PayPay銀行がIT職の新卒採用を開始
対面・演習型オリジナル開発研修で「銀行のエンジニア」を育成
PayPay銀行株式会社
IT本部 部長
金子勝由紀 様
2000年に日本初のインターネット専業銀行として設立・開業したジャパンネット銀行が、Zホールディングスグループ(現LINEヤフー株式会社)との連携を深めて2021年にPayPay銀行へ社名を変更。「金融サービスを空気のように身近に」をミッションに掲げ、手続きの煩雑さや分かりにくい操作を無くし、いつでもどこでも誰でも利用できる商品やサービスを追求している。決済アプリPayPayへのチャージ(入金)や、PayPayマネー残高のPayPay銀行普通預金口座への出金が無料で出来るなど、PayPayとの連携や利便性に大きな特徴がある。
研修データ
- 研修内容
- 基礎から体系的に学ぶプログラミング研修 (HTML/CSS/JavaScript、データベース、Java、Java演習、Java開発演習)
- 受講者
- IT本部に配属の新入社員
- 研修の目的
- 新入社員がOJTに入る前にプログラミングの基本を理解する
- 課題
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- システムベンダーと適切なコミュニケーションで業務を行うため、プログラミングの理解は必須
- OJTだけでは、自ら手を動かしてプログラミングを理解する時間が少ない
- 解決策
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- インターネット・アカデミーで希望に合ったカリキュラムを作成し研修を実施
- 開発演習を重視した研修でインプットだけでなくアウトプットも行う
- 成果
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- 研修を通じJavaの基礎が身についた
- IT本部への配属後も研修で習ったプログラミングスキルを活用している
インターネット専業銀行であるPayPay銀行にとって、IT本部はお客様へ提供するサービスを司る重要な部署だ。部署の将来を担う人材は、毎年入社する新卒社員の中からIT適性を加味して人選しOJTで育成してきたが、今回の新卒採用からIT職として募集し、OJT前にプログラミングの研修を受ける育成方法に変更した。新卒を対象にしたIT職採用を始めた理由や人材育成への思いについて、IT本部部長の金子勝由紀様に伺った。
研修実施の経緯
初めてのIT職新卒採用
配属前にプログラミング知識を身につけてほしかった
― 初めてIT職新卒社員を募集した理由をお聞かせください。
今まで新卒採用は総合職として採用し、採用者の中からITに向いている人材を選んでOJTで育成を行っていました。しかし、会社のサービスを支えるIT本部としては、ITで仕事をしていきたいという人材を毎年採用して育成していかなければ、持続的な成長ができません。その課題を克服すべく、今回初めてIT人材を募集する採用コースを設けました。
― 今回はどのような研修をご希望されていたのでしょうか。
研修の目標は、OJTに入る前の1カ月でJavaを中心にプログラミングの基礎を身につけることです。従来はOJTで実際の業務を行いながら、仕事を通して必要なプログラミング言語を学んでいましたが、開発を実際に行うのはSI企業なので、業務で自ら手を動かす機会が少ないことが課題でした。しかしベンダーと協力しながら自社のサービスシステムを企画運用し続けるには、私たちがプログラミングの経験を持ち、スキルを身に付けてシステムを深く理解する必要があります。OJTの前にプログラミングの授業を受けることで業務理解も早まると思い、今回初めてプログラミングの研修を社外に依頼しました。
インターネット・アカデミーを選んだ理由
手を動かし講師とコミュニケーションを取りながらレベルアップ
研修修了時にはオリジナル開発した立替記録アプリが完成
― インターネット・アカデミーを研修先にお選びいただいた理由をお聞かせください。
大きく分けて2つ理由があります。ひとつは、当社の要望に合わせた形での新入社員向けエンジニア研修のカリキュラムを組んでいただいたことです。 当社の勘定系システムはC言語が中心ですが、今後はC系よりJavaのほうが汎用的だと思い、Javaを研修に組み入れました。限られた時間の中でJavaの初歩から開発まで、 なるべく多くの内容を身につけさせてほしいと相談し、最終的に希望に沿った研修にカスタマイズしていただけました。OJTだけでJavaをここまで学習することはなかなか 難しかったと思います。
もう一つは、オンライン画面を通じて講師の方から直接アドバイスを得ながら研修ができたことです。プログラミングも、基礎学習時は学校のように手を動かし、分からないことはその場で講師に聞くというスタイルのほうが頭に入りやすいと思います。今回は、Zoomを通じての講義でしたが、講師に質問し、回答をいただきながらの授業だったので、希望に近い環境でできたと思います。
― 実際に研修を実施してみていかがでしたか。
Javaの開発演習では受講者同士協力してWebアプリを制作しました。研修最終日にプレゼンテーションを行っていただきましたが、限られた時間のなかで良く協力して作ることができたと思います。アプリとしてやりたかった機能全ての実装はできなかったとしても、実際に使ってみたいと思えるレベルのものを作れたことを評価したいです。
勘定系アプリの開発を行うチームに配属されたメンバーは、研修で自ら手を動かしてソースコードと向き合う経験が出来たからこそ、配属先でソースコードを見ても抵抗感が無く、実行結果などを考えながら見ることができていると聞いています。サイバーセキュリティを担当しているメンバーは、システムの脆弱性などの情報を社内サイトで発信するときに、研修で学んだ知識を活かせているそうです。
学ぶことが多く大変だったと思いますが、学習したことをすぐに活かせる知識を得られて良かったです。
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インターネット・アカデミーの通学研修
研修の成果と今後
お客様の声を知り要望を形にできてこそ銀行のエンジニア
生活を支える重要インフラを担える人材へと成長してほしい
― 受講者に対する将来への期待について教えてください。
銀行のシステム部門は、ユーザー部門の要件をただ実装するだけの部署ではありません。お客様が求める銀行サービスのシステムを企画し、開発することが重要です。そのために必要なことはユーザー部門と共にユーザーの立場に立ちながら、開発ベンダーとコミュニケーションを取ってシステムを作り上げることです。アプリ開発のためのサーバーやネットワークへの知識、スキルを豊富に持っているだけでなく、様々なレベルの方とコミュニケーションが取れ、ディレクションやプロデュースの面でも力を発揮できる人材へと成長してほしいです。
― 人材育成にかける想いについて教えてください。
銀行は、利用していただいているお客様にとっては生活を支える重要なインフラで、システムは正確性が求められます。だからこそ要件を詰めて開発し、公開前に何回もテストを繰り返します。当社はインターネット専業銀行なので、システムと銀行サービスが直結しているといっても過言ではありません。5年、10年後会社の中核を担ったときに、自分たちが扱っているものは重要インフラだという意識を持って仕事ができる人間へと育ってほしいです。
受講生のコメントの一部
- 開発演習ではデータの初期値を入れなくても実装できる方法を知ることができたり、CSSを変えることによりアプリの質が上がりました。
- ゲーム作成を通じてJavaをどう使っていけばよいかなど、より応用的な内容を理解できました。
- 短い間の開発演習でしたが、完成したものを発表できてよかったです。今後いろいろな業務に携わるとは思いますが、この研修で培ったことを活かしながら業務を行っていきたいと思います。
- とても分かりやすく、今やっていることがどのように活かされるのかが理解しやすかったです。
※一部抜粋
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