三菱ガス化学の挑戦
社内初・全社員向け「オーダーメイド型IT研修」
三菱ガス化学株式会社
総務人事部 人事グループ 博士(工学) 主席 杉田将紀
総務人事センター 人事グループ 主査 自閑大輔
総務人事部人事グループ人材開発チーム 小川理沙
※写真向かって右より杉田様、小川様、自閑様
三菱グループの一員として1951年に創業した三菱ガス化学株式会社は、化学品・素材製品や発泡プラスチック、光学材料、半導体パッケージ材料など現代に欠かせない素材開発を行う化学メーカーである。CO2を有効活用した事業の可能性を検討するなど、幅広い事業領域で培ってきたノウハウや独自の技術力をもとに社会課題に果敢に挑戦し続けている。
研修データ
- 研修内容
- Pythonでのプログラミング基礎研修
- 受講者の職種・属性
- 100名(20名×5クラス)
- 研修の目的
- RPAを導入を推進するための社員のリテラシーアップ
- 課題
-
- 製造・研究といった現場の管理業務などにおいてRPAを導入し生産性向上を進めていくにあたり、組織全体としてのリテラシー向上をどう進めていくか課題を感じている。
- 解決策
-
- PRA概論などを中心としたPythonでのプログラミング基礎研修を実施。
- 効果
-
- 今後よりスキルを高めていきたい、得た知識を業務に活かしていきたい等、前向きな意見が多く見られた。
- リテラシー向上に多大な成果を上げた。
100種類以上ある取り扱い製品の90%以上を自社開発技術で製造しているという、化学メーカーとしてはかなりユニークな特徴を持つ三菱ガス化学株式会社。技術畑出身のスタッフが多い企業だが、業務のIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)には課題もあるという。今回、そんな三菱ガス化学の人事部門で人材開発を担う3名に、お話を伺った。
研修実施の経緯
組織全体としてITリテラシーを向上させる必要があった
― 今回のプログラミング基礎研修を実施するに至った背景を教えてください。
三菱ガス化学株式会社は、各種化学製品の製造や販売を行っている化学メーカーです。その中で私たちは人事部門の人材開発チームに所属しており、新卒・中途の採用活動や採用後の人材開発、あとは組織開発や人事異動、その他育成に関する支援などを行っています。今回、インターネット・アカデミーさんにプログラミング基礎研修をご相談したのも、人材開発の一環です。
実は私たち、今回のような全社的なIT研修を行うのは初めてでした。もちろん、それを外部の企業様に委託するのも初の試みです。これまで、部門・部署単位で個別に勉強会をしたり、オンラインで外部の有識者に話を聞いたりといったことはありましたが、部門・部署に"横串"を刺すような研修を行うには至っていませんでした。しかし、これからの人材育成を考えると、社会的なトレンドになっているIT化やDXを見据えた、スタッフの理解向上やマインド醸成は避けて通れません。人事としても「今こそ全社を挙げてのIT研修のような思い切った取り組みが必要だろう」と考え、実施を決めました。
― 全社的に取り組む必要があった、ということですね。
そうですね。当社は技術力に自信がある会社ですが、先ほど自閑が話したIT化やDXについては課題もあります。実際、製造現場でのオペレーションの一部自動化や研究現場でのMI(マテリアルズ・インフォマティクス)導入などを進めてはいますが、現状ではまだ「部分的な取り組み」の枠を出ていません。そういった取り組みを今後より拡大していくため、そしてITの力でさらなる業務効率化や生産性向上を図っていくために、組織全体としてITリテラシーを向上させる必要性を感じていました。
今回はIT化やDXの推進によって現場の課題解決を図る前段として、プログラミング基礎研修を実施することにしました。まずは、プログラミングの基礎を学ぶことで「実現(改善)できる未来」をイメージしてもらうこと。そして同時に、「さらにスキルを伸ばしてみたい」と感じてもらうことが目標です。当社には学習能力が高いスタッフが多いので、この機会に得た知識を自分のものにし、自発的に業務へ役立ててほしいという狙いもありました。
インターネット・アカデミーを選んだ理由
要望に細かく応えてくれるところが、
自社に合っていると感じた
― インターネット・アカデミーを知ったきっかけは何ですか?
もともとは、当社と同じ三菱系列グループの別会社にいる知り合いから紹介してもらったのがきっかけでした。実際にIT研修を相談して、「良かったよ」ということで。パートナーとなる企業の選定にあたっては、コンテンツ、講師の質、費用といった情報を総合的に踏まえて判断するのが一般的です。加えて、私たちにとってこういった取り組みは初めてだったので、長期的に、深くお付き合いできる企業を探していました。IT研修は「1回で終わり」というわけにはいきませんからね。やるからには、意味のあるものにしなければなりません。
― 最終的な「決め手」となったのはどういった点でしょうか?
研修パートナーを選ぶ際には、まず松竹梅の3パターンくらいのサービスプランを提案してもらい、そこから「どれがいいか」を選択するケースが多いかと思います。ただ、社風だったり、抱えている組織課題だったり、スタッフの性格的なところだったりの違いによって、既存の研修プランがうまくフィットしないことも多い。その点、インターネット・アカデミーさんの場合は「コンテンツを柔軟に組み替えてほしい」「カリキュラムを工夫してほしい」といった要望に細かく応えてくれる提案内容だったので、当社に合っていると感じました。
実際に研修を行っていただいた中で、柔軟な対応という点では十分にフォローいただけたと思っています。アサインしていただいた講師の方も良かったですね。化学系の学部出身の先生で、当社のスタッフとも似ている印象だったので、コミュニケーションがしやすかったのかもしれません。そういった調整の配慮も含めて、柔軟に対応していただけたのかなと思います。
研修の効果と今後
多様性ある人材の育成のためには
「オーダーメイドの研修」が必要
― 研修を終えて、どのように感じましたか?
今回のIT研修は初めての試みでしたが、率直に、研修内容には大変満足しています。知識がほとんどない中で、オンラインでの研修ということで、開始前は不安もありました。ですが、インターネット・アカデミーさんに丁寧にサポートしていただけたので、大きな支障もなく進めることができました。
仕事の中では、「自分の手でコピーアンドペーストをしながら膨大なデータをまとめている」というケースも多くあります。今回は、そういった場面において「この作業をもっと楽にできないか」「こういった仕組みをつくれないか」と考えられるようになる、いい機会になったのではないでしょうか。
仮に自分の手を動かすことはできなくても、学んだ知識は外部パートナーに発注する際のディレクションなどで活きてきます。発注者側に技術的な理解があるかどうかで、プロジェクトの進行スピードも変わってきたりしますからね。
― 実際に研修を受けた方からはどのような声がありましたか?
「もっと学びを深めたい」といった反響が多かったですね。今回の研修ではプログラミングの表層部分に触れた程度ですが、目的としていたきっかけづくりとしては大成功だったと思います。研修が、可能性を広げてくれました。
スタッフのほとんどが技術系出身なのでもともとこういったテーマには強い気もするのですが、意外とプログラミングに対して先入観で構えてしまっていたようなのです。「プログラミングは専門家でないとできないもの」「情報学部出身じゃない自分には難しい」...というように。でも、今回の研修で知識を得たことで、「この技術をこういったことに活用したい」などの前向きな意見が多く出てくるようになりました。「自分に何がやれるんだろう」「こういうことを将来実現できたらいいな」という意識を持って仕事に取り組んでもらえれば、業務効率化や生産性向上は進めやすくなりますね。
― 人材育成にかける想いの部分を教えてください。
人事として、学んでほしい知識や身に付けてほしい技術はできるだけ用意していきたいと思っています。そして社員一人ひとりがやりたいことを選べるような豊富なコンテンツやサポート体制を用意し、ゆくゆくはそれぞれの社員が思い描くキャリアの実現や多様性を持った人材の育成ができたらいいですね。
それを実現するには、「オーダーメイドの研修」が必要だと感じました。私たちに限らず、企業をとりまく環境は急激に変化していますからね。ずっと変わらないコンテンツを研修題材として提供することはもはや時代遅れですし、ありえない話です。時代の流れに取り残されないように、コンテンツをタイムリーに変えながら最適なものを提供することが、私たちに求められている役割だと感じています。
今回のように「よしやるぞ!」とスイッチが入ったとき、自分でどんどん進められるスタッフがいる一方で、やりたい気持ちはあるが「何をやったらいいのかな」「どうやったらいいのかな」みたいな戸惑いを抱えているスタッフもいます。そういったスタッフに対していかに応援・支援ができるか――というのが、私たち人事の腕の見せどころなのかなと思いました。でも、自社の人事部門だけでは解決できないこともあります。そういったときには、インターネット・アカデミーさんのような専門家にサポートをいただくのが一番の近道かもしれませんね。
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