コストを抑えてデジタル人材を育成 ~助成金を使ってリスキリングを実現~

2023/02/28
講演者:インターネット・アカデミー 根岸 壱成

本記事は、2023/2/22にインターネット・アカデミーが開催したセミナー「コストを抑えてデジタル人材を育成 ~助成金を使ってリスキリングを実現~」の一部を紹介したものです。

コストを抑えてデジタル人材を育成 ~助成金を使ってリスキリングを実現~

リスキリングとは?

現在、日本企業において、従業員のリスキリングに関心が高まっています。メディアでもさまざまな事例が取り上げられていますが、そもそもリスキリングとは何でしょうか?

経済産業省「デジタル時代の人材政策に関する検討会」では、以下の定義がされています。

  • 仕事で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する・させること
  • 働きながら「仕事で付加価値を創出し続けるためのスキル」を学ぶ

とくに、デジタル化で生まれる新しい職業や、仕事内容が大きく変わるであろう職種スキル習得することがリスキリングの要点となっており、職を離れて自分の興味があることを学ぶリカレント教育とは目的が大きく異なっています。

世界でのリスキリングの取り組み

このリスキリングに関して「世界経済フォーラム The Future of Jobs Report 2020」では次のような予測が発表されました。

  • 今後5年間で、人間・機会・アルゴリズムの労働分担が進むことで、8500万件の雇用が消失し9700万件の新たな雇用が創出される
  • 2025年までに企業は6%の人員削減が必要
  • 従業員の2人に1人はリスキリングが必要
  • それ以外の従業員も、自分のスキルの40%を市場の変化に適応させることが必要
  • 雇用主は2025年までに従業員の70%以上にリスキリングを実施

また、AT&TやAmazon、ウォルマートなどは早い段階から社員のリスキリングに取り組んでおり、社員にIT技術を習得させて社内技術者を充足したり、DXに必要な技術の習得などを行っています。

リスキリングで失敗するケース

リスキリングに取り組むにあたり、失敗しやすいケースを抑えておくとよいでしょう。

Case1. リスキリングを社員に丸投げする

リスキリングの実施責任は企業にあります。そのため、社員に何を学んでもらうのか、学んだ技術を自社の業務でどのように活かすのかといった学習テーマの設定を、企業が人材戦略として行う必要があります。

「リスキリングのテーマ選びや学習方法は社員の自主性に任せよう」「IT技術なら何を学んでもいいだろう」と社員に丸投げしてしまうと、学習自体を行わなかったり、学習しても実務に活用できないといった状況になりやすいです。

Case2. 業務時間外でリスキリングさせる

「業務が忙しくて時間がとれないから、業務時間外に勉強してもらおう」と、業務時間外や休日に行うのも好ましくありません。業務時間外でリスキリングに取り組ませると、モチベーションの低下や、社員の負担が大きくなるなどの弊害が生まれやすくなります。

Case3. eラーニングの導入だけする

いつでもどこでも学習ができるeラーニングは便利ではありますが、安易にeラーニングの導入だけ行うと失敗しやすくなります。

そもそもeラーニングを視聴しないという可能性もありますが、eラーニング視聴を義務づけたとしても、他の業務を行いながら片手間で視聴していたり、流し聞きして終わってしまう可能性も高くなります。また、学習意欲の高い社員が興味のある分野だけ学び、転職などによる人材流出を促進してしまうリスクもあります。

Case1と重複しますが、学習テーマの設定をすることはもちろん、理解度のチェックテストなどアウトプットを評価する仕組みと一緒に導入しましょう。

デジタル人材育成に役立つ助成金

リスキリングでデジタル人材を育成すると、リスキリングで学習している時間は業務を行うことができず、給与の支払いも発生しますので、企業が負担するコストは大きくなります。また、学習内容によっては研修費用も高くなってきます。

そこでおすすめなのが、厚生労働省の人材開発支援助成金です。人材開発支援助成金には様々なコースが用意されており、受講者や目的によって利用できるコースが異なりますが、デジタル人材では主に以下の4つのコースが活用できます。

  1. 事業展開等リスキリング支援コース
  2. 特定訓練コース
  3. 一般訓練コース
  4. 人への投資促進コース

今回は、2022年12月に新設されたばかりの「事業展開等リスキリング支援コース」について紹介します。

「事業展開等リスキリング支援コース」は、企業が新たな事業展開をする場合や、DXやGXを推進するための業務に必要なスキルを習得する場合に活用できます。

この助成金は、研修費用に対する助成が行われる「経費助成」と、受講中の賃金に対して助成が行われる「賃金助成」から成り立っています。このコースでは経費助成が75%(大企業は60%)となっており、他の助成金コースよりも高い助成率を誇るのが特徴です。賃金助成も同様に高くなっています。また、1事業所あたりの最大支給額が1億円となっています。他のコースでは、500万~1500万円が上限となりますので、「事業展開等リスキリング支援コース」の助成額が非常に高いことがわかるかと思います。

「事業展開等リスキリング支援コース」の助成率

申請の流れ

申請の流れ

このコースに限りませんが、人材開発支援助成金の申請は、研修をはじめる1か月前までに労働局に必要な書類を提出します。また、研修終了後2か月以内にも申請手続きが求められます。また、この申請業務は社労士か、研修を受ける企業が行う必要があるため、担当者の方の業務の負担が増えることにも留意する必要があります。

申請書類の作成を支援するシステム

インターネット・アカデミーでは、この申請書類の作成を支援するシステムがあります。書類作成の負担を減らすことができ、また研修後の申請についてもリマインドする機能がありますので、うっかり申請を忘れてしまい受給できない、といったことも抑止できます。

助成金を活用したリスキリングや、申請支援を行うシステムのご紹介など、個別に相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください。

セミナー講師

根岸 壱成
インターネット・アカデミー ITコンサルタント

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