レベル差への対応が研修成果を左右する新人エンジニア研修の天国と地獄
執筆者:インターネット・アカデミー講師 石本 和大

「新人IT研修で受講者のレベル差ってそんなに問題になるんですか?」
「レベル差のある受講者をケアしながら最大限の教育効果を高めてほしい」
新卒IT研修では少なからず受講者のレベル差があることが多いですが、このレベル差についての人事担当の方の反応は様々です。
私はインターネット・アカデミーで数多くの新人向けIT研修の講師も担当しておりますが、今回はそのリアルな経験を元に「受講者のレベル差とIT研修の効果」についてお伝えしたいと思います。
IT研修におけるレベル差はどれくらいある?
はじめに、新卒IT研修で受講者のレベル差がどの程度あるのかについて触れたいと思います。
最近ではソフトウェア開発企業の新卒採用でも未経験者を採用することが増えており、初心者と経験者が一緒に研修を受けるケースもあります。初心者向けのクラスでも、プログラミングが完全に未経験者の方と、基礎を学んだ方が混在しているケースも多くあります。
ちなみに、私が担当した講義でもっともレベル差があったものとして
- 初心者:文系の大学でプログラミング未経験、ITパスポート取得のために少しITを勉強しただけ
- 上級者:高校時代から複数言語を学び、独自にアプリを開発し受賞歴もある
というケースがありました。
これは少し極端な例ではありますが、同じクラスにおいて受講者のレベル差が均一ということはほとんどありません。「IT知識ゼロの方と、IT用語は知っている方」程度のレベル差であれば多くの研修において存在していると感じます。
レベル差を放置したIT研修の末路

このようなレベル差は少なからず存在していますが、これを放置して研修を進めると学習効果が得られないどころかさらに多くの費用を投じなければならなくなります。
以前、他社でIT研修を行った後に効果が得られずインターネット・アカデミーにご相談いただいた企業様がありました。その研IT研修では、レベル差を考慮した講義が行われておらず、5名のチームで開発する演習では「できる人がほぼすべての開発を行い、初心者はただ見ているだけ」という状態だったそうです。そのため、スキルがほとんど身につかないまま研修を終えました。
配属直前になり、研修でスキルが身についていないということが発覚。そのままの状態で配属するわけにはいかないということで、インターネット・アカデミーにご相談いただき追加の研修を行うことになりました。
このように、レベル差を考慮しない研修では初心者がスキルを身につけることができないうえ、自信の喪失や追加の研修費用の発生、最悪の場合には早期退職にもつながりかねません。
特に新人研修では多かれ少なかれ受講者のレベル差があります。しかし、このレベル差の問題を軽視している研修では、もともと知識があった方はスキルが向上する反面、脱落してしまった方はスキルが身につかないうえに自信喪失してしまい、元々あったレベル差がさらに拡大してしまいます。
成功する研修は受講者全員が学びを得られるもの
一方、成功する研修とはどういったものでしょうか。
それは、初心者のスキルレベルを引き上げ開発力を身につけると同時に、知識があった方にも新たな気づき・学びが得られる研修です。

それを実現するため、インターネット・アカデミーでは、受講者のレベル差に対応するために様々な工夫を行っています。そのうちの一つが「教えあう環境をつくる」ということで、あえて経験者と初心者を混ぜたグループを作り、経験者が学習が遅れている方のフォローをしていただくようにしています。これにより、脱落者を生まないことに加え、できる受講者が「教えるスキル」の重要性に気づき、学びを得られます。
ただ、知識がある方の傾向として、時間を持て余して研修自体を退屈に感じていたり、遅れている方のフォローを負担だと感じている方もいらっしゃいます。
しかし、実際に仕事で開発現場に入った際に、技術的な知識がないクライアントに対してシステム仕様や開発意図をわかりやすく説明する場面も出てきます。それができなければ、発注者との認識齟齬やクレームが生じたり、プロジェクトの炎上につながってしまう可能性もあります。
あるいは、1年後や2年後に新たな新人エンジニアが配属された際に教育担当を任されるかもしれません。その際に、新人を早期に戦力化できなければ自分の業務の負担が増してしまいます。

このように、わかりやすく説明するスキルは開発現場の技術者にも求められますが、それを身につけるための場でもあることをお伝えすることで、遅れている方へのフォローに前向きになっていただきます。
これは一例ですが、その他にも日々の研修での受講者の理解度を踏まえた講義レベルの調整を行ったり、研修カリキュラムや演習設計など、様々な観点からの工夫をこらしています。
その結果、インターネット・アカデミーの研修は、脱落者を生まずレベル差を埋めることにも成功しており、多くの企業様から高い評価をいただいています。新人エンジニアの育成にお困りでしたら、お気軽にインターネット・アカデミーにご相談ください。
執筆者

石本 和大
インターネット・アカデミー株式会社 カリキュラム開発・講師
大阪大学大学院で分子生物学に関する研究を行っていた経歴をもつ。Java認定資格「OCJP Silver SE 8」や「HTML5プロフェッショナル認定資格」など多数のIT資格を保持しており「PHP公式資格教科書」も執筆。最先端のIT技術への造詣が深い。
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