歴史は繰り返す。技術もまた繰り返す。①
-Linuxを通してどんな技術にも強いエンジニアになる-

2022/12/04
執筆者:岡田賢治
歴史は繰り返す。技術もまた繰り返す。-Linuxを通してどんな技術にも強いエンジニアになる-

はじめまして。岡田と申します。普段、LPIの資格試験の普及をお手伝いしている者です。ここではIT技術全体的な観点から、Linuxの有用性を説明していきたいと思います。

いきなり、タイトルで「歴史は繰り返す」などと大きなことを言ってしまいましたが、本日のメインは、次の方です。

「技術は繰り返す」

現在では、多くの方がコンピュータの技術に携わり、またそれに関するお仕事をしていると思います。IT技術者が育つということは、どういうことでしょうか?今、IT技術者になりたての新人さん、IT企業の人材育成の方々はどのように考えているでしょうか?

熟練のIT技術者の経験や考え方などを把握しておくと、人材育成がしやすくなります。多くの、熟練したIT技術者が経験していることがあります。それは、「技術は繰り返す」ということです。実際に、過去にあった「繰り返した」事例をいくつか紹介しましょう。

技術が繰り返した事例

Time Sharing System

Time Sharing System

1960年代の話になりますが、当時のメインフレームというコンピュータは高価でした。従って、コンピュータに接続する対話型端末を利用して、中央のコンピュータのCPUを時分割利用していました。提供側からすると、利用者に対してどれだけCPUを割り当てたか?の集計をとることができます。割り当てたCPUの時間により、それに応じた課金を行います。

CPUだけではありません。当時は、出力装置としてディスプレイがない場合が多かったのです。ではどうしていたか?1行ずつ出力するラインプリンタで出力していました。ということは、紙代やインク代もかかります。それらも課金対象でした。CPUやその他の部分を、コンピュータとして利用できる「資源」として考え、その「資源」をどれだけ利用したか、に対して課金を行います。CPU「リソース(=資源)」と呼んだりするのは、この辺りから来ている考え方です。

このメインフレームのTSS課金を、大量に消費した学生がいました。これがお小遣いで払っていて財布が厳しかったのか、あるいはPTAのような組織が募金を集めてそれをすぐ使い切っていたか、とにかく課金で泣いていました。その学生が遊んでいた1つに、3目並べがありました。♯を書いたところに、○×を交互に書いていき3つ揃えた方が勝ちというゲームです。コンピュータに自分で考えさせるロジックに夢中になっていました。それが、将来マイクロソフトを創設するビルゲイツでした。ビルゲイツやマイクロソフトが、パーソナルコンピュータ=パソコンに執着したのは、いつもTSS課金に怯えながら使用していた少年期の思い出からかもしれません。パソコンを使用する上では、一度購入してしまえば、課金が発生することはありせんので。

今、同じように「時間で課金するサービス」って存在しますね?AWSをはじめとする、クラウドサービスです。AWSだけで見てみると、単に仮想マシンだけを貸すEC2のようなサービスから、ロードバランサなどのサービスもあります。これらは、単に時間や利用量で課金されますが、同時にその方面の優秀なエンジニアがカスタマイズした性能を享受できますので、そういった側面でも利用する、そして支払う価値があります。

ユビキタスコンピューティング

ユビキタスコンピューティング

2000年代の真ん中(2005年前後)に、バズワードとして取り上げられた言葉に、ユビキタスコンピューティングという言葉がありました。ユビキタス=同時に至るところに存在する、という意味から、ユーザが意識せずどこにでも・何にでもコンピュータが存在し、お互いが通信しあいながら生活を良くするような意味で使われました。当時のコンピュータはそこまで小型化できず、また通信環境も整っていなかったため、掛け声だけで普及はしませんでした。

一部、体内に入れても問題ないICタグなどで、128bitや256bitの通し番号を野菜などに仕込むことで、生産物特定や生産者保証が行われたりしました。128bitは42億の4乗ですので、それだけで膨大な通し番号を割り振ることが可能だとわかります。

そして、今日、似たような発想のコンピューティングが提案されています。IoT(Internet of Things: モノのインターネット)といわれる考え方です。今ではスマホが登場し、4G,5Gの通信環境も整い、また電子機器を十分に小さくできることから、ありとあらゆるところにコンピュータが設置され、またそれ同士が通信することで、というユビキタスコンピューティングの実現が考えられています。

IoTの1つの特徴として、トリガー(=引き金)が人間ではない、ということが挙げられます。コンピュータが持つ入力機器(センサー・GPS等)が状態を検知し、それをトリガーとして動作するということです。例えば、スマホのGPSをトリガーに、家の近くに来たら風呂が自動的にONになり、到着する頃にお湯張りが終わっている、というようなことが考えられます。

これが、人間がスマホで「お湯張り開始のボタンを押す」をやってしまうと、ただのクライアント・サーバの話です。あくまで、これらが「コンピュータがトリガーとなっている」ことがポイントです。

AIブーム

AIブーム

人工知能(Artificial Intelligence: AI)は、古くからずっと話題に登っています。SFの世界では、AIが感情を持ったり暴走をしたり、話題に事欠きません。実世界では、定期的にAIが注目される時期があります。その都度、第*次AIブームと呼ばれています。

以前言われていたのは、将来的にAIが仕様書を読み取り、それに合わせてプログラムのコードを書くという話です。それにより、コンピュータを動かすプログラムを、コンピュータ自身が生成することができるというモノでした。

確かに、仕様書をテンプレートに当てはめて、それを正確に変換すれば、コードジェネレータの機能でも実現できる話です。現在、それをより自由文(=人間が会話したり話したりする文章)に近づけた形式で、Github Copilotというサービスが提供されています。

また、昨今のAI(第3次AIブームなのだそうです)では、深層学習・機械学習(Machine Learning: ML)が注目を浴びています。そこでできた言葉が、MLOps。機械学習を元に、その予測結果をトリガーとして、さまざまオペレーションを自動化してしまうという考え方です。

例えば、コンビニやスーパーで、気温と飲み物の売り上げ予測を前日まで行ったとします。本日の気温と売り上げのデータをDBなどから取得、そして明日の予測気温のデータを取得すると、売り上げ予測を受け取ることができ、そのまま在庫分を計算しながら、発注に結びつく話です。これは、前述のIoTの考えに近づく話です。

本記事では、過去にあった技術トピックと、現在話題の技術トピックを「繰り返す」という観点で説明しました。次は、それらとLinuxの学習がどのように関係するか説明します。

歴史は繰り返す。技術もまた繰り返す。②

執筆者

岡田 賢治

SESでエンジニア業務に従事する傍ら、LPIの資格試験の普及・コミュニティ活動にも関わる。
LPIでの講演実績、IT技術書の執筆多数。8年間の専門学校非常勤講師としての実績をもつ。

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