一 氏
株式会社 識学 コンサルタント
大学卒業後、大手人材派遣会社の株式会社リクルートスタッフィングに入社。営業、営業企画と経験したのち、営業に戻り、リーダーとしてマネジメントを経験。業績を出そうとするほど、どうしても時間に追われるマネジメントスタイルに悩みを感じる。その時、識学理論を知り、「結果」ではなく伴走する「経過」で管理をしていたことに気づき、悩みが解消される。
自分のようなマネジメントの悩みを持つリーダーへ、識学のマネジメント理論を伝えたいと株式会社識学に入社、現在コンサルタントとして活動。
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