「人」を大切にする鹿島建設ならではの3か月間のオーダーメイド研修
建設×ITの高い専門性で社業に貢献する人材を育成


鹿島建設株式会社
ITソリューション部 企画管理グループ
担当部長 冨山礼人様
課長代理 緑川達也様
主任 桑島奨様
鹿島建設株式会社は、日本を代表する大手総合建設会社である。1840年の創業以来、人々が安全・安心で快適に暮らすことができる社会を目指し、建設事業を通じて社会・顧客に貢献してきた。特長の1つとして、時代のニーズを見極め、先駆的な取り組みにチャレンジする「進取の精神」に基づく技術力と、幅広い技術の専門家から成る総合力がある。同社では人材を土木・建築・事務・情報などの種別毎に採用・育成することで、多様な専門性を持った人材が活躍しており、これらの人材が協力して1つの大きなモノづくりをしていくことが総合力の高さに繋がっている。
研修データ
- 研修内容
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企画・設計力強化のための実践的なシステム開発研修
(AWS/Git/C# ASP.NET Core MVC/React/システム設計基礎/テストコード(C#)/プロジェクトマネジメント/開発演習等)
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企画・設計力強化のための実践的なシステム開発研修
- 受講者
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- 下流工程の実務経験がない入社1~3年目の若手社員
- 入社5~6年目の中堅社員
- 研修の目的
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- 若手社員は、基礎技術の把握を主軸に、実践を通して実現場ならではの知見を得る
- 中堅社員は、要件定義から詳細設計まで対応できる設計力とプロジェクトマネジメント力を修得する
- 課題
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- 下流工程業務のアウトソーシングと求められる役割の上流シフトが進む中で、システム開発について若手が業務の中で学びを得ながらスキルアップする機会が減っていた
- その結果として、システム開発の下流工程業務の経験や実現方法等の技術的なスキルを持たない社員が、上流工程を担当するという「技術の空洞化」が起こっていた
- 解決策
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- 実課題をもとに、若手社員と中堅社員とで担当と役割を分け、実践に近い形でシステム開発を行う3か月間のオーダーメイド研修を実施
- 成果
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- 若手と中堅、それぞれが実践経験を通して、自信を得ることができた
- 知見を得たことでスムーズに業務に着手できるようになり、先輩社員の負担が減った
鹿島建設のITソリューション部は、同社のセキュリティ・システム開発・ITインフラに関する、企画・設計・統制管理などを実施するほか、IT人材の採用・育成にかかわる業務全般も担っている。システム開発における下流業務のアウトソーシングが進む中、同部署では数年前から人材育成における課題点を感じるようになり、実課題をもとにした実践的な研修を企画・実施することにした。その具体的な経緯や研修効果について、ITソリューション部企画管理グループの冨山様、緑川様、桑島様にお話を伺った。
研修実施の経緯
下流工程のアウトソーシング推進の中
社員の「技術の空洞化」に課題を感じていた

― 研修実施前に感じていた課題について教えてください。

当社の情報系種別では、システム開発、情報インフラ、情報セキュリティ、数理工学(データサイエンスや数値シミュレーション等)といった専門領域を分類し、軸となる専門性をもったITアーキテクトやITスペシャリストの育成を図っています。
そうした専門人材の育成方法としては、たとえばシステム開発の領域ではコーディングやテストなど基礎的な業務経験を積みながらステップアップしていくというのが、従来のやり方でした。しかし、下流業務のアウトソーシングと求められる役割の上流シフトが進む中で、若手が業務の中で学びを得ながらスキルアップする機会が減っていき、結果として若手社員がシステムを構成する要素技術や構築・管理の方法など、開発の詳細がわからないまま、委託開発プロジェクトを担当する「技術の空洞化」が見られるようになりました。

アウトソーシング前提といっても、要件定義を含めた基本設計までは社内で実施するようにしているのですが、そうなるとやはりコーディングなどの開発未経験の若手が、機能を正しく考えるのはなかなか難しいということが多々ありました。
この課題をどう解決していけばいいかと悩み、様々な研修会社に相談をさせていただきました。
インターネット・アカデミーを選んだ理由
実現は難しいという企業が多い中
前向きに粘り強く要望にかなう研修提案をいただいた

― 研修先のご選定の基準と、インターネット・アカデミーをお選びいただいた理由をお聞かせください。

研修のパートナー選定については、大きく3つの視点で評価を行いました。1つ目は、教科書的な知識習得だけではなく、実践的なスキルの修得と、下流から上流にかけてのシステム開発における一連のプロセスを経験できる、柔軟な研修を提供していただけること。2つ目は、当社の社内研修スケジュールとあわせて、適切なタイミングで研修が実施できること。最後に、前述の2つの要件を予算の範囲内で満たせること、です。
予算やスケジュールの制約がある中で、インターネット・アカデミーさんは、どのようにすれば要件を満たした研修を実現できるかを前向きに考え、粘り強く提案をしてくださりました。そうした経緯から、この会社であれば一緒にやっていけると確信し、研修実施をお願いすることにしました。
― どんな研修を実施されたか、具体的にご教示いただけますでしょうか。

今回の研修は中堅社員(5-6年目)と新人・若手社員(1-3年目)の2つ世代からなるチームを作り、社内の実課題をもとに中堅社員が設計したシステムを若手社員が実装し、そのプロジェクト管理を中堅社員が担うという構成としました。中堅は要件定義から詳細設計を実践できる設計力とPM(プロジェクトマネジメント)力、若手は将来的に企画・設計業務を担当する上で基礎となるコーディングスキルや要素技術を身に付けてもらうことを目標とし、教科書的な知識にとどまらず、実開発を経験しているからこその感覚を身に着けてもらうことを目指しました。結果として、あまり世の中にはない形のカスタマイズ研修を実施していただきました。
如何に実現場に即した経験を積ませられるかという点を特に重視して、インターネット・アカデミーさんに要望をお伝えしつつ、企画を進めていきました。
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予算内での効率的な研修から、実務に沿った研修まで
インターネット・アカデミーのオーダーメイド研修
研修の成果と今後
自ら考え、手を動かすことで得た実践知を活かし
建設事業の課題解決と新たな価値創出を担える人材へ

― 研修の感想と、その効果についてお聞かせください。

講師陣の知識量は目を見張るものがありました。受講者の質問に漏れなくその場で回答し、スムーズな演習を実現していて、技術者として目指すべき姿のロールモデルになっておりました。
3か月の研修の中で1か月をかけたチーム開発演習では、短い期間にも関わらず成果物の完成度が高く非常に驚きました。これまでの教育は、実業務や資格取得等を通じて机上の知識を蓄えるのみでしたが、本研修により「自ら考え、手を動かす」という生きた経験を積んだことで、受講者の自信に繋がったと感じます。
研修後の実業務でも先輩社員の負担が減り業務の効率化が進みました。受講した新入社員が開発実務に取り組む際、前提条件の口頭指示を受けただけでスムーズに着手することができ、先輩社員が驚きの声を上げていました。「経験したことがあるかないか」はここまで差が出るものかと効果を実感しています。
― 受講者の皆様への期待や、人材育成に対する意気込みを教えていただけますでしょうか。

当社の本業は建設業のため、システム開発プロジェクトでは発注者として関与します。その際、担当者の開発スキル不足がベンダー企業への丸投げに繋がり、責任の所在が曖昧になってしまうこともありました。
今回受講した社員は「システム開発の1から10まで、一連のサイクルを経験した」という強みがあります。この研修をきっかけに、ベンダーが注力すべき箇所はどこか、発注者としてどこに責任を持つべきか、より良い方法をベンダーに提案できるか、など、経験から学んだ実践知を実務に応用し、社業に貢献する良いシステムを作る集団を目指したいと考えています。

当社では、経営理念の中で謳っている「人道主義」すなわち「人」を大切にする伝統が脈々と受け継がれています。2024年度から始まった「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)」とあわせて新たに策定した鹿島グループの「ありたい姿」では、「人」に関する項目で「高いエンゲージメントのもと多様な人材が個性を発揮する」「一人ひとりが主体性をもって新しいことに挑戦し続ける」と掲げています。
私たちITソリューション部は情報系の採用や人材育成を担当していますので、「ありたい姿」の実現に向けて、最新技術も含めたITに関する高い専門性を持ち、ITと業務の双方の視点から建設事業の課題解決や、新たな価値創出を企画・提案・推進する人材を継続的に育成し、社業に貢献していきたいと考えています。
受講生のコメントの一部
- 講師の方から積極的に演習のサポートや進捗の確認をしていただいたのでとても助かりました。問題が起こった際も迅速に解決していただき、円滑に講義が進みました。
- 発言する機会が多くあったため、わからない点を言語化でき、すぐにフォローしていただきました。イメージが曖昧な部分は図や文字で分かりやすく説明していただいたため理解が深まりました。
- 演習の時は、たくさん質問させていただきました。すべての質問に詳しく答えていただき、とても分かりやすかったです。内容も今までの復習に加えて、考える系の問題も組み込まれていたため、とても勉強になりました!
- とても理解が深まりました。また、豆知識などを授業の間に挟んでいただき、テキストに掲載されていないIT知識も同時に学べて楽しく学習することができました。
※一部抜粋
関連するIT研修
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プロジェクトマネジメント研修
要件定義や品質管理、スケジュールの管理やリスクマネジメントなど、さまざまなワークショップを通じてプロジェクトマネージャーの仕事への理解を深めることができます。自社分析をはじめ、演習を交えながら学習を進めていき、発表やディスカッションも行います。他の受講者と意見交換をしながら多角的な視点を身につけることができるのも特徴です。
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ベンダーマネジメントの手法だけでなく、実際にプログラミングを行いシステム開発を行うことで、システム開発の業務をより鮮明に理解できるようになり、マネジメントの質が向上します。開発演習で学ぶプログラミング言語はPHPを想定していますが、変更可能です。
研修事例の情報提供&ご相談
研修事例の紹介から人材育成計画のご相談まで、IT人材育成に精通したコンサルタントにさまざまな相談をしていただけます。お気軽にご相談ください。
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