DX・リスキリング研修サービスと助成金制度

2023/06/15
講演者:インターネット・アカデミー 金正煒
DX時代に求められるリスキリングの事例紹介

本記事は、2023/6/14にインターネット・アカデミーが「Interop Tokyo 2023」W3Cブース内にて講演した「DX・リスキリング研修サービスと助成金制度」の一部を紹介したものです。この記事では、DX人材の育成に効果的なIT教育と、リスキリングで活用できる助成金について紹介します。

DX化が頓挫する!よくあるお悩み

様々なサービスにおけるデジタル活用が進んでいる現在、企業のDX化は必須となっています。しかし、いざDX化をしようとすると、さまざまな課題が浮き彫りになってきます。インターネット・アカデミーにもDXについてのご相談を数多くいただいています。

「DXを進めたいけど何をしたら良いかわからない」
「開発ベンダーとのコミュニケーションが上手くいかず開発費用が肥大化した」
「社内でDX推進の理解が得られない」
「DX推進ができるデジタル人材が社内にいないし採用もできない」

こうした悩みは、社員がIT知識を身につけることで解消できるものが多いです。

たとえば、経営者や管理職、DX担当者の方がITリテラシーを高め、さまざまなDX成功事例や失敗事例を知ることで、自社のDX戦略を描けるようになります。

また、社内システムの改修で開発ベンダーに依頼する際にも、自社の社員がシステム設計やプロジェクトマネジメントの基本知識を持っているだけでも、開発中に生じるトラブルを回避しやすくなります。

全社員がIT用語への理解度やツール活用のスキルが上がることで、DX化の理解も得られやすくなります。

DX人材不足への対策は社内人材の育成

日本ではITエンジニアを中心としたデジタル人材が不足しており、外部から人材採用をするのは非常に難しくなっています。「DX人材白書2023」のレポートでも、DX人材が不足していると感じている企業は8割を超えており、不足しているDX人材を補うための取り組みとして一番割合が高いのが「社内人材の育成(54.9%)」、次いで「既存社員の活用(47.7%)」となっています。

DXを成功させるためには、社員のリスキリングが欠かせなくなっています。

インターネット・アカデミーでも、社員のIT知識の底上げや、DX推進のためにIT研修をご利用いただいている企業が多くいらっしゃいますので、いくつか事例もご紹介します。

プログラミングを活用した業務改善への足がかりに(三菱ガス化学 株式会社)

化学系の研究者・データサイエンティスト・機器装置に携わる従業員・事務職員など様々な社員の働く現場では今pythonがメインで使われています。多くの社員にITリテラシー教育を受け、知識を習得しプログラミング的思考を磨いてもらうことで、デジタライゼーションやDXの段階で活躍できる人材を増やし、業務の効率化や生産性の向上を図りたいと考えていました。これまでも、300~400人ほどが集合研修のかたちで学習をおこないました。これによりプログラミングなどに対する抵抗感などが薄れ、積極的にプログラミングを活用した業務改善に取り組む姿勢が生まれまたそうです。

DX・AI化で属人的だった業務の改善を図る(株式会社 横河ブリッジ)

個人の経験に頼っている業務が多々あり、これらに対してAI技術を導入することで、定量的判断ができるのではないかと考えました。IT技術を活用することで、作業の効率化と平準化を図る、これこそがDX化で実現したかったことでした。

研修前は社員がITの基礎知識を学び、用語を少し理解できるレベルになっていれば十分だと考えていました。しかし研修後は、当初の予想をはるかに超えて、社員たちがIT技術を活用し社内の業務効率を向上させるアイデアを提案してくれるようになったのです。最近でいうと、オンラインのコミュニケーションツールを利用して、他部署にも情報共有ができる仕組みを作る動きが社内で広がっています。

リスキリングに活用できる助成金制度

DX推進にはリスキリングが欠かせませんが、とはいえ研修費用が負担となりプロジェクトが進まないというケースもあります。

こうした悩みを抱える企業にオススメなのが、助成金制度の活用です。たとえば、厚生労働省の「人材開発支援助成金」は、2022年からデジタル人材の育成を視野にいれたコースが増えてきており、DX・リスキリングのための助成金コースもあります。

デジタル人材育成に活用できるのが、主に次の3つのコースです。

  1. 事業展開等リスキリング支援コース
    デジタル化による業務の効率化に取り組むための人材の育成に対しての訓練経費や賃金の助成が行われます。もっとも高い助成率の制度です。
  2. 人材育成支援コース
    正規・非正規を問わず自社の社員に対して、職務に関連した知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に助成されます。
  3. 人への投資促進コース
    企業における人材育成の一助として様々な助成メニューがあり、「デジタル人材の育成に活用できる訓練」も含まます。

今回は、「事業展開等リスキリング支援コース」について解説します。

リスキリングに活用できる助成金制度

「事業展開等リスキリング支援コース」は、まさにDX推進に伴うデジタル人材育成のための制度と言えます。

この助成金の利用要件には、「事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門知識を習得をさせるための訓練」もしくは「デジタル化を進めるための専門知識を習得をさせる訓練」というものが含まれています。つまり、DX推進に関する知識を身につける研修が対象となります。

たとえば「ITツールの活用や電子契約システムを導入し、社内のペーパーレス化を進める」という目的はもちろん、「アプリを開発し、顧客の利便性を向上させる」という目的の研修も対象になります。

この助成金制度の大きな特徴は、助成率が高いことにあります。研修費用に対する助成率は最大75%となっており、また、研修を受講している時間に応じて支給される賃金助成も、1人1時間あたり960円となっており、他の助成金よりも高い金額が支給されます。

※大企業の場合は、経費助成が60%、賃金助成が480円になります。

助成金の申請の流れ

人材開発支援助成金を利用するためには、事前に申請手続きが必要です。具体的には、訓練開始日の1ヶ月前までに、各種申請類を労働局へ提出する必要があります。

申請書類には「訓練実施計画書」と呼ばれるものが含まれており、これは研修計画や実施内容についての詳細な情報を記載するものです。つまり、研修スケジュールなどは1か月前までに固めておかなければなりません。

また、研修実施後2ヶ月以内に、労働局に書類を提出する必要があります。

給付金手続きは煩雑な面もありますが、支給額が大きいためぜひ活用したい制度です。

インターネット・アカデミーでは、助成金申請業務をサポートする支援システムや、助成金申請についてのご相談も承っています。個別に助成金支給額シミュレーションもご提供していますので、助成金を活用したIT研修を検討しておりましたら、お気軽にご相談ください。

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セミナー講師

金正煒
インターネット・アカデミー ITコンサルタント

500社以上の企業のIT教育をコンサルティングした実績をもつ。
エコーネットコンソーシアムフォーラムやLPI日本支部共催セミナーでの関連技術についての講演を担当。 Oracle Certified Java Programmer Silver SE 8、Python3エンジニア認定基礎試験、PHP技術者認定資格など、多数のIT資格を保持。

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